- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569563664
感想・レビュー・書評
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「「三国志」の人物学」3
著者 守屋洋
出版 PHP文庫
p123より引用
“孔明も仲達も、「怯」と批判されながら、負けない戦い方に徹
することによって、智将、名将の評価をかちえたことを忘れては
ならない。”
中国文学者である著者による、三国志の人物について書かれた
一冊。
人間関係についてから個々の人物についてまで、有名なエピソー
ドを交えて解説されています。
上記の引用は、司馬仲達について書かれた項の中の一文。
他人の評価を気にせず、いかに損失を出さずに済ませるか、難し
いことだと思います。周りの人からどう思われているかを気にせ
ずにいられるほど、私はまだまだ達観できていないので、せめて
人の評価が耳に入らないようにしようと思います。
しかし忠告はしっかりと効かないといけないでしょうから、これ
また難しいところです。
1984年の出版から30年弱経っていますが、p16の7行目の記述は
興味深いところです。
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三国志に出てくる英傑の人物像を現代社会に照らし合わせて評している。凡庸であっても人徳で有能な臣下に恵まれ、負け負けの戦歴ながら気が付けば一国の主となりえる。反対に有能であっても天狗鼻で人徳がなければ連戦連勝でのし上がっても、たった一回の失敗でも潰される。それとは別に奇才と呼ばれる人は人徳を超越した存在として立ち位置を持てる。我々サラリーマンもそんなもん。奇才は別として英傑になりえた将軍達はそれなりの努力をしているはずで、その努力の過程を自分はどの英傑のように過ごしたいかと妄想しながら本書を読んでみるのも楽しいもの。
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5/15読了。
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僕は三国志マニアです。世代としては横山光輝『三国志』世代で最初はやはり漫画から。そして、光栄のだすシミュレーションゲーム「三国志」シリーズを軒並みやりながら、吉川英治『三国志』を読みました。ここで硬派な三国志オタは「信長の野望」をやりません、邪道です。三国志オタの種をまいている妖精さんが「やっちゃだめなんだから、うふふ」とそれを拒否するのです。そして、このあたりで三国志オタになる人は「演義」と「正史」を区別するあたりに恍惚を感じだします。<BR>
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当然、僕もその道を歩むわけでまずは演義を読み、正史にあたるようになります。そんな折、誰もがお世話になるのが守屋洋先生です。もう、もうもう、守屋先生に脚向けて眠れないよね、わかるよね、みんな。守屋先生は専門書もいっぱい書かれているのだけど、興味をひきだす入門書や概説書もいっぱい書かれていて知的生きかた文庫やPHP文庫他からものすごいいろいろ出版されています。<BR>
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どうやら常にファンが生みだされているせいか僕みたいなマニアがいるせいか、三国志本は一定の売り上げがあるようです。まあ、この手の文庫は守屋先生が大体一枚かんでいて三冊も読むと内容がかぶりだすのですが、そんな守屋本のなかでも最初期の好著が『「三国志」の人物学』です。<BR>
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すでに何冊も三国志本を読んでいる人には物足りない感じがするかもだけど、曹操と劉備、孔明と仲達の「関係」や、「トップ」「参謀」「奇矯」の人の解説など面白いところをさらっとかちっと押さえていてお茶漬けのような気持ち良さ。しかも、章を割いて扱われることの少ない「諸葛格」などにも三国志本黎明期なのに紙面を割いていたりして、なんか感動するのです。<BR>
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さあ、読もう。何度も繰り返し読もう。ちなみに守屋本で欠かせないのが「孫子」そして「老荘」です。特に『孫子』は必読すぎます。是非、ぼろぼろになるまで全篇、暗記するほど読みましょう。おおむね座右の書となるに違いないのだ。個人的に<A href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837908039/yumemine-22" target="_blank">『孫子の兵法がわかる本』</A>よりも、<A href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837900186/yumemine-22" target="_blank">『孫子の兵法』</A>のほうを断然おすすめします。