魔女がいっぱい (児童図書館・文学の部屋)

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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566010581

感想・レビュー・書評

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  • ロアルド・ダールの三冊目。
    表紙画像の魔女の絵が怖いでしょう?ええ、確かに怖いのよ。
    ところがこれが面白くて、口角が緩みっぱなしのままワクワク・ハラハラの一気読み!
    怖さと可笑しさとちょっとしたほろ苦さもあり、そして最後は勇気まで出てくる。これこそ子ども時代に読みたかった傑作。

    さて、表紙の真ん中にいるのは「大魔女」と言われる、言わば魔女のトップリーダー。
    周りの禿げ頭たちも魔女。魔女って、魔女って・・・丸禿げなんだって。
    禿げを隠すために一年中かつらを被り、それで蒸れるからかゆくてたまらない。更に、長いかぎ爪を隠すためにいつでも手袋をしている。
    他にも特徴がいくつかあるが、それを教えてくれたのは主人公のおばあちゃんだ。

    8歳にして両親を亡くし、ノルウェーのおばあちゃんにひきとられた男の子がお話の語り手。
    辛く悲しい日々が、このおばあちゃんの興味津々な語りで埋められていく。
    そして、魔女について予備知識を蓄えた「ぼく」は、ある日本当に魔女の群れの中に入り込んでしまった。魔女が大嫌いなものは「子ども」。さて、どうなる?

    そんな、まさかと思いながら、シュールな展開に眼が離せない。
    その読み手の心の底辺には、おばあちゃんがいるから大丈夫という圧倒的な信頼がある。
    86歳で、強い葉巻をプカプカふかし、困ったことに心臓も悪いおばあちゃんだが、何しろものすごくカッコいい。
    魔女によって変身させられた「ぼく」の言葉にもそれが強く表れている。
    「かわいがってくれる人がいれば、自分が誰だとかどのように見えるかなんて、たいしたことじゃないもの」
    ダールって、心憎い作家さんだわ。
    奇想天外に見せておいて、ちゃんとこういう場面を用意するんだもの。
    元の姿に戻れないままの「ぼく」だが、おばあちゃんの寿命を考えればこれが幸せだったのかも。
    そうしてこのふたりは、最強のコンビとなっていく。

    情け容赦のない魔女の仕打ちと、想像を超えた思いがけないラスト。
    日本ではまず生まれないお話だ。こんなお話を子どもに読ませて大丈夫?という方もいそう。
    はい、大丈夫ですとも。このおばあちゃんの存在がある限り。
    「チョコレート工場の秘密」とこの一冊を、皆さんにもおすすめします。

  • かつら文庫で借りた本
    ロアルド・ダールが好き。
    ネズミになれてよかったんだよ、だっておばあちゃんはずっと生きてないから、ネズミになれば悲しい思いをする時は少ないかもしれない、もしかしたら先にいなくなっちゃうかも、いや一緒にいけるかも。
    本にはもう書かれない部分にも安心が続くところが好き。

