小さなバイキングビッケ (評論社の児童図書館・文学の部屋)

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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566013797

作品紹介・あらすじ

今から千年ほど昔、スウェーデンやノルウェーの海岸には"バイキング"とよばれる人たちが住んでいました。船で遠征しては町をおそい、人々からおそれられていました。そんな男たちにまじって、力ではなく、知恵でたたかった小さなバイキングがいました。世界じゅうで愛されるビッケの、はじめての冒険の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの頃アニメで見ていたものの、ストーリーは記憶になかった作品。最近ヨーロッパでアニメ映画になったようだと聞いて、改めてストーリーを知りたいと思って本を手に取った。
    小さく力もないビッケはバイキングとしては確かに異端なのだろう。でも、そんなビッケが、大の大男たちを手玉に取る様は痛快!
    子ども時代に読んでおきたかった。
    小学校中学年くらいからは読めそう。
    ちょっと吉四六さんや彦一さんに通じるものがあるとような気がする。

  • ♪ビッケ ビッケ ビッケ ビッケ♪
    ♪楽しいバイキング~ 小さなバイキング~♪
    …という歌のアニメを放送していましたがほとんど見ていませんでした。
    キャラクターは有名だったので、あの髪型(おかっぱ)の人は”ビッケ”という渾名になったりしていました(笑)

    ***
    ビッケは逃げていた、怖ろしい狼から!
    スウェーデンの海沿いのフラーケ地方。ビッケは勇敢な族長バルバルの一人息子で、将来は勇猛果敢なバイキングとしての働きを期待されている。
    しかしビッケは身体は小さく戦いは嫌いだし敵は怖い。でもその分知恵が回る。
    猪突猛進なお父さんのバルバルさんは、ビッケが力の弱い事は不満だけど、その知恵と愛嬌を可愛がっている。だってバルバルさんが商人に騙された時も、親子で石運び対決をした時も、幼いビッケは知恵で乗り越えたんだから。
    それにバルバルさんは、強い奥さんのイルバさんには頭が上がらないんだ。

    バルバルさんは、自分のバイキング船でビッケを初航海させることにした。
    乗っているのは勇敢なバイキングたち。バイキングは強いぞ!大きな町にはお金があるぞ!ちょうどいい城があったら攻め落とすぞ!絶体絶命になったら勇敢に戦って死んで高名を遺さねば!
    そんなバイキングたちにビッケは知恵を働かせる。「すぐ死ぬとか言わないでちょっと考えようよ」そしていつも良い知恵を出してきた。
     みんなが牢屋に閉じ込められたときは、魚の鋸(ノコギリエイ?)で格子を斬って脱出。
     数人のバイキングがお城の捕虜になったときは、城に見習い小僧として入り込み、牢番や道化師たちと仲良くなり鍵を盗んで逃がした。
     せっかくの宝を税徴収されそうになったときは上手い隠し場所と徴収役人たちの誤魔化し方を考えた。
     ただただ乱暴な別のバイキング一味に追われた時だってビッケの知恵で逃げ切った。

    こうしてバイキングたちとビッケの航海は進んでゆくのでした。

    ***
    児童文学ですが、バイキングの働きやルール、地域ごとの特徴、当時の街の様子などが感じ取れます。
    ところどころからただただ「かわいい・愉快」だけでなく、戦いに対する反対表明もあるのかなとも感じました。バイキングたちが他の土地に遠征し、「城があったら攻め落とすのがバイキングだーー!女の人にだってもてるんだぞ~~」なんて言っていますが、大人目線では、いやそれもててるんじゃなくて…とか、戦争やらその後の混乱やらを考えてしまいますからね。

  • スウェーデンのバイキングの男の子・ビッケが主人公の楽しい物語。
    力自慢で、戦って奪うことを楽しみにする荒くれ者のバイキングの中で、ビッケは頭をつかって問題を解決します。
    自分は臆病だし怖がりだ、と思っていても、仲間たちのために敵の中に乗り込んでいって、立派に大人と渡り合うビッケはすごい!

