書店員と二つの罪

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569848600

感想・レビュー・書評

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  • あの書店だし、書店員のお仕事部分は興味深かったが、こんな重苦しい内容とは思わなかった。犯罪者の告白本もムカムカするが、家族を守ることの重さが辛い。

  • 17年前殺人事件が起きその後17年が経って、この中学の出身である正和は、東京で書店員をしていたが事件で正和も関わる事に成る。弟は事件の後引きこもり正和の実家の名古屋で三人で暮らしていた。父は死に母と弟を見る為名古屋の書店に変わるこの時の母は偉大だ、とにかく母強い、この母の様にはなれない。

  • 久しぶりにミステリーっぽい空気を味わう。高田馬場の書店といえばあそこかなぁ~とか考えながら読みました。本橋くんの熱さが素敵でした。
    2021/6/1読了

  • +++
    ベストセラー「書店ガール」シリーズの著者が描く、慟哭のミステリー
    書店員の椎野正和は、ある朝届いた積荷の中に、少年犯罪者の告白本があるのを知って驚く。それは、女子中学生が惨殺され、通っている中学に放置された事件で、正和の同級生の友人が起こしたものだった。しかも正和は、犯人の共犯と疑われてしまい、無実が証明された後も、いわれなき中傷を受けたことがあったのだ。書店業界が「売るべきか売らないべきか」と騒然とする中、その本を読んだ正和は、ある違和感を覚えるのだが……。
    出版・書店業界の裏事情を巧みに盛り込んだ、著者渾身の長編小説。
    +++

    書店とその周辺で起こる事件の謎解き物語かと思って読み始めたのだが、まったく違うショッキングな事件をめぐるシリアスな物語だった。殺人事件を起こした者の身近にいた人たちの、事件後の苦しみや葛藤、事件のことは聞きたくないが、真相を知りたいという欲求のはざまで揺れ動く心を制御できなくなる辛さ。真につらいことを封印する脳の働きと、封印が解けたときの衝撃など、胸に迫る場面が数多くあり、考えさせられることだらけで、正義と信義のバランスをどうすればいいのかに悩み、自分だったらどうするかと考えるも、答えを出すのは難しすぎて、思わずうなってしまう。スカッとはしないが、遥か先に光が見えた気がして、ほんの少しほっとした一冊である。

  • お母さん、立派です。

  • 重くて暗いテーマを いくつも含んだ作品

    少年犯罪
    過激な報道と 周りで生活する人たちの受ける傷
    匿名な世界で飛び交う誹謗中傷
    若者の社会不安

    それぞれの事情が交差して そこで感情が動く

    動いた感情が行動を起こさせる

    本を読むことに 意義と愛情を持っている人の気持ちを代弁してくれるような場面も多い

    ミステリーとしてだけではなく感情の 深い部分を揺する 面白い作品だった

  • 17年前の女子中学生殺人事件の犯人が書いた告白本。書店員の椎野正和は当時中学3年生で被害者は同級生だった、そして·····その犯人もまた同級生の幼なじみだった。正和も共犯と疑われ家族共々マスコミの餌食となり誹謗中傷され心に傷を負った。17年の時を経て蒸し返された事件、思い出したくもない事件、そんな告白本の違和感に正和は気が付き調べていく。
    加害者でも被害者でもなく犯人に非常に近い友人の立場と書店員としての立場で告白本に接する葛藤に共感する。ある意味事件の被害者である正和は17年間事件に社会に苦しめられてきた。悲しい、悔しい。
    真相に近づくに連れ、罪に対する罰と贖罪の意味、正義とはなんなのか?良いと悪いの狭間で揺れ動く。
    既視感のある事件、二つの罪を考えさせられるミステリー。
    ★★★★★ 5.0

  • 牧野さんのフィクションの持つ力についての発言が印象深い。
    内容も読みやすく面白かった。自分も含めて人間を信じること、大事にすること、生きていくことのために何かを忘れないと続けられないことも多い。

  • 実際の猟奇殺人事件と犯人による手記に題材を取ったと思われる。

    事件そのものを掘り下げるわけではなく、周辺で人生を狂わされた人々の苦悩やそれに派生する事件や出来事がテーマとなる。

    あえてあの事件を題材にする必然性はみえなかった。

  • 碧野圭さんの新境地?と言いたくなるようなサスペンスミステリー。終始暗闇を彷徨うような内容で、読後の気分はドンヨリ。書店員の椎野は、ある日搬入された新書を見て仰天する。それは17年前に世間を騒がせた猟奇的殺人事件の告白本。椎野はこの事件の関係者だった。本の発売をきっかけに椎野の周囲はきな臭く動き出す。文章自体は読み易いんだけど内容が重い。どう考えても実際のあの事件を彷彿とさせるので気分が沈む。ラストもモヤモヤと黒い霧が心にかかる。釈然としないが、じゃあ何が正解かと言われると何も言えねぇ。倫理観が問われる。

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著者プロフィール

愛知県生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。フリーライター、出版社勤務を経て、2006年『辞めない理由』で作家デビュー。大人気シリーズ作品「書店ガール」は2014年度の静岡書店大賞「映像化したい文庫部門」を受賞し、翌年「戦う!書店ガール」としてテレビドラマ化され、2016年度吉川英治文庫賞にもノミネートされた。他の著作に「銀盤のトレース」シリーズ、「菜の花食堂のささやかな事件簿」シリーズ、『スケートボーイズ』『1939年のアロハシャツ』『書店員と二つの罪』『駒子さんは出世なんてしたくなかった』『跳べ、栄光のクワド』などがある。

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