- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575238136
作品紹介・あらすじ
孤独に暮らす老婆と出会った、大学生の総司。家族を失い、片方の目の視力を失い、貧しい生活を送る老婆は、将来を約束していた人と死に別れる前日のことを語り始める。残酷な運命によって引き裂かれた男との話には、総司の人生をも変える、ある秘密が隠されていた-。
感想・レビュー・書評
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泣いた。
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大学生の総司は単位を取るためだけに老人用弁当の宅配ボランティアを始めます。そこで出会った老婆カエ。戦争で家族と片目を失い孤独に生きる彼女は、不自由で質素な生活をしているのにとてもお茶目で、ひとつひとつの行動が本当に乙女で可愛いです。楽をすることしか考えていなかった総司が、悲惨な戦時中の体験や初恋の思い出を聞くことによって、戦争を自分で調べようとするほどに変わっていきます。嫌でもひきこまれ、涙こぼさずにいられません。ミスリードをきちんと含んだしっかりしたミステリだったところもとても良かったです。
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まじめなボケをかますカエ婆ちゃんと、思考はイージーだけど好青年な現代っ子総司の軽快なやり取りがおもしろく一気に進む。世代がだいぶ離れた二人の交流のほのぼのした結末を思い描いた矢先、物語は意外な様相を見せ始め、もう最後まで勢いは止まらない。壮大な仕掛けとアナグラム、読者は洩れなくカエ婆ちゃんの手のひらの中。
見えない想いに守られている限り人は孤独じゃない。作中の「…人間に生きる力を与えてくれるのは、いつも他の人間なんだもの…」の言葉が読後胸に温かく流れ込んでくる。 -
軽かったけど、思ったより
良い読後だった。
いろいろ浅いけど。
杉村さんに気をつけた方がいいってのは
なんだったのかしらん⁇
あと、表紙の絵は内容とあってなさすぎでは…
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意外性でびっくりの連続。
女性はいくつになっても女でありたいものなんだなあって
実感。
お茶目なおばあさんを演じつつも胸に深いおもいがこもっていたんだね。
日本語の言葉遊びが秀悦!!! -
語り継ぐべき戦争の哀しさ、そして、現代社会の課題を示しながら、軽快にユーモアを交えてミステリアスに進む。読後感も爽やか。
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最後まで目の話せないストーリーでした。
老婆と交流を持つ事で、本来持っている優しい青年の心が素直に出せる大人に成長したのも、老婆との出会いがあったから…
見ず知らずの若者と老婆が茶飲み友達になるなんて絶対ありえないと思うが、こういう関係こそが現代にかけている所なんだろうなって思います。
この作品はミステリーなんですが、ミステリー作品にしてしまうのはもったいないなぁ〜 -
なかなか面白かった。
老婆と青年の交流と挿入される老婆の戦争中からの物語が語られる。
そしてラストにその物語に関する謎解きが行われる。
なかなかいい作品でした。