    そんなビッケのちょっと子供らしい一面もかわいらしかったです。
    族長でもあるお父さんとの競争に頭をつかって勝ったビッケは、少し生意気なふるまいをしてしまいます。
    それをお母さんに「うぬぼれてはだめ」とたしなめられると、きちんと謝り、その後はお母さんの言葉どおりに思いやりを大事にしています。
    頭がよくて、素直で、仲間思い…ううん、いいこだなぁ…。

    大人たちのちょっと単純なところも微笑ましかったです。
    お父さんのハルバルとお母さんのイルバの力関係にも、ついにまにましてしまいました。

  • アニメーション映画が面白かったので原作も、と読んでみたのだけど、全く違う話で驚いた。
    映画はシリーズのこの後の話なのかな?
    でも面白かった。
    力ではなく知恵で切り抜ける話は、読む子どもにとって心強いよね。

  • 『小さなバイキング ビッケ』シリーズの一作目です。このシリーズ、ずっと前にアニメで放送されたことは知っていたし、歌だって歌えますし、『ワンピース』の元ネタ的な作品でもあることも分かっていましたが、原作が存在することまでは知りませんでした。図書館をぶらぶらしていてこの本を見つけた時は本当にびっくりしましたよ。

     さてそれで読んでみました。これは面白い。いうなれば「子ども向けピカレスク・ロマン」でしょうか。

     主人公のビッケは海賊の頭領ハルバルの息子で、教養があり心根も優しく非常に賢い海の男です。

     彼は争いごとが嫌いで平和を好み、肉体的にも他の海賊たちには及びません。仲間がピンチに陥った時に、彼は知恵を振りしぼってそれを乗り切ります。

     でもやっぱり彼は海賊の一員で、いうなれば犯罪者集団のメンバーなわけですから、仲間を助けようとするとどうしても反体制的な行動になってしまいます。その過程でちょっぴり罪悪感を抱き、それでも葛藤しつつ最後にはちゃんと仲間を助けるから、まあ考えようによっては結構とんでもない奴です(笑)

     とはいえこの物語がやけに面白いのは、ビッケの繰り出す作戦というのが、いちいち「優しい」んですね。できるだけ暴力に訴えず、時には交渉し、時にはスパイ大作戦みたいな変装やトリックを使い、敵と理解し合えるような方向にもっていくのです。

     そのため、敵対する相手を出し抜いて終わるのではなく、ビッケの作戦によって逆に相手の長所があらわになったりします。海賊の大冒険と聞いて僕らが思い描くものとは程遠い、知恵と優しさの物語であります。

  • 有名どころ、読んでみたくて借りました。

    ビッケは、バイキングの男の子。
    族長で勇猛なお父さんのハルバルとは正反対で、ビッケは臆病ですが、よく頭が働き知恵があります。
    今年の夏は、ビッケもバイキング遠征に行くことになりました。
    原書は1963年発行、シリーズ1冊目。

    表紙を見るかぎりは性別がわからないビッケですが、男の子でした。
    いきなりオオカミに追いかけられて逃げているシーンからはじまり、すぐにビッケの賢さがわかります。
    奴隷のこと、海賊の人殺しのことなども少し出てきますが、現代に満ちている刺激ほどではないのだろうと思います。
    お父さんのハルバルの勇猛なエピソードも、お母さんのイルバから実はちょっと情けない結果だと暴露されてしまって、笑えます。
    数々の危機をのりこえるビッケ、冷静ですごいなと思います。
    大人の鼻を明かすような指摘も少しあり、「いいぞ」と思ってしまいました。笑
    冒険や海賊好きな子、おもしろい本を探している子に。
    性別に関係なく楽しめると思います。

  • 小さいときにアニメを見て好きなお話でした。その時はビッケのトンチと、力に頼ってばかりのバイキングたちをからかう様子が面白かったです。
    今読んでも、ビッケの知恵にわくわくしてしまいます。そして人の心の動きをうまく利用していること!「自分が重要であることを気にしている人ほど利用しやすいことはありません」というくだりは頷いてしまいました。
    ビッケがうぬぼれそうになったときに動き出す「狼の足」は最高のお守りだと思います。ビッケの賢さはお母さん譲りなのでしょうね。

  • ビッケシリーズの第1巻.小2の子供に.自分では読み始めなかったけれど、読み聞かせを始めたら「読んで読んで!」とせがまれ、後半3分の1はひとりで一気に読み切った.賢いビッケとおバカだけどチャーミングなバイキングのやり取りが面白い.

  • 8-11世紀にデンマーク、ノルウェー、スウェーデンにいたという海賊の話。知恵あるビッケがスマートに物事を解決していくのが楽しい。

    が、「エルマーの冒険」みたいな、先の読めないドキドキ、意外な発想、笑える愛しいキャラ、みたいなのが少なかったかも。

    ビッケ以外はほぼおじさんの話だから、なんか、このおじさんたちがあまり好きじゃなかったのかも。

  • 2016.8月
    なんか一休さんみたいだ。イラストも装丁もかわいい。これは子どもに読んでほしいなあ。もう少し大きくなったら少しずつ読み聞かせてあげたいな。

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