蛇行する月 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575518948

感想・レビュー・書評

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  • 著者の市井の人々の生活、生き方、内面の描写はいつもながら見事です。
    人は生きるために生きてるんだと思わせてくれます。

  • 桜木紫乃さん、時々無性に読みたくなるこのローテンションな感じの世界観。憂鬱で圧迫感があってもやもやして、それでもそれが日常で、ドラマチックなことを期待するわけでもなく淡々と過ぎて行く日々の中で物語が少しずつ変化して進んでいくところが、妙にリアルでけっこう好き。静かに色々考えを馳せたくなる一冊。

  • 幸せの形は人それぞれ、なんて当たり前のことだけど社会生活に揉まれているとついつい世間の流れに身を任せてしまう自分がいる。
    でもやっぱり、感覚を研ぎ澄まして心の声に耳を傾け、自分にとって大事なことってなんだろうって考えたい。そう思った。

  • 「東京に逃げることにしたの」釧路の高校を卒業してまもなく、二十以上も年上の和菓子職人と駆け落ちした順子。親子三人の貧しい生活を「しあわせ」と伝えてくる彼女に、それぞれ苦悩や孤独を抱えた高校時代の仲間は引き寄せられる。…わたしにとって、本当のしあわせとは何か?ままならぬ人生を辿る女たちが見いだした、ひとすじの希望。生きることへの温かなエールが胸に響く物語。

  • 人生人それぞれだなぁ、順子さんがずっと幸せを感じていたらいいなぁ。

  • 全体の流れがとても良かった。読中も読後も余韻が止まらない。
    一見、苦労の連続である。だけど、読むにつれて、考えが改まる。それぞれの価値観や気づきで人生は何色にも変わっていく。死ぬことにさえ希望が持てる。
    自分の人生のようだけど、大なり小なりと周りの人生からも影響は受ける。私の中にもいろんな人の人生が入っているのだろうか。
    今の自分に影響を与えてくるものは、出来るだけ自分に合うものを選んでいきたいと思った。

  • あなたは、今、幸せですか?
    そう問われたら、一体どれだけの人が、幸せだと答えるだろうか。

    20歳以上年上の和菓子屋の主人と駆け落ちした女性の高校時代の同級生4人、駆け落ちした女性の母親、夫に逃げられた和菓子屋の妻という6名の視点で語られるそれぞれの生き方。
    作中では、25年の時が流れる。
    私は幸せだと述べる駆け落ちした女性の生活は、決して豊かなものではない。
    それでも幸せだと言う彼女の様子を見せられたら、幸せとは何かを考えざるを得なくなる。
    本当の幸せは、人と比べていては手に入らないことに気づかされる傑作の連作短編集である。

  • 自分のある環境や手にしているものに満足し、自分は幸せだと感じれる。人から見たら全然幸せそうには見えなくても、自分が幸せならこれ以上無敵なことないよね。
    「幸せ」って感じながら生きていきたいな。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    「東京に逃げることにしたの」釧路の高校を卒業してまもなく、二十以上も年上の和菓子職人と駆け落ちした順子。親子三人の貧しい生活を「しあわせ」と伝えてくる彼女に、それぞれ苦悩や孤独を抱えた高校時代の仲間は引き寄せられる。―わたしにとって、本当のしあわせとは何か?ままならぬ人生を辿る女たちが見いだした、ひとすじの希望。生きることへの温かなエールが胸に響く物語。

    それぞれの女性は個々に精一杯生きていて・・・それはそれで良いが、順子を見てあ~だこ~だ言う神経に今一共感できず。長い年月を経て最後には皆それぞれに幸せをつかむって事なんだろうが・・・

  • 北海道の田舎を舞台に書かれた小説って、閉鎖された空間における絶望が描かれていることが多いと思う(私の男・桜庭一樹先生著)けど、この蛇行する月では、その絶望を描きながらも、その環境でしか見つけられない境地のようなものに各登場人物が達しているような気がして、とても読後感が爽やかだった。

    「私の男」も「蛇行する月」も、とても好きな作品です。

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著者プロフィール

一九六五年釧路市生まれ。
裁判所職員を経て、二〇〇二年『雪虫』で第82回オール読物新人賞受賞。
著書に『風葬』(文藝春秋)、『氷平原』(文藝春秋)、『凍原』(小学館)、『恋肌』(角川書店)がある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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