- Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575512236
感想・レビュー・書評
-
浅田氏の作品の中では珍しい怪談短編集。ただしどの作品も根底には、人の世の遣る瀬無さや生きる難しさが丁寧に織り込まれている。
また、一話目の「赤い絆」と最後の「お狐様の話」は、奥多摩の神官一族であった母方での実話であるというから驚き。狐憑きは怖いなぁ…。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おバカ・エンタメからお涙頂戴まで何でもこなす浅田次郎だが、ホラー、怪談の類は珍しい気がする。しかし、どの篇もそつなくまとめつつ、イントロとコーダを伯母の寝物語で閉じるという粋な構成で、流石のストーリーテラーぶりを発揮。
いずれ劣らぬ佳作揃いで順番を付けるのは難しいのだが、ストーリーで選ぶなら、結末をあえて提示しない『客人』か、コミカルなタイトルで聖職の継承を描く『昔の男』。恐しさで選ぶならドッペルゲンガーの恐怖を描いた『虫篝』。 -
面白かった!でも怖い話がたくさんだったな。
-
浅田次郎が子供のころに実際に親戚から聞いた話がもとになっているもの2編、その他体験談から発展させたもの5編。
浅田次郎は神道系の家系に生まれていたとは知らなかった。
実際に叔母や母親から聞いた話をアレンジした「赤い絆」、「お狐様の話」は実話だと思うと恐ろしい。
「赤い絆」は霊的なものはたいして出てこないけれど、おどろおどろしさは十分。
「客人(まろうど)」は相手が人間なのか幽霊なのかが判断出来ない終わり方で怖い。
戦争ものが2編あって、用語が難しかった。
最近読んでいる軽いホラーと比べるとやっぱり文章がうまいなあ…と思い知らされた。 -
怪談というほどおどろしくはないです。
不思議とか、不気味さとか、悲しみとか、癒しとか。
どの短編も何かしら心に残る、秀作集だと思います。
私は大好き! -
「赤い絆」と「お狐様の話」が特に心に残った。特に「赤い絆」は若い男女が心中をはかり女性の方は苦しみながら二日二晩生きているという話。しかも誰も手当せず回りは死んだ事にしている。昔の話ではあるが現実感を感じながら読むと苦しくなる。「お狐様の話」は一種異様な、昔、田舎でおじいさんから聞きそうな内容だった。子供の頃、大人から聞いた話は本当に怖かったのを思い出す。
-
美しくも物悲しく、そして気味が悪い怪談短編集。やはり文章が上手いので読んでいて非常に「いやな気配」を感じる。怖い。
なお、解説にネタバレがあるので最初に読まないほうがいい。