- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575525625
感想・レビュー・書評
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遺品整理が大変だろうとは思っていたが、サラダ油の残りや、土や石のこと。細かいところまで書かれていて、望登子になりきって読めた。
いつか私も義実家の家を片付ける日が来るだろうから、とても参考になった。
遺品整理を通して、自分の母と義母への思いを深めていく望登子の気持ちの変化が良かった。
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面白くて久しぶりに一気読みする。
迷惑と言いつつも、それだけではない。
残された不要な、とんでもない量の家具や家電、さまざまなお荷物を片付けていく。
その孤軍奮闘するなかで、姑の生前のご近所さんとの付き合いや人柄などを理解していく様子をユーモアあふれる筆致で描く。
昨今の断捨離一辺倒ではないゆとりがある。
身辺整理を考える年齢に、とっくになっているので、この手の本がよく目につくようになる。
姑の話ではなく、私自身が遺品を娘たちに残していく立場になる。
参考にしていこう。
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独り暮らしの姑が急死し、突如遺品整理をすることになった、主人公、望登子。いざ家に足を踏み入れると、驚くほどの物量にため息をつくことになる。
しかも、こたつが変に暖かかったり、見覚えのない変化が起きていたり、なんだか不気味。
ねえ、なんで少しずつ捨ててくれなかったんですか?
なんでこんなもの取ってあるんですか?
そう亡くなった姑に問いかけながら作業していくうちに、団地のほかの住人等とも関わり、姑の憎めない人柄を改めて感じることに。一方、実母の様子を思い返し、寂しい気持ちになることも。
この方の小説は、一人ひとりのキャラクターがリアルで、たくましくて、弱くて、面倒くさくて、微笑ましい。
姑など、もう亡くなっていて一度も生身で出てこないにも関わらず、隣家の様子や町内会の話などから、おせっかいでチャーミングな様子が見えて、上手く入れ込むなぁ、とストーリーの組立に舌を巻く。名前が多喜、というのもいい。こういう大人
になりたいとは思わないけれど、こういう人がいたら、話のタネにしながら、でもなんだかんだ力になりたいと思ってしまうと思う。現実にもいるよな、こういう人。
今回は遺品整理というワンテーマなので、そのキャラ造形と文章の巧みさがよりよくわかると思う。面白いです。
解説もわかりやすく秀逸。
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遺品の取り扱いは故人との思いと比例して、複雑で難しい問題です。身近な問題なだけあって、考えさせられてしまいました。
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今、まさに、実家の片付け問題に直面しているので、他人事とは思えなかった。この本を読み始めて、実家の片付けや、自分の洋服の整理にちょっとだけ着手できた。この本をバイブルにするといいかもしれない。
実母と姑の真逆の性格が、最後には双方とも良さとして描かれていたので、心が温かくなった。長所は短所。短所は長所なのだ。 -
そこまで痛快じゃなかった。でも安定の面白さ
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他人の物を捨てるって想像以上に大変な作業だということが分かりました。元気なうちに断捨離をして物を増やさないでおくことが、遺品整理する人にとっては重要なんだと感じる一方で、人間関係やご近所付き合いやその人の性格が持ち物に現れていて面白かった。
私は持ち物が多いと落ち着かないので、少なめ。
誰かに遺品整理をしてもらわないといけなくなった時のために、なるべく物は減らしておかないといけませんね。 -
ゴミの分別、難しい
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作者の体験談かと思いきや小説だった。団地で一人暮らしをしていた姑の遺品整理を始めるが部屋の隅々まで物が溜め込まれ気が遠くなる主人公。実家の几帳面な母は癌と宣告されてから家族に迷惑がかからないよう自分でさっぱりと整理してあの世へ旅立った。姑の部屋を片付け始めた当初は何かにつけて実家の母と比べ独り言ちていたが、父親の法要で帰省した時に母親が使っていた部屋で寝る事になる。引き出しの中に残された1つの指輪以外、何もない部屋を思い浮かべて母はどんな人だったのかどんな風に生きていたのか、寂しく思うようになる。団地を行き来してる間に生前の姑にはお世話になったと遺品整理に手を差し伸べてくれる人も現れた。隣人のシングルマザーも金を無心に来る元夫から救ってくれたと言う。自分にとって大事な思い出の物は、立場が変わると不用品でしかない。遺品整理について。人との関わり合いについて。生き方について。色々と考えさせられる一冊だった。