姑の遺品整理は、迷惑です (双葉文庫)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575525625

感想・レビュー・書評

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  • 面白そうだな~と思ってかりてみた。

    独り暮らしの姑がスーパーの帰りに突然死してしまう。
    月に8万もかかる姑のマンションをどうにか片付けたい望登子は一人で遺品の整理をする。
    マンションはエレベーターもない4階。粗大ごみもたくさんあり、一人でゴミを捨てるのも一仕事。
    姑のマンションに通ううちに、捨てようと思っていた傷んだ野菜が無くなっていたり、誰かがこたつを使っていた形跡があったり不可思議な事も起こってくる。
    気にしないように夫を連れて片付けにいくのだが、夫は物を捨てられないタイプの人で、自宅に持っていくといい、頭を抱える望登子。その荷物は自分の部屋に置いてもらうこととした。
    ここで面白いのはやはり、自分の母親との比較だった。
    実母は残された時間の中で、色々と片づけをし、自分の物はすべて処分をしていた。それと比べ姑は消火器やらランニングシューズ、はてはウサギまで残していった。
    実母は清々しいほどに飛ぶ鳥後を濁さずを貫いたのだが、果たしてそれは残された人にとって思い出までも処分してしまう結果になったのではないか?それとは反対に姑の持ち物を見ると思い出ばかり思い出すと、思う望登子だった。
    結局、自治会の丹野さんを筆頭に手伝ってもらうことになった。丹野さんは生前姑にとてもお世話になったということでことごとく助けてくれていたのだった。
    最後の最後で姑は本当に慕われていたという事が判明する。
    目標通り、2か月余りで遺品整理が出来た。夫も姑の思い出の品を自宅に持ち込んだけれど、結局捨てる事になり、なおかつ自室の片づけまですることになった。

    『業者に任せたことで、何か大きなものを見落としたんじゃないかって。金物ものという意味じゃなくて、思い出があちこちに残っていたはずなの。』
    業者に任せるのも一長一短あるのかもね。

    でも、私も姑の遺品整理をするとしたら、思い入れがないからガンガン捨てられると思う。そういう人は必要だと思っている。



    ーーーーーーーーーーーー
    独り暮らしの姑が亡くなり、住んでいたマンションを処分することになった。業者に頼むと高くつくからと、嫁である望登子はなんとか自分で遺品整理をしようとするが、あまりの物の多さにたちすくむばかり。「安物買いの銭失い」だった姑を恨めしく思いながら、仕方なく片づけを始める。夫も手伝うようになったが、さすが親子、彼も捨てられないタイプで、望登子の負担は増えるばかりである――。(帯より)

  • 一人っ子の夫の母が亡くなり、そのアパート(団地)へ、遺品整理に行くことになる。

    描写は克明、想像通り。

    どんな人も予定がいになくなると、綺麗事では済まされない。

    初めは、がんの告知を受けた実母が生前から身辺を整理し、何もなかったことと比べて、イライラし通しだったのだが、何遍か通ううちに義母と近所の人々との関わりが見えてくる。

    最後は人それぞれ、もっと話をしておくんだった〜と。
    しみじみとした結末になっている。

  • モノを残すと、残された人にとって迷惑をかけるということ。モノを溜めすぎないこと。

  • タイトル通り。。一長一短

  • 2023.07.22 朝活読書サロンで紹介を受ける。垣谷さんはよく読書会で紹介を受ける。

  • 姑の遺品整理をすることとなった主人公。「遺品整理」の大変さにぞっとさせられた。
    が、その遺品整理を通して、姑、実母の生き方を知っていく主人公。温かい気持ちになった。

    学んだことと言えば、、、やはり遺品整理は大変そう(汗)

  • タイトルどおり、急逝した姑の遺品を整理するお話です。うちもダンナが一人っ子で新幹線を使わないと行けない距離だし、一軒家にある立派な家具の数々を思い出しつつ、面白いながらもゾっとしながら読みました。私の実家はもう20年近く前に仕舞いましたが、写真と母の指輪とまだ使えそうなモノ数点だけもらって、後はすべて兄に任せて業者に処分してもらったので楽ちんでしたね(兄ちゃんありがとう)。今のご時世、葬儀費用と共に遺品整理の費用も遺しておかないといけないなと思いました。

  • この作家さんの主人公は大体、あーこんな人いるわ。と、身近に感じられるのが面白いところ。
    古臭いものは嫌だ、時代遅れだ、なんだいいつつ、肝心なところは決めきれずダンナに任せたり友達に聞いて回ったり、ちょっとイラッとする女性だ。

    嫌なら嫌と言えばいいし、さっさと捨てるなら捨てちゃえよ、と思いながら読みました。

    何も残さず小綺麗にして去るのがいいと思っていた。
    今でもそれは変わらない。

    でも残されたものの中に想い出を感じる人がいて、あの日の光景を見る人がいて、時を一気に戻すタイムマシーンのようでもある。
    まるでそこに存在してなかったかのようにしていくほうが、残される人には親切だとさえ思っていた。
    でももし、一枚でも写真が残っていたら。1ページでも幼い頃の私を見る母の気持ちが綴られていたら。
    その1ページを死ぬまで大事に生きるかもしれない。

    確かにここに居て生きていたと残っていてくれよと、なんだかんだいっても思うものなのかもしれない。

    薬が多ければ体調を崩していたんだな、レトルトが多ければご飯作るのしんどくなってたんだな、そういう人生のかけらを拾い集めて想い出にして残された人は生きていくんだろう。

    姑の遺していったもの。モノはなくなっても人として愛されたことや誰かの心にちゃんと今もいること。
    それがなんだかジーンとくる。
    遺していったものでどんな人だったかを残された人は感じながら、そこからこれからの人生にいるべきものはなんなのかをまた改めて考えるきっかけになるだろう。

    こうやって生きてきたんです。
    そうなんですね、お疲れ様でした。
    そう最後言えたらいいな。

  • 初作家さん
    できれば避けて通りたい姑の遺品整理...
    実母と対比することで遺品整理のあり方を比較しながら進んでいく内容。

    遺品、どんな形であれそれを整理する過程で故人との思い出、関わり方、どんな人か、生き方をしたのか...が見えなかったものが見えてくる。

    家族でも、近所づきあいでも関わりが希薄になっているように感じる昨今...
    人と関わるってことを今一度考えてみようかな?と思わせられた...

    読みやすく、引き込まれ...また別な小説も読んでみようと思った。

  • いろいろな人生の数だけ遺品整理があるのだなと思う。モノが溢れて捨てるのが億劫なのは誰も同じ。増やすことではなく、減らすことを覚えたい。
    心温まる良いお話でした。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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