あやしうらめしあなかなし (双葉文庫 あ 25-2)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575512236

感想・レビュー・書評

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  • 浅田氏の作品の中では珍しい怪談短編集。ただしどの作品も根底には、人の世の遣る瀬無さや生きる難しさが丁寧に織り込まれている。
    また、一話目の「赤い絆」と最後の「お狐様の話」は、奥多摩の神官一族であった母方での実話であるというから驚き。狐憑きは怖いなぁ…。。

  • おバカ・エンタメからお涙頂戴まで何でもこなす浅田次郎だが、ホラー、怪談の類は珍しい気がする。しかし、どの篇もそつなくまとめつつ、イントロとコーダを伯母の寝物語で閉じるという粋な構成で、流石のストーリーテラーぶりを発揮。

    いずれ劣らぬ佳作揃いで順番を付けるのは難しいのだが、ストーリーで選ぶなら、結末をあえて提示しない『客人』か、コミカルなタイトルで聖職の継承を描く『昔の男』。恐しさで選ぶならドッペルゲンガーの恐怖を描いた『虫篝』。

  • 面白かった!でも怖い話がたくさんだったな。

  • 浅田次郎が子供のころに実際に親戚から聞いた話がもとになっているもの2編、その他体験談から発展させたもの5編。

    浅田次郎は神道系の家系に生まれていたとは知らなかった。
    実際に叔母や母親から聞いた話をアレンジした「赤い絆」、「お狐様の話」は実話だと思うと恐ろしい。
    「赤い絆」は霊的なものはたいして出てこないけれど、おどろおどろしさは十分。

    「客人(まろうど)」は相手が人間なのか幽霊なのかが判断出来ない終わり方で怖い。

    戦争ものが2編あって、用語が難しかった。

    最近読んでいる軽いホラーと比べるとやっぱり文章がうまいなあ…と思い知らされた。

  • 心霊的な要素を含んだ短編集。どれも味わい深くて良い。ゾクッとする話が多いけど、「昔の男」だけはユーモラス。浅田さんの小説は怖さの中に切なさがある。この中で特に好きなのは「遠別離」。自分が死んだことを理解していない戦時中の兵士の霊と妻との時空と、この世あの世を超えての再会。切なくて泣けます。

  • 浅田次郎のミステリアスな短篇集です。

    著者がこどもの頃、伯母から聞かされた“こわい話”を元に書いた「赤い絆」「お狐様の話」。作家になる前に体験したエピソードをふくらませた「虫篝」など、日本特有の神秘的で幻妖な世界で起こる、哀しみと幸いの奇跡を描く極上の奇譚集。「文学の極意は怪談にあり」を見事に体言した七つの優霊物語。

    異なるストーリーなんだけど共通のテーマで綴られ、面白く一気に読めます。

  • 怪談というほどおどろしくはないです。
    不思議とか、不気味さとか、悲しみとか、癒しとか。
    どの短編も何かしら心に残る、秀作集だと思います。
    私は大好き!

  • 「赤い絆」と「お狐様の話」が特に心に残った。特に「赤い絆」は若い男女が心中をはかり女性の方は苦しみながら二日二晩生きているという話。しかも誰も手当せず回りは死んだ事にしている。昔の話ではあるが現実感を感じながら読むと苦しくなる。「お狐様の話」は一種異様な、昔、田舎でおじいさんから聞きそうな内容だった。子供の頃、大人から聞いた話は本当に怖かったのを思い出す。

  • 久しぶりに読んだ浅田次郎作品。
    やっぱりいいなーと思いました。

    文章も綺麗と言うか、お上品な感じだし、物語にすっと入り込める。
    日本人なら、浅田次郎を読まなくちゃって気分になる(笑)

    短篇集7話。遠別離が一番グッときたかな。巻末のインタビューもとても興味深く読みました。浅田次郎自身も奥が深い!

  •  美しくも物悲しく、そして気味が悪い怪談短編集。やはり文章が上手いので読んでいて非常に「いやな気配」を感じる。怖い。
     なお、解説にネタバレがあるので最初に読まないほうがいい。

著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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