  • ノルウェーとイギリス・ケント州,ボーンマス~僕が両親とノルウェーに里帰りした時に事故で両親が死に,お祖母ちゃんに引き取られることになったが,魔女に気を付けるようにと語った。両親の遺言には世話はこのお祖母ちゃんがするけど,イギリスで学校に通うように指示していた。いやいやイギリスに戻ったが,夏休みにはノルウェーに帰るのを楽しみしていたが,肺炎で帰ることが出来なくなり,ボーンマスのホテルで夏休みを過ごすことになった。ペットのハツカネズミに芸を仕込むのに,宴会場の衝立の陰を選んだが,英国愛児協会の看板を掲げた会議室は,200名を越えるイギリスの魔女が集まり,大魔女の壮大な計画が披露された。菓子屋を買い取って,魔女の敵こどもに開店記念に菓子を配るのだが,それに一滴ずつ処方第86番時限ネズミニナールを垂らし,学校でネズミに変えてしまい,学校の先生に殺させて,こどもの全滅を狙うのだ。ホテルに滞在していたブルーノは昨日食べたチョコバーにより目の前でネズミに変わってしまった。疑う余地なく震えていると,魔女の一人が僕の犬のうんちの臭いを嗅ぎ付け,捕まった僕は一瓶のネズミナールを呑まされ,ネズミに変わってしまったが,すばしこく逃げ回り,ブルーノ君と共にお祖母ちゃんの許に帰ることができた。魔女の部屋は僕らの部屋の真下。大魔女は材料を集めきれないばばあ魔女の為に薬の瓶を配ると云っていたから,魔女の夕食会に薬を仕込めば良い。編みかけの靴下にネズミの僕を入れて上のバルコニーから大魔女の部屋に潜り込んだ僕は一瓶盗みだし,ばばあ魔女が押し掛けて混乱する隙に,僕らの部屋に戻り,厨房に侵入して,魔女のスープ鍋に一瓶分の薬を入れることができた。スープを呑んだ84名(僕の数え間違い)の魔女は皆,ネズミに変身し,ウェイターやコックに追いかけ回された。ブルーノを嫌がる両親に返し,僕はお祖母ちゃんに連れられてノルウェーに戻り,魔女の本拠地のある,このノルウェーで,魔女の助手をネズミに変え,猫を放って退治して貰い,名簿を手に入れたら,世界中を飛び回って魔女退治をするんだ。ネズミの寿命が短いなんて,幸いかもしれない。僕を可愛がってくれるのは86歳のお祖母ちゃんしかいないんだから~ボーンマスは滞在していたことがあったので,あの気怠いような雰囲気が伝わってくる。もっとも,避暑地は3月だったから,海辺のホテル街は死んだようだった。ノルウェーは行ったことがないけど,魔女がたくさんいても不思議ではないような土地柄なのだろうか。ダールの少年時代,大人から見たこども達は商売相手にならない,小さくて小汚いネズミのようだったのかも知れない。今は『お子様』の時代,昔は『ガキ』。少子化は,子どもの扱い自体を変えている。この小説は挿絵も良いが,読み応えもある。未読だと思っていたのに,新しい装丁のもので前に読んでいたのが判って吃驚,がっかり

  • 見つけた子どもに容赦しない魔女の話を聞いた少年が、その魔女たちの集まる集会に偶然居合わせてしまう、というお話。

    魔女の様相が非常に醜悪、という描写が逆に子どもウケしそう。

  • 小学生のとき大好きだった。少しエグいような描写とブラックユーモア炸裂な感じがたまらんくワクワクする。シーンに絵がついて思い出せるくらいには何度も読んだし、物語の面白さがものすごい。今読んでもきっと楽しい。

  • ゆかい、ゆかいな話、皮肉もたっぷり。ロアルド・ダールらしい!

  • 面白かった。なんて不思議で楽しい物語んだろう。女の子がいきなり消えて、絵の中に描かれていたり、男の子が消えてイルカになってりするのが不思議だった。おばあちゃんは魔女のことをたくさん知っている。主人公の男の子は本当に勇敢。どきどき、ひやひや、わくわく。読んでいて楽しかった。

  • 小さい頃読んで、すごくドキドキひやひやわくわくしました。
    この作品と、映画『ネバーエンディングストーリー』で私のファンタジー好きは確立されたかもしれない。
    子供ができたら読ませようと思います。

  • 小学生の時国語の先生に読んでもらった。本当に先生が魔女じゃないかって思ってました。
    リアルでユーモアもあるけど少しホラー。本当にお薦めです。

  • 私が小学生の頃、読んだ本です。すっごく大好きで、何度も何度も読みました。
    それから約15年。本屋で探して、やっと手に入れました。
    子供達にはまだ難しすぎるけど
    ぜひぜひ読んで欲しい1冊です。

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著者プロフィール

ロアルド・ダール(Roald Dahl)
1916年9月13日 - 1990年11月23日
イギリス・ウェールズのカーディフにて、ノルウェー移民の両親のもとに生まれた。第二次大戦中にイギリス空軍エースパイロットとして活躍するが、事故で重傷を負う。その時代の逸話をもとに、作家デビュー。ブラックユーモアあふれる短編小説、児童文学の書き手となった。
代表作に、『チョコレート工場の秘密』。ティム・バートン監督にジョニー・デップ主演で『チャーリーとチョコレート工場』として映画化された。他にも『父さんギツネバンザイ』などがあり、『ファンタスティック Mr.FOX』として映画化された。

ロアルド・ダールの作品

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