- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569655611
感想・レビュー・書評
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入門だが初心者用ではない。少なくともニーチェ、フッサール、ハイデガー、マルクス、構造主義あたりは軽くでも押さえた上で現代思想の流れを追うための本である。その意味で哲学用語や独特の観念が断りなく出てくるので読み進めるのは大変で更に現代思想の難解な物言いがその上から被せられるので一回読んだ位では到底理解できるはずもない。
ただざっとした流れはわかるのでそれを頼りに、自分の興味を持ったところから少しずつ理解を深めて行くのがいいかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本を読んで最初に思ったことは、“入門書=カンタン”というのは思想書においては、特にあてはまらないということ。
この本は、読み物としての性格はほとんどなく、思想の教科書、特に概説書という性格が強いので、ただ単に読み物として楽しみたい人には向いてないかもしれません。
ただし、はじめに大体の思想の流れをおさえつつ、そのあとで一人一人の学者について軽く説明して流れを補っているスタイルなので、それぞれの学者の立場が印象として残りやすかったです。
あと、フランクフルト学派についてしりたかったら、この本を読め!、のようなカンジで、今後の学習の進め方を解説してくれているのが非常に助かりました。
僕の中では、自由主義の概念の広さとそれを達成するためにさまざまな説や立場が多様であることに、強く興味を惹かれました。
特に、ロールズとノージックの対比に着目してもっと調べてみたいと思います。 -
読めることは読めるが基礎知識がなかったので読むのに苦労しました。しかしポストモダン思想やフランクフルト学派に僕の興味を持っていくきっかけとなった本であり、難解だがいい本だと思う
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2007/04/29 読了 ★★★
2010/08/09 読了 -
思想は常に現状の後追い、という印象。一時的に思想が先行(思想の実現を図る現象)することがあっても、それが覆される事象が発生し、思想が後出しじゃんけん的に現象の説明を試みる。思想に意味があるのか、社会の役に立つのか、という疑問も浮かぶ。 歴史が同じ失敗を繰り返さぬよう、落とし穴を埋めていくのが思想家の仕事なのか? ・ドゥルーズ、ガタリの「欲望する機械」ノマドと農耕、スキゾとパラノが本質に内包されている。人はなぜ7年で飽きるのか、と類似の構造。 ・ネグリ、ハートの「帝国」「マルチチュード」グローバリゼーションをローマ帝国になぞらえ、その内部崩壊をマルチチュードの台頭で解釈。
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フランクフルト学派、ポスト構造主義、現代リベラリズム、カルチュラル・スタディーズ、ポストコロニアリズムなどを解説。ちょっと難しかった。
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090102購入。090131読了。
構造主義/ポスト構造主義とは?→脱マルクス主義
<マルクス主義>
唯物論、精神は物質に従うという哲学否定の哲学。デカルト/カント系譜の揺さぶり
?ヘーゲルへの回帰→ルカーチ(「疎外革命論」、意識からの革命)
?マルクスとの融合→サルトル(客体と主体の弁証法、「アンガジュマン」)
?脱マルクス主義→フランクフルト学派(「自然回帰」、普遍的な理性を前提とするあらゆる近代哲学への懐疑)
・ベンヤミン・・・消費がユートピアへの夢を見させ、我々は自然から遠ざかる(「ファンタスマゴリー論」)
・アドルノ・・・「貨幣」と「芸術」を巡る逆説
<60〜70年代「ポスト工業主義」>
◎対立図式の変化
性差、エスニシティ、管理、大衆、文化産業・・・
→「大きな理論(マルクス、ヘーゲル)」から「ミクロな理論(ベンヤミン、アドルノ)」へ
・アドルノの系譜→ハーバマス(カント的コミュニケーション的理性)、ボードリヤール(記号と消費)
自我哲学(デカルト、カント)でもなく、唯物論でもない「記号論的世界」→ポストモダン思想
<構造主義(ポストモダンの背後)>
『人間のあらゆる認識や振る舞いは無意識レベルの「構造」によって規定されている』
・レヴィ=ストロース、ラカン、バルト
☆サルトルvsレヴィ=ストロース、フーコー
・フーコー・・・非マルクス主義的な内面的抑圧(「パノプティコン」「生─政治」)
「人間(ヒューマニズム)の終焉」
<ポスト構造主義>
『「構造」は「メタ構造」に規定されている』
・デリダ・・・エクリチュールの抑圧構造の暴露、「書く行為」が歴史を事後的に作り出している(「脱構築」)
・ドゥルーズ、ガタリ・・・資本主義とエディプス三角形の批判(「欲望する機械」「スキゾとパラノ」)
<ポスト冷戦─ポスト構造主義のその後─>
◎ソ連の崩壊によるポストモダンの不必要化と新自由主義的資本主義、アメリカのグローバルスタンダードの台頭に対抗できる新たな「大きな理論」の待望
☆リベラリアン・・・ロールズ
☆リバタリアン・・・ノージック
☆コミュニタリアン・・・サンデル、マッキンタイヤー
☆リベラル・アイロニスト(「基礎付け拒否」)
<カルチュラル・スタディーズ、ポストコロニアル・スタディーズ>
◎CS→文化における階級闘争(但し「他者」を実体化しないという点においてマルクス主義とは異なる)、西欧内部の他者
・スチュアート・ホール、ポール・ギルロイ
◎PC→半外部的、西欧批判
・サイード、スピヴァク(「オリエンタリズム」、「サンバルタンは語るか」)
<帝国>
◎資本のグローバル化する力を逆に利用し発展的奈自己か痛い追い込む
・ネグリ=ハート(「帝国」「マルチチュード」「共」)
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わかりやすい。それは書き手の実力もさることながら、本書の構成も読み手が理解できるよう配慮されて作られているからだと思う。
その構成だが、3層構造になっている。
まず、最初に売れっ子仲正昌樹氏による大きな総論「現代思想の変遷」。さすがだ。
次に、各論。「フランクフルト学派」「ポスト構造主義」「リベラリズム」「カルスタ」の4つ。
その内部で、さらに総論・各論と、2つの層に別れている。その全体像について、簡単にまとめたあとで、代表的な思想家について詳しく解説するという構造になっている。
最後にはブックガイドもついている。
とてもわかりやすい。
個人的には、「フランクフルト学派入門」的な書物には出会ったことがなかったので、とくにその部分は役に立った。
現代思想に興味があるなら一読の価値あり。
いうことなしの★5つ。
ちなみに、本書の編集は文化系トークラジオLifeに主演なさっている斎藤哲也さんによるものである。斎藤さん、ありがとうございます。 -
『現代思想入門』毛利
「カルチュラル・スタディーズとは「文化」をめぐるさまざまな議論の総称である。カルチュラル・スタディーズは、常に複数形で示される。これがひとつの統一的な理論や方法論に集約されることがないことを意味している。」(P198)
「スピヴァク:unlearn 私たちは日常的に知識を学んでいる。しかしこのこと自体が特権的なことであり、まず知識を持っていることの特権性を認識しなければならない、とスピヴァクは言う。けれども知識を持つことは、偏見を持つことであり、同時に損失でもあるのだ。私たちは、自分たちが得た知識の特権性を解体した上でそれを再構築しなければいけない、それが「学び捨てる」ということである。」