超男性(愛蔵版)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560095706

作品紹介・あらすじ

燃焼と恍惚、愛の永久運動
 「あなたは誰です、人間ですか?」壮絶な自転車レースと性交ゲームの果てに「超男性」を待ち受けるものとは……自らも自転車愛に憑かれた奇才による、1902年刊のアヴァンギャルドな「現代小説」。
 「超男性の神経系統と、もはや電流とは言えないかもしれない一万一千ボルトの機械とを結びつける、この反力学的な回路において、化学者も医者もエンジニヤも否定することのできなかった、明瞭なことが起っていたのである。すなわち、愛情を吹きこむ機械に作用を及ぼしているのは、むしろ人間の方だったのである。
 数学的に予想されていたように、たしかに機械が愛情を生産していることに間違いはなかったにしても、機械の方が人間に恋をしているのだった」。(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • 機械を超える「超男性」を目指す物語。1万マイルの壮絶な自転車レースと途方もない回数を目指す性交ゲーム。冒頭で「恋愛なんて取るに足らない行為ですよ。際限なく繰り返すことができるんですからね。」と言い放つ主人公アンドレ・マルクイユであったけれど、最後は己の言葉に裏切られてしまう。そして機械にすらも。何と皮肉なことだろう。読了してみて、正直その内容に当惑してしまう。その意味ではマンディアルグの「城の中のイギリス人」の方が解りやすい。一歩間違えると単なる滑稽本になってしまうのに、それを大真面目に書いているから凄い。でも澁澤龍彦がこれを翻訳しようと思ったのは何となく分かるような気がします。

  • 本書も長らく品切れだったもの。愛蔵版が一挙に3冊出たのだが、一番読者を混乱させるのは本書ではないだろうか(そういう意味では〝城の中のイギリス人〟は〝解りやすい〟)。
    『超男性』というインパクトのあるタイトルもさることながら、ストーリー、ラストシーンなど、良くも悪くも読んでいて呆然とするというか、半笑いになるというか、何とも言えない気分になるw なかなか面白い読書体験だった。澁澤龍彦じゃなかったらこれを邦訳しようとは思わなかっただろう。

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著者プロフィール

(Alfred Jarry 1873-1907)
フランスの詩人・劇作家・小説家。ロワール地方の町ラヴァルにて生まれる。ブルターニュ地方の町で幼少期を過ごし、大学受験のためパリへ上京。象徴主義の作家たちに出会い、以降、文学の道に進む。マラルメのサロンや、デカダン系作家ラシルド夫人のサロンに出入りするとともに、ポン゠タヴェン派・ナビ派の画家たちとも付き合いを始める。1894年に、象徴主義を極限まで突き詰めたような詩と戯曲とからなる詩文集『砂の刻覚書』でデビュー。1896年、ユビュ親父が「どこでもない国」で王位を奪う戯曲『ユビュ王』を発表。その上演は大スキャンダルを巻き起こした。その他、『訪れる愛』『フォーストロール博士言行録』『メッサリナ』『超男性』などの小説作品を残した。

「2023年 『昼と夜 絶対の愛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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