- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560081518
感想・レビュー・書評
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読んだ後の私は読む前の私には戻れない、かなり強烈な読書体験。
元々私は、文の一部を太文字にして強調するようなことはあまり好きではないのだけど(翻訳の場合、原書でイタリック体を用いているものは仕方ないと思うが)、この作品はそんなレベルではない。
でも手法が見事に内容と合っており、文章の内容から脳内で映像を構成するのと同時に、文章の見た目という画像が入って来て、それらが合わさって自分自身がより物語の中に入っていくような…うーん、表現するのは難しいけれど、今までにない読書だったのは確か。
しかも、小説の中の小説とそれを内包する小説との境が曖昧で、次第に小説とこちらの現実との境界も揺らぎ出す。
恐ろしい作品だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【選書者コメント】装丁に惹かれたので。
[請求記号]9300:1794 -
登場人物が作者に戦いを挑む。作者は土星として登場する。土星vsメキシコ系移民。男たちはみな女に振られた過去を持つ。みな後悔をこじらせている。切なさと情けなさで溢れる物語。
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(後で書きます)
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人にそれを感じるように、本にも運命を感じる時がある。
『紙の民』は、こういう本に出会いたくて私は読書をしているのだと気付かされた一冊。
感想は「素晴らしかった」 それしかない。
第1部:
人々は悲しみの膜で覆われている。表紙のように、淡い青色の。
号泣するような激しい情動ではなく、そっと、優しく日常に付き添う悲しみ。
ささやかに紙で指を切られるように。
ところが主人公のひとり、フェデリコ・デ・ラ・フェはこう言う。
上空から土星が我々を監視していて、その悲しみを商品化していると。 p58
だから人々は、悲しみから逃れることができない。
自由意志のために、土星に宣戦布告するフェデリコ・デ・ラ・フェ。
以下、読書メモ。長くなったのでブログにて:
http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2014/01/blog-post_24.html -
小さな小さなどーでもいい話しを壮大なスケールで描く。紙と神をかけているようなメタ小説。松本人志を土星とすると映画『しんぼる』にも似ている。装丁が抜群。
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女は頑なで、男はひたむき。
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第2回(2012年度)受賞作 海外編 第4位