鬼畜の家

著者 :
  • 原書房
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本棚登録 : 526
感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562046966

感想・レビュー・書評

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  • 読了、85点

    **
    「あたしの家は鬼畜の家でした。」
    母と兄の不審死に対する保険金交渉の為の有利な材料を見つけることを依頼された私立探偵榊原は依頼人からそう切り出される。
    北川家に関する調査を進める過程で様々な関係者から話を聞いていく榊原はやがてある大掛かりな犯罪を確信し…
    第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作にして著者の処女作。
    **

    今まで読んだいろんな作家さんの作品で、デビュー作だけ見るとトップクラスじゃないかと思う作品でした。

    話の構成や物語の根底にある毒っ気は湊かなえを連想させてくれますが、法律に関する書き込みやミステリー的な要素もこちらの方が優れていると感じました。
    話の重心がよりある種現実的なのも好み。

    序盤を読み進めていくと依頼人の母親である北川郁江の鬼畜っぷりにかなりムカッ腹が立ちます、ここまで登場人物に嫌悪感を抱くのはかなり久しぶり。
    が中盤以降本当にこのまま話が進むのかな?ちょっとしたら、、、、と想像しながら読んでましたが、P238で来たーーーと、そこからは一気に急展開と言ったところ。

    全体的に非常に良く纏まりつつも尖った部分もある自分好みの作品、という感じなんですが、残念な点も少しだけ。
    まず時系列的なラストにもう1シーン付け加えられていればどんな形にしろすっきりしたのに、というもやもや感が残ってしまいました。
    あと真相におけるスケールダウンと結局なぜあんなことをしたのか、、、が少しわからないのが残念。

  • 一つの家族とその周りで次々に変死がおこる、ある事情で探偵がその関係者に聴取する形でドロドロの物語は進む。上手くミスリードさせられ、徐々に明らかになる本当の鬼畜の姿…終盤の伏線の回収もお見事!デビュー作とは思えない面白さ、堪能させて頂きました♪

  • 60歳で弁護士を引退した著者の処女作で、第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作品。処女作とは思えない凝った作りで堪能させられました。「それはちょっと無理やろ」的な突っ込みどころがなくもないんですけど、次作への期待を込めて満点。

  • サスペンスが好きなので、ストーリー自体は面白かった。

    ただ、関係者にインタビューしている文章ばかりなので、ちょっと飽きた。

    展開も早いし、先が知りたくなって、どんどん読み進めた。

  • 「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした…」
    保険金目当てで家族に手をかけてゆく母親。その母親も自動車もろとも夜の海に沈み、末娘だけが生き残ることになった。
    母親による巧妙な殺人計画、娘への殺人教唆、資産の収奪…信じがたい「鬼畜の家」の実体が、娘の口から明らかにされてゆく。

    第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作です。
    作者の深木さんは弁護士をリタイア後、小説を書き始めたそうで。63歳での受賞です。

    いやぁ、面白かった!そして騙された。
    探偵役の榊原が調査上で聞き取りする相手の証言によるパートと彼と依頼主とのパートで話が進むのですが、次々出てくる新事実に翻弄されました。
    そしてまさかこのトリックが出てくるとは。予想していなかったので驚きました。
    よく読めば予想できたはずなのに。
    巧い構成でした。

    さすが元弁護士というべきか。保険金や遺産がらみの部分はさすがの説得力でした。
    島田さんが最近おっしゃっている
    「人生経験を積んだ団塊世代こそ執筆すべき」
    というのが納得。

    タイトルは「鬼畜」ですが、読後感は悪くなく、ぜひ次も読みたいと思いました。

  • 「あたしの家は鬼畜の家でした」母親による保険金殺人、殺人教唆……、たった一人生き残った少女が語る鬼畜の家の実態とは……。
    なんてイヤな話だ、と眉をひそめて読み進むうち、すっかり作者の術中にw。関係者たちの証言の中から浮かび上がってくるインパクト大な"鬼畜"の所業の中に真相を隠蔽する巧みな構成がとにかく素晴らしい。
    巧妙にちりばめられた数々の伏線も見事。

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著者プロフィール

みき・あきこ1947年東京生まれ。東京大学法学部卒。元弁護士。60歳を機に執筆活動を開始、2010年に『鬼畜の家』で島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。『衣更月家の一族』『螺旋の底』が第13回・第14回本格ミステリ大賞にノミネート、『ミネルヴァの報復』が日本推理作家協会賞にノミネートされるなど、注目の作家。他の著書に、『敗者の告白』『殺意の構図』『交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー』『猫には推理がよく似合う』『消人屋敷の殺人』『ミネルヴァの報復』『消えた断章』『罠』など多数。

「2023年 『欺瞞の殺意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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