家康の海

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569853581

作品紹介・あらすじ

家康の真骨頂は外交にあり! 西欧諸国の思惑、朝鮮との国交回復……知られざる徳川家康の外交戦略とその手腕を描いた長編歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 徳川家康の外交を描いた歴史小説である。NHK大河ドラマ『どうする家康』の予習になる。江戸幕府は鎖国の印象が強く、江戸幕府を論じる場合は貿易重視の織豊政権と対照的に位置付けられる。平氏政権、室町幕府、織豊政権が西国基盤、商業、海運重視、鎌倉幕府と江戸幕府が東国基盤、農業、陸運重視というように。しかし、家康個人は貿易を重視していた。家康の時からキリスト教禁教の動きはあったが、後の鎖国政策が延長線上にあるのか、転換したのかは議論がある。

    オランダ船リーフデ号が慶長五年(一六〇〇年)三月一六日に豊後に漂着した。家康は南蛮人(スペイン、ポルトガル)と紅毛人(オランダ、イギリス)の相違を理解し、貿易相手として後者を重視するようになる。

    それはキリスト教の布教と貿易をセットにするカトリックよりも、布教しないプロテスタントを重視したと説明される。しかし、キリスト教以前に安易に「大丈夫」と答えるスペイン人の無責任さに不満があった。家康はスペインに浦賀に来航して貿易することを依頼した。宣教師に問い詰めたが、「大丈夫。大丈夫。もうすぐ上手くいきます」と誤魔化された(102頁)。家康の家臣の向井将監は「スペイン人でしたら、何を頼まれても大丈夫、大丈夫と、調子よく引き受けます」と呆れている(39頁)。

  • 秀吉による朝鮮出兵から家康による鎖国までの外交を家康、アダムス(三浦按針)の目を通して描く歴史物語。サクサクと読めるが、途中から歴史の教科書のようでダレてしまった。花村さんの『ゲルマニウムの夜』を読了後、軽くて明るい物を読みたくなり、以前に読んだ『万事オーライ』が良かった著者の本を手に取りました。サクサクと読めましたが、ちょっと軽すぎたかな。

  • 図書館に大河ドラマ用の特設コーナーがあり、そこで展示されていたので借りて読む。著者の植松三十里さんは女性。みどりと読む。さんじゅうりと読むと思い、戦国物を得意とする硬派の作家と勘違い(男性的なイメージ)。みどりさん(女性)らしい作風なのだろうけれども、政治問題や国際問題よりも人間的な心の機微を扱った小説。
    戦国を終わらせたい家康と、戦国の世に翻弄された人々、といった内容で、戦いの場面はなかった。

    おたあジュリアや三浦按針は以前から知っていて、キリスト者として興味があった。それもあって読んだ。その興味は満たされたが、期待していたような内容ではなかったので星は三つ。

    こういう作風が好きな方にはもっと評価が高いのだと思います。

  • 合戦の話が無い!

  • こういう視点で書かれた家康の話はもしかしたら初めてだったかもしれない。多分この話に書かれた家康だけでなく、戦さのない世にしたいのは皆同じだったろう。江戸幕府はそれでも一定の期間、国内から戦をなくし、世界とも鎖国によってその芽を摘んだ。
    今の世の中で、この時の日本のように鎖国が政策として成り立つ国はほぼないだろうと思うから、やり方として参考にはできないし、戦のない世にしたい思いはいくら強くても、今の世界を見ればわかるようにそれでも戦は起こる。
    この話自体は、登場人物それぞれ掘り下げればとんでもない長い話になったろう。それをあまり掘り下げなかったから、読みやすくはなっているけど、テーマは面白いんだから、ちょっと残念な出来だったかな…

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著者プロフィール

静岡県生まれ。東京女子大学卒業。2003年『桑港にて』で歴史文学賞、09年『群青 日本海軍の礎を築いた男』で新田次郎文学賞、『彫残二人』で中山義秀賞。著書に『帝国ホテル建築物語』『万事オーライ』等。

「2023年 『羊子と玲 鴨居姉弟の光と影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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