史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989

  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575317503

作品紹介・あらすじ

80年代は『アップダウンクイズ』『クイズタイムショック』など素人参加型のクイズ番組がひしめいていた。そして、誰もがニューヨークに行きたいと憧れた『アメリカ横断ウルトラクイズ』。最強のテレビ観察者・てれびのスキマこと戸部田誠が、ウルトラクイズのなかでも伝説として語られる第13回大会を中心に、当事者たちの証言を基に描く青春群像劇。運動でもなく勉強でもなく、クイズを選んだ青年たちのノンフィクションノベル!

感想・レビュー・書評

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  • 自分も出たいなあと思っていたアメリカ横断ウルトラクイズの、伝説と言われた第13回にフォーカスした、ノンフィクション。
    テレビで当時観ていたが、あの熱気はすごかった。

    本書によると13回ウルトラクイズは第一次予選終了の時点で、大学クイズ研関係者が三分の一を占めてしまい、番組制作側は焦ったという。
    ウルトラクイズは、普通のクイズ番組という枠組みでは無く、クイズを通じてニューヨークを目指す人間ドラマが感動を生むというコンセプトで様々なキャラクターがいてくれた方が、良いと考えていたのだ。
    しかし、結果は大変盛り上がり、多くの人の記憶に残る印象的な会になったそうだ。

    クイズに青春を燃やした人々の物語が長戸勇斗を中心に描かれている一気読みした良書。

    番組を知らない人にも熱気は伝わると思う。

  • 1989年、日本の繁栄のピークとクイズ文化の華やかな青春群像


    1989年の第13回アメリカ横断ウルトラクイズを軸に、そこに集う若者達の「クイズ青春物語」。

    中学時代にリアルタイムでテレビにかじりついてた世代としては、すごく楽しめました。

    当時、まだ市民権を得ていなかった「クイズ研究会」などの話は本当に「青春」ですねー。

    当時、日本全国に同時多発的に現れた「クイズ研究会」的なものは豊かな時代になってそういった文化趣味に属するものに若者が没頭できる環境が整ったから、という原因を考えると、マンガ、アニメオタク文化が勃興してきたのと同じ文脈で考えていいのかなと思いました。

  • 漫画やラーメンは、今や日本を表す代表的な
    大衆文化と言っていいと思います。

    しかし最初からそうだった訳ではないが、先
    人たちが人生を賭けて「最高のモノ」を求め
    た結果、今や誰もが知る日常的な文化にまで
    昇華したのです。

    クイズもまた同じです。

    今でこそ「東大王」や「Qさま」など、TVコ
    ンテンツとして見ない日はないほどのクイズ
    番組。

    今ではクイズ作家なる職業も生み出している
    「産業」でもあるのです。

    その契機となったのが「アメリカ横断ウルト
    ラクイズ」です。

    まさしくこのイベントに人生を賭けた若者た
    ちが数多くいました。

    現在では視聴者参加型のクイズ番組はほとん
    ど存在せず、回答者は芸能人に限定されてい
    ますが、当時は素人つまり一般人が参加して
    いたのです。

    それでも視聴者を惹きつけた企画力と演出力
    には目を見張るものがありますが、何より参
    加者の熱気が凄いのです。

    「神回」と語り継がれている1989年「第13
    回アメリカ横断ウルトラクイズ」で繰り広げ
    られるドラマを中心に、まだ単なる娯楽でし
    かなかったクイズに「人生を賭けた」若者た
    ちの青春を追う眩しいばかりの人フィクショ
    ンです。

  • パーフェクトな青春群像劇
    ボルティモアをゼロ地点としてそこにいたる若者たちの息遣いや化学反応。80年代終盤から90年代の競技クイズブームを知るものとしては、最高のドラマでした。

  • 大学のクイズ研究会の創世記における有名プレーヤーの群像劇。

    熱い、とにかく熱い!
    「坂の上の雲」を読んだ時に似た感覚、いやもっとかもしれない。

    やっぱりこういうマインドが新しい何かを生み出したり、大きな強みを築けたりするんだよなー。

    個人的に結構辛い時期に読み、大昔にNPOの立ち上げをした頃のことを思い出し、パワーを貰った1冊。

    ■おススメできる人
    0→1の苦しみ/楽しみに興味があり、往年のクイズ番組をよく見ていた方にはドンピシャ。

  • 第13回ウルトラクイズを中心に、80年代のクイズ界を丁寧に振り返っている
    小学生だった自分も、ニューヨークと富士山を目指したことが思い出される
    この作品を書いてくれたことに感謝
    多くの人に読んでもらいたい

  • 「ニューヨークに行きたいかー!!!!!!」
    「おーーーー!!!!!!」

    「罰ゲームは怖くないかーー!!!!!!」
    「おーーーー!!!!!!」

    ウルトラクイズがテレビで放映されていた当時、私はまだ出場資格はありませんでした。毎年流れているスケールの大きい番組に「いつか出たい」と思っていたものです。

    残念ながら出場できる年齢になる前にウルトラクイズ自体は終了してしまいましたが、ウルトラクイズの多くのファンがそうであるように、私も「第13回」は、何度も何度も、それこそビデオテープが擦り切れるまで見ていました。

    まさか30年以上たって新しく情報が出てくるとは…。

    頭の中にこびりついている映像と合わせ、一気に読み進めることができました。

    惜しむらくは、『クイズは創造力』という本をもう一度復刻してくれないかな…とは思います。度重なる引っ越しでどこかに行ってしまったんですよね…。

  • 今なお、いやむしろますます勢いを増している感すらあるクイズ番組。その膨大な歴史の中から第13回アメリカ横断ウルトラクイズの準決勝をクライマックスに据える形で記されたノンフィクション。まさに「事実は小説より奇なり」を具現化するかのように運命の歯車が絶妙に噛み合って紡がれていく人間ドラマが読み応え抜群。インターネットが存在しない80年代に各地のクイズ好きが繋がれた奇跡。読んでいる最中はほぼ小説の世界にいる感覚。なぜ現在もクイズ番組はテレビから消えないのか?なぜクイズはそんなにも人を熱くさせるのか?その答えが本書にある。

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著者プロフィール

戸部田誠(てれびのスキマ)
1978年生まれ、いわき市在住のテレビっ子。お笑い、格闘技、ドラマ好き。『週刊SPA!』『週刊文春』「水道橋博士のメルマ旬報」などで連載中。『splash!!』『TVBros.』などに寄稿。近著に『売れるには理由がある』(太田出版)がある。
個人ブログ「てれびのスキマ」
https://littleboy.hatenablog.com/

「2022年 『タモリ学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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