血を分けた子ども

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309208558

感想・レビュー・書評

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  • 【今週はこれを読め! SF編】異なる存在との関係を通じ、切実な生の問題を描ききる - 牧眞司|WEB本の雑誌
    https://www.webdoku.jp/newshz/maki/2022/07/05/120331.html

    honto店舗情報 - オクテイヴィア・E・バトラー『血を分けた子ども』(藤井光訳)刊行記念オンライントークイベント 円城塔×藤井光
    https://honto.jp/store/news/detail_041000067065.html?shgcd=HB300

    血を分けた子ども :オクテイヴィア・E・バトラー,藤井 光|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309208558/

  • 味が濃くて、目が覚める短篇集。身体と願望の分かちがたさと、そこから生まれる苦しみと未来。バトラーの小説の登場人物は、お風呂に入らないとちゃんとにおいそうなのがいいと思う。とくに「恩赦」に、人類は最悪な存在なのが一分の隙もなく描かれていてとてもよかった。

    エッセイを読むと、たいへん真面目な努力の人だったのがわかる。SF風味がない短編はエッセイで窺える生真面目さが前面に出ていて、自分の中に共鳴する要素があまりない。そんなバトラーがスコシフシギを取り込むと、何か爆発的な圧を感じる短編を生み出すのがおもしろい。作家とジャンルの相性ということか。

  • SF。短編集。
    SFでない純文学的な作品やエッセイもあり。
    地球外生命体と人類の奇妙な関係を描いた2作品、表題作と「恩赦」のインパクトが凄まじい。世界観に圧倒された。
    「夕方と、朝と、夜と」も雰囲気は違うが、とても面白い。
    エッセイも良い。
    傑作。今年読んだ小説のベスト3には入る。
    アフリカ系女性の書く小説、好きかも。

  • ジャネル・モネイが崇拝する、とかいうのが目に入って借りてみた。やっぱ黒人女性だった。「すげーぶっとんでる」とか「ありえないほど繊細な表現」とかそーゆー感じではない。なんだかSFを読むのも書くのも「必要ないしがらみ」があるような気がしていて、なんならそれしかない本も過去に何冊か手にしていて、この人の作品はそういうめんどくささを省いてるので、読みやすい。それ故、説明がないとわかんないーところもあるんだろうが、説明(言い訳)が入るとSFに関してはキリがないジャンルなので、いっそのことこの人のように書くのが理想。

  • 作者はアメリカの数少ない黒人女性SF作家。
    今作は、1980年代から晩年に至るまでの短編およびエッセイを収録した作品集である。「血を分けた子ども」と「話す音」はヒューゴー賞やネビュラ賞を受賞している。

    暴力による支配や性搾取についての問題意識。言語や身体を通じて、物語を物語ることの意味。それらのテーマから紡ぎ出された物語は強い信念を感じるものだった。

    表題作は一人称の短編SF。「保護区」で生活する「ぼく」と、人間を支配下に置く多足類の生き物「トリク」の物語。支配・非支配の関係性は様々な階層のメタファーを内包しており、切実な問題意識を読者に与える。残酷でいながらどこか官能的な筆致も斬新である。

    本作の面白さは力関係の逆転劇を描くことではなく、覆らないその関係性からどんな感情が起こり、どう身体が反応するのかを描いている点だろう。男性の妊娠という本来とは逆の関係性から、その暴力性や主従関係を暴き出していた。

    各作品の終わりに付いている作者による解説や、エッセイも面白く、作品理解の役に立つ。暴力的、あるいはグロテスクに感じる描写はあるが、そこにこそ作者が伝えたいメッセージがあるのだと思うと痛切な気持ちになった。

  • 難しいけれど、読んでいて何処か心地よくなる文章 何回か読んで良さを味わいたい

    哲学を学んだ人は絶対すきな本だと思う

  • SL 2023.3.18-2023.3.20
    SFは自分で世界を創り出せるからなんでもアリだなと思っていたけど、この短編集では、その創り上げた世界は作者の考え、主張、訴えたいことが根底にあり、しかも今の時代の出来事を下敷きにしているんだと気づいた。
    地球外生命体や遺伝性疾患、伝染病によって、極限状態で人間性はどうなるのか、そもそも人類とはどういった存在なのか。作者は自らの経験も踏まえてSFの世界にそうした主題を描き出そうとしているのだと感じた。

  • 途中まで読みました。SFをしばらく読んでない身としてはなかなかハードな一冊でしたが、久々に空想の世界に旅立つことができました。またここに戻ってきたい。

  • ヤマシタトモコ先生が読まれていたので読んでみた。
    久しぶりにSFを読んだので、最初は世界観や人物関係を理解するのに苦労した。
    表題作の「血を分けた子供」では特に読み進めるのが難しかったが、少しずつ不思議な社会システムが理解できたところでテーマである愛が浮かび上がってきて圧倒された。
    自己破壊的な遺伝病に苦しむ「夕方と、朝と、夜と」は精密な設定で読み応えがあった。作者が後書きでお薦めしていた本もいつか読んでみたい。

  • なんといっても表題の「血を分けた子ども」がよかった。いろいろな解釈ができそうな、異形の生物との関係性。映像化したらおもしろそう。(リアルなCGじゃなくてアニメ希望)どの短編も最初、世界観や設定を理解するのに時間がかかった。それぞれのあとがき(作者コメント)や、作者の出自を踏まえると、なるほどと思う。

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著者プロフィール

1947年生まれ。アメリカのSF作家。「血を分けた子ども」でヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞。「話す音」でヒューゴー賞を受賞。2006年に59歳で没後にも伝説的作家として世界的な読者をもつ。

「2022年 『血を分けた子ども』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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