ベスト&ブライテスト (下巻) (Nigensha Simultaneous World Issues)
- 二玄社 (2009年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784544053081
感想・レビュー・書評
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ようやく「ベスト&ブライテスト下巻」読んだ!http://tinyurl.com/3bwatme もおう、すっっごくおもしろかった!下手なハリウッド大作映画なんか足下にも及ばない。これが一度は絶版になったなんて。訳文もすばらしい。原文が全く透けなかった。訳者は浅野輔さん。(つづく
唯一のベト攻撃反対者ボールの孤独な戦い、マクナマラの苦悩と絶望、CIAの分裂、軍部の暴走。隠蔽され続けた悲観事実と国務省の傲慢な楽観主義、事実を知った官僚たちの反乱。ハルバースタムの膨大な取材データに基づく文章は、読んでて息詰まるくらいに迫真的だし、概論は1こもない。(まだつづく
最後)人物は充分に肉付けされてるし個々人の内面にフォーカスしたスタイルもいい。誰のための何のためのベトナム戦争だったのか。対ベト政策失敗の原因を、ありがちで実体の無い総論で括るのじゃなく、具体的に誰がいつどのように何をしたか、を積み重ねて解きほぐして行く。わたしゃ感動したよ。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これを「変数が多いと如何に優秀な人たちでも管理しきれない」という切り口で紹介した本題太郎さんはするどいなー
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ジョンソン政権に対しては、若干辛辣な書きぶりが多いような気もした。しかし、それでもどのような人物に対しても一方的な書き方ではなく、できるだけ客観的な書き方をしているスタイルに好感を持った。あとがきで、著者自身がジャーナリストとして、当時、もっと真実に迫ることができたのではないかと、回想していることが印象的であった。本書はベトナム戦争に関する歴史的検証であるものの、ここに描かれている教訓は普遍的なものだと思う。
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ベスト&ブライテスト下2021/05/09
「国家の失敗」をこれだけ精緻にまとめた努力は偉大
日本は昭和の戦争ですらバラバラの歴史学
国家としての総括はない 歴史でも教えない
些末な個々の史実を記憶テストするだけ
国家の過ちは繰り返す→コロナ禍で再現する嫌な予感
1.最高権力者のウソは高くつく トップへのガバナンス
ジョンソン大統領 自らのウソにより失脚
非エリート出身 失敗に耐えられない ウソで誤魔化す
→取り返しの効かない大失敗となる
東條英機・ニクソン大統領 保身が最大目的化
「公」に尽くすエリートを見つけて育てる重要性
2.歴史は人が作る
しかしその人は歴史の中にいて、その制約から逃れられない
3.国家の体制
①大統領制 トップ次第 選考に大エネルギー CEOも同じ
②議院内閣制 トップのリスクは小さい
日本は①と②の間で迷い ハイブリッドではなく悪い組合せになっている
霞が関の解体 内閣府のレベルの低さ
大戦中のチャーチルのような人材が輩出できるのか?
日本には「戦争概念がない」ので強力なリーダーシップは難しい
「コロナ戦争」で馬脚を顕した -
現在でも同じであるが、アメリカ民主党のエリートがどれだけ、現実と離れた机上論理に従って国を謝らせてきたのかよく理解できる。
日本の感覚のリベラルとは異なり、一種のエリート主義であると感じる。 -
・民主主義国会の指導者でありながら、彼らは国家の進むべき道を選ぶに当たって、国民による討議を導入しようとしなかった。彼らは、何が正しい道であるかを自らわきまえていると考え、何をどの程度、いつ国民に知らしめればよいかを知っていると考えていた
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東2法経図・3F~5F書庫 253/58/3
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シリーズ最終巻。
テーマはジョンソン大統領政権時のベトナム戦争泥沼化。
表題の通り、ケネディ政権から類稀なる最高の人材を引き継いだにも係わらず、なぜベトナム戦争の泥沼化を食い止めることができなかったのか。
幾つかの要因があるのだが、エリートにとって失敗の文字はない、というマインドが主因なのだろう。
ジョンソンは、明らかに国内政策でリーダーシップを発揮したかった、外交政策は二の次だった。
情報を限定的に扱い、オープンにすることを嫌った。
Yes manを重用した結果、悪い情報が上がらなくなった。
迷いの中から、決定を先送りする傾向があった。
以下引用~
・彼らのプラグマティズムは、幾度も道義的価値と対立した。そして犠牲にされたのは道義の方である。しかし、それも、より大きな成功を収め、より大きな善を為すために必要なことなのであった。アメリカ的信条の権化が彼らである。
つねに社会の階梯を昇り、成功がすべてを正当化する。他のことはいっさい考えず、日に夜をついで働き、その働きを認められて成功する。成功は、どんな犠牲を払っての達成するだけの価値がある。アメリカ的生活にあって、成功はすべてであった。だがやがて、そのために払われる代価は恐るべきものとなる。
・フランスにとっても、アメリカにとっても、この戦争の偉大な幻想の一つは、自分たちが戦争の規模や進展を左右している、という考えであった。現実には、それを左右していたのは敵であった。敵は、一時的にどの程度の兵を投入するかを決定することにより、戦争規模を拡大したり、縮小したりする決定権を握っていたのである。 -
アメリカ政治史上最高のドリームチーム、ケネディとそのスタッフがハマったアメリカ史上最大の泥沼、敗戦。
いかに人間の理性がアテにならないモノなのか。単に知的レベルが高いだけでは本質的に
何も解決出来ないし、何も生み出さない。
しかしこの泥沼の後もアメリカは全く変わって
おらず、イラン人質、911、アフガン、イラクと
同じ様な過ちを繰り返す事となる。