- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569854427
作品紹介・あらすじ
頼山陽の『日本外史』は司馬遼太郎の小説に匹敵するほど面白い本である。一方で偏った読み方をされやすい一冊でもあり、例えば吉田松陰は弟子たちと本書を読む際、平和を築いた徳川の功績を全く無視してしまった。古代のギリシア人著述家プルタルコスが説く「ヘロドトスの悪意」の第三(立派な業績や称賛に値する手柄を省略すること)に当たると言えよう――。
歴史学の泰斗が歴史書を読む愉しみや落とし穴を語った上で、青春時代最も感動した作品『留魂録』、美談や偽善では民主主義を守れないことを教える『ギリシア人の物語』、大きな時間枠でエネルギーを考える『エネルギーの人類史』など名著75冊を紹介。
【本書で紹介している本の例】
●『エネルギーの人類史』 先史から現代へ変遷見渡す
●『Humankind 希望の歴史』 小社会では親切で共感力のある人が権力を得る
●『アルファフリー』 公平な者は異教徒でも望ましい
●『言志四録』 歴史で混沌を乗り切る
●『昭和天皇実録』 歴史全体を俯瞰する意義
●『徳川家康』 家康はなぜ「大坂の陣」開戦に踏み切ったのか
●『ギリシア人の物語』 美談では守れない民主主義
●『外交の戦略と志』 志の高い外交とは
●『ハイブリッド戦争』 宇宙・サイバーを通した挑発や衝突を読み解く
感想・レビュー・書評
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歴史の専門書というよりも、歴史上の人物・出来事をテーマとした比較的読み易い本が挙げられている。山内先生の読書ジャンルの幅は広く、プロレスの新書も取り上げている。それぞれの本の読後感を通じて、読者に対して、現代日本に対して少し辛めのコメントを発信しており、深い洞察と頼もしいアドバイスを感じることのできる本で、読書リストがまた増えることは間違いない。
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8月26日 毎日新聞 書評
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50324851 -
はじめにー真実は陰気、嘘は陽気/第1章 歴史書の愉しみ方と落とし穴/第2章 歴史を俯瞰する名著/第3章 歴史上の名著/第4章 近年の歴史学の成果/第5章 現代を読み解くために
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歴史に関する書籍75冊の書評集。1冊あたり概ね2ページ〜4ページの短さで説明されていて読みやすそうに見えたが、意外と難しくて読むのに時間がかかった。私が聞いたことがない本・全然知らない知識・専門外の内容ばかりで難しかった。読むのが大変だったが、学びは多かったとは思う。
23ページ
ある一つの地域や時代に詳しいだけでは、物事を類比することはできない。自分が好きな領域だけに閉じこもっていては、その分だけ知識は増えるであろうが、歴史の大局的な見方はなかなか磨かれないのである。
→同意はするけどやはり知らない領域・苦手な領域を学ぶのは難しい。
71ページ『アルファフリー イスラームの君主論と諸王朝史)』
望ましい知識とは、「学問の専門家と相談し、当面する困難状態をそれによって克服することを可能にする程度に学問に親しむ」ことを意味する。政治家は学者になる必要がなく、必要なときに学者を活用すれば良いのだ。
→これも同意できる。現代でも同じことが言えるし、もっと言えば政治家と学者以外の組み合わせでも当てはまると思う。現実的で合理的な落とし所はここになることが多いだろう。
245ページ『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』
日本人は軍事という観念をあまりにも狭くとらえがちな国民である。古典的な陸海空の戦争空間ではなく、宇宙・サイバーを通した挑発や衝突は稀な現象ではない。
→(主語が大きすぎるような気はするが、)主旨には気づきがある。昨今の海外からのDoS攻撃やフォームスパム送信の増加は国際的な攻撃であり軍事の一部と考えるべきというのはわかると言えばわかる。 -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/563954 -
1992~2021までの新聞・雑誌記事をまとめたもので75冊の本を紹介。硬軟様々ではあるが、全体的には軽めの本が多い印象。特に、5章の現代パートには書名からはやや逸脱した「歴史」に関する本とは言えないモノも含まれており、少々強引に集めてしまったようにも思える。
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<目次>
第1章 歴史書の愉しみ方と落とし穴
第2章 歴史を俯瞰する名著
第3章 歴史上の名著
第4章 近年の歴史学の成果
第5章 現代を読み解くために
<内容>
著者は中東イスラム研究の権威。この本は『週間ポストや東京人に寄稿してものを再編集したもの。イスラムの話はもちろんプロレスから映画まで。著者の教養を示すものになった。