モロイ 新装

  • 白水社
3.77
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本棚登録 : 181
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560043462

作品紹介・あらすじ

気がつくと母親と家にいたモロイは、朦朧とした意識のもと回想を始める…。ヌーヴォー・ロマンの先駆となった小説3部作の第1部。

感想・レビュー・書評

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  • 高校のとき読んだ。ベケットってことだけは覚えてた。
    久々に読んでみた。

    なんで当時はまらなかったのか謎。

    ベケットの文章は中毒性が強い。

    最初から最後までふらふらしてるモロイ。
    モランは途中から墜ちていく。
    類似点も対比も興味深いし、反復のおかしさっていうものがあって好き。

    ベケットの作り出す、執着に近い”あえての馬鹿らしさ”とでも形容すればいいのか、そういうユーモアはたくさんの作家がやろうとしていたことだろうけれども、成功している作家はとても少ない。



    昔夜型生活送って、夜は一日中街にいて昼ドトールとマックで寝てた。そんな日々をなぜか思い出した。


  • 『ゴドーを待ちながら』を読んで、とても良かったので、こちらに手を伸ばした。
    改行しない文体はそれほど気にならなかったが、読み進めていくうちに、自分の頭の中もおかしくなっていくような気がして、気分が悪くなって読むのをやめた。嫌な気持ちになりながら読まなくてもいいや、と勇気を振り絞って。

  • 3.74/163
    (三部作 「モロイ」→「マロウンは死ぬ」→「名づけえぬもの」)

    『気がつくと母親の家にいたモロイの意識はすでに崩壊寸前で、自分の名前も思い出せない。一方モロイの調査を命じられたモランにも同じ運命が……。ヌーヴォー・ロマンの先駆的役割を果たした記念碑的前衛小説。ノーベル文学賞受賞作家による、文学史に衝撃を与えた小説三部作の第1部。』(「Amazon」サイトより)


    原書名:『Molloy』
    著者:サミュエル ベケット (Samuel Beckett)
    訳者:安堂 信也
    出版社 ‏: ‎白水社
    単行本 ‏: ‎286ページ

    メモ:
    ・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」
    ・世界文学ベスト100冊(Norwegian Book Clubs)

  • なぜかはわからないけどある瞬間に無性に読みたくなって、読むとものすごく心が落ち着いて、けどそれがどうしてだかはやっぱりわからない、というのが最後まで続いた。会社の昼休憩に読んで泣きたくなるような心地さえした。
    この小説をなにかの枠組みにおさめたり、それらしい言葉で形容したりすることにはあまり意味があると思えないけれど、自意識の小説だ、と思いながら読んだ。たとえば「すっかり参っていた(48頁)」と書いたときのモロイの述懐に代表される、語ること、さらには語ることでそのたびにこぼれてゆくもの、そうして最終的にはその語り手である自身、そういうものへの意識が絶えずこの小説には絡みついている。
    モロイが庭に横になって男たちにまたがれていきながら消えてしまった自転車に言及するところと、モランが息子と自転車に乗って転ぶところがめちゃめちゃ好きだった。

  • 難解、読みにくい。世界観が掴めない、身体にも頭にも障害がある一部の語り手モロイの、考えるままに飛んでいく思想につきあわされるのにとにかく疲れます。こういう文、「失われた時を求めて」みたいだなあと思ったが、そのときもめちゃくちゃ読みにくくて辛かった。フランス文学肌に合わないところある。原語では面白いのかもしれないが、、、これは言葉の壁か知らん。
    第二部のモランの視点となり幾分読みやすい、と嬉しくなって読み進めたが、だんだん彼の意識も飛び飛びとなり、怒りに支配され膝に痛みをもったところで狂人となったか、息子に見捨てられ数ヶ月かけて帰った家での記録はめちゃめちゃになってる。
    悪趣味さは特徴なのだろうが、ほぼ不快だった。それが皮肉として捉えられず、面白いかとはあまり思えなかった。感性が足りないのかな。

  • 改行の重要性を感じる。
    とめどなく考えが移ろっていくモロイの頭の中が面白い。
    物語がどう収束していくのかが謎すぎる。

  • ベケットの小説三部作の第一作は『ゴド待ち』と同様二部構成。後半のモラン編はまだ通常の小説の構成を取っておりその行動の滑稽さや情けなさを笑うこともできるのだけど、全編改行を挟むことなく内面の独白が延々と続く前半のモロイ編は圧巻だった。ここでは世界を構造として理解する能力が失われてしまった様で、思考は形を成したと同時に次の思考の入口となり、そして入口としての役目を果たし終えた途端に次々と解体されていく。眠れない夜のとりとめのない思索というより、記憶を飛ばして二日酔いを迎えた時の酩酊感と言うべきか。恐るべし。

  • モロイは足が黒くコチコチになって曲げることができませんが、それが左足なのか右足なのか分かりません。窓の外に月が見えても、部屋が動いたのか月が動いたのか分かりません。モロイは母親の元へ向かっていますが、母親がどこにいるかしりません。そもそも母親の名前も知らないし、自分の名前も思い出せません。刑事モランはモロイを探して旅立ちますが、見つけてどうするのか知りません。そもそも自分の職業がなんなのかもよく分かりません。
    これを評価することは難しいですが、とりあえず読んで爆笑しました。

  • 不条理すぎる!
    特に前半は、章分けはおろか段落もほとんどないので、少し読むのが大変でした。

  • ベケット『モロイ』読了。
    興奮しているのが、脳みそのどの部分なのかがよく分からない。
    でもたのしい。
    ベケットと同じ誕生日なのが今さらながらにうれしい。
    読み終えるのにずいぶん時間がかかった。
    『ゴドーを待ちながら』を読んだときの
    冬で寒くて家に帰って急いでお湯で手を洗って寒さを溶かすような感覚
    はなかった。
    場所も時間も人も動く。

    数年前の「ベケット・サミット」懐かしいなぁ。

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著者プロフィール

1906年アイルランド生まれ。小説家・劇作家。『モロイ』『マロウン死す』『名づけられないもの』の小説三部作や、戯曲『ゴドーを待ちながら』を発表。1969年ノーベル文学賞受賞。1989年没。

「2022年 『どんなふう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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