- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560072523
感想・レビュー・書評
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ジッドのエッセイやバタイユの論考で再評価されたという触れ込みに心惹かれてゴシック小説なるものを初めて買ってみた。
両親、兄弟間の確執から殺人へとつながる事件の顛末を編者の客観的視点から語るパートと罪人自身の主観から語るパートに分かれる。
宗教的偏見に捉われない父・兄に対して教義を徹底する母・弟。
編者パートでは陽キャ兄の生活が陰キャ弟によるストーキングを境に破壊されていく様が、罪人パートに入ると弟がある友人との出会いをきっかけにいかにして悪魔的な所業を重ねるに至ったのかが描かれる。
弟の出会った友人の正体が本書の解釈の難しさだと思うのだが、私は弟の精神が生み出した化け物が具現化されたものと考えたい。
途中何度も友人に反抗し逃げ出すが、いつも居場所を見つけられ最後には自分の都合に合わせて教義をねじ曲げ行動に移してしまう。
心のなかでずっと葛藤していたものの、最終的には自分自身で作り出した悪魔に支配されてしまったのではないか。
宗教や精神医学に明るい人が読めばまた異なった視点があるかもしれない。 -
【書誌情報】
『義とされた罪人の手記と告白』
原題:The Private Memoirs and Confessions of a Justified Sinner: Written by Himself: With a detail of curious traditionary facts and other evidence by the editor
著者:James Hogg(1770–1835)
訳者:高橋 和久(1950–)
出版社:白水社
シリーズ:白水ブックス;252
定価:2,530円(本体2,300円+税)
出版日:2024/03/27
ISBN:9784560072523
判型:新書 392
https://www.hakusuisha.co.jp/smp/book/b641799.html
【メモ】
・旧タイトルは『悪の誘惑』。
・1980年に(新装版は2012年に)、国書刊行会からが日本語訳がゴシック叢書として刊行くださいされている。