アテネのタイモン (白水Uブックス (32))

  • 白水社
3.75
  • (6)
  • (4)
  • (9)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 66
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560070321

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • リア王のような主人公を創作したかったけど、タイモンにはリア王には備わっていた威厳が欠けていて馬鹿すぎるので放棄したのかな?
    シェイクスピアの研究者の中にも、アテネのタイモンをリア王の最初のスケッチだとか、死産した双生児だとか読んだ人たちもいたみたい。

    時代的な背景もあって、シェイクスピアの戯曲は基本的に女性を見下しているけれど、アテネのタイモンは一際ひどい。
    何もかも失って、友達すらじつはいなかったことに気づいて、現実を見据えて現状を改善する能力は彼にはないので、とにかく女性に八つ当たりをしていたのか?とにかく馬鹿な男だ。

  • タイモンは両極端な人物である一方、現実を直視せず自分の世界に逃避する姿勢は物語全体を通して変化しない。前半は人々に大盤振る舞いをする慈善家のように見えるが、執事の財政報告に耳を貸さず、また施しをする相手を見極めようともしないのは一種の傲慢というか、心が世界に対して閉ざされているのではないか。後半では「中庸を知らない」と言われるが、彼には現実を直視する目も欠けていると思う。
    現代版でSNSいいね中毒みたいなアレンジをしたら面白いかも。

  • アマゾンでシェイクスピアの本を検索していた時に、聞いたことなかったので読んでみた本。シェイクスピアは運命の皮肉のような物語が多いが、これもそう。
    ネタバレだか、財産をシコタマ持っているときは、周りの人に景気良く振る舞っている。その時は神よと崇められ鷹揚に接しているが、いざ散財して貧乏になりどの友人も助けてくれぬと知るや、鬼のように人を呪い世を捨て、暮していた街が滅ぶことを願うと言う話。
    財産に限った話ではないが、人間浮き沈みにより周りに寄ってくる友人が増えたり減ったりもする。賞賛されている時にこそ、自分や周りを見る目が試されるが、登場人物で横柄だか率直な、全ての人を腐すアペマンタスが実はその目なのではないかと思う。
    浮き沈みによる皮肉だけでなく、皮肉な視点で人を冷静にみている、アペマンタスの存在を登場させているところが面白い。人を腐すような視点もときには心の声として必要なのかもなあと思った。

  • 人を信じ疑わず、されど傷つけられれば崩れていく。
    シェイクスピア作品の中で一番好き。

  • ・解説には未完であるとか、筋が通らないとの評価があると書いてあったが、タイモンの迫力ある態度は、説得力があるものであると感じた。

  • 書店で見かけて衝動買い。シェークスピアによる「お金」をめぐる悲劇と言ったら良いか?他の有名作品と比べると、かなりアラの目立つ内容で何とも評価し難いところがある。やはり色々と研究者の間でも議論のある作品のようで、巻末の解説の内容も興味深いものだった。

  • 気前のいいタイモンが財産をすり減らし、孤独に狂い死にする話。どん底に堕ちるところがリア王、追放されたのちに復讐するあたりがコリオレイナスの要素が垣間みえる。トロイラスとクレシダの要素もあるらしいが、あいにくトロイラスの記憶がほぼない。。。いずれにしてもハムレットなどと比べると作品としての完成度は低い。

  • 未完?

  • 原題: Timon of Athens

  • 初・真面目シェイクスピア。話の謎が多く残ります。本来はもっと長い作品なんだけど、随所随所で抜け落ちてしまっている感じ。

全15件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

「2016年 『マクベス MACBETH』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウィリアム・シェイクスピアの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×