うき世櫛 (双葉文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575669817

作品紹介・あらすじ

十五にして両親を失った結は、長屋で首を括ろうとしたところを元芸者の女髪結い・お夕に救われた。ほかに生きる道のない結は、自分の不器用さを恨みながら、お夕のもとで修業に励む。だが、贅沢を戒めるお上は、女髪結いの取り締まりを厳しくするばかり。はたして師弟は江戸の女の幸せを守りぬけるのか!? 気鋭が描く傑作時代小説!

感想・レビュー・書評

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  • 嗚呼、私の中のお夕が
    目覚めちまいました。

    起きちまった事に文句
    を言っても、どうにも
    ならない。

    そうでございましょう?

    こうなる運命だったと
    思ったほうが生き易い。

    そら、ぶつくさ文句を
    言ってる暇があるなら、

    やるべきことをやって
    さっさと寝ちまう方が
    良うございましょう。

    ・・・
    しっかりした時代考証
    のもと、

    女の粋がよく描かれて
    います。

    人心は外から見えない
    ようで案外よく見える
    もの。

    窮地に陥ったときほど、

    ジタバタ必死に外聞を
    取り繕うよりも、

    スッと背筋を正すが粋。

    何か一つうまくいった
    とて調子にのらない。

    たまに一つしくじった
    とて気に留めない。

    お夕のように情け深く
    もさっぱりとした心で
    生きていきたいです。

  • 両親を失って、髪結の弟子となった結の成長譚。
    こういう人情もの、大好き!
    続きがでるといいなぁ。

  • 時代小説が結構好きだ。
    この著者初めて読みました。
    「着物始末歴」シリーズも面白そうです。
    男性かな?
    そんな感じがします。
    話しが面白ければ関係ないのですが。

    これは女髪結いのお話し。
    狭い視野から次第に広がっていく結の成長がいいな。
    何といってもこの師匠夕が魅力的。

    ≪ 落とし穴 女が落ちる 見栄の果て ≫

  • 弟子である結の、あまりにも独り善がりの言動に驚く。それに対する師匠の素晴らしい応対の対比が見所かも知れない。

  • 202204/境遇等を考慮しても主人公の性格や言動が好きになれなかったが、設定や周囲の登場人物達は良かった。

  • 江戸の人情噺、キャリアウーマン編。
    気軽に読める歴史小説。
    江戸時代の髪型に詳しくなれます。

  • 中島要氏の着物暦シリーズだったかを読んで、着物柄から文様迄、楽しく読ませて貰ったのだが、今回の小説は、女髪結いお夕に 両親を失い、将来を悲観して首吊りする寸前に助けられた結。
    不器用で、なかなかお夕の思うような仕事の運びも出来ず、修行を励みながら、成長して行く様が描き出している。

    美人のお夕の顔に切り傷。それも、どうしてつけられたのか?・・・・
    話が、第6話あるのだが、「女」として、この時代、生きて行くのに、貧乏であろうが、裕福であろうが、身の置き所が、難しい時代である。
    文政から天保、飢饉や地震等で、御上は繰り返しの倹約令。
    女髪結は、ご法度の仕事。
    どう、生き抜いていくのか?
    そして、髪結いの客の女達も、色んな身上があった。

    お夕の顔の傷が、どうしてつけられたのか?も判明するのだが、やはり、元深川芸者の粋の良さ。
    結もその気質が、あるがごとく、おどおどとしていたのが、読むにつれて、意思が、強くなり、言葉にも道理が通るようになって行く。

    これから、シリーズになるのだろうか?と、期待している。

  • “髪結いの亭主”などと
    あまりいいたとえではないが
    寛政の改革で女髪結いが
    禁止されたことに驚いた。
    主人公の“結”は
    見てくれはイマイチだけど
    気の強さは師匠譲り。
    どちらかと言えば
    嫌いではない…。

    過去は変えられないが
    前を向いて生きていこう!
    そんなメッセージを感じた。

  • あたしは女髪結いなんだ。髪を隠してどうすんのさ。

  • 96

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著者プロフィール

早稲田大学教育学部(講談社文庫初期の傑作『古典落語』を編んだ興津要のゼミ)卒業。横浜在住。2007年、第2回小説NON短編時代小説賞で「寝姿指南」が最終候補になり、08年、「素見」で小説宝石新人賞を受賞。若き町医者を描いた初長編『刀圭』と、受賞作を含む短編集『ひやかし』が好評を集める。祥伝社文庫既刊に『江戸の茶碗』『酒が仇と思えども』。著書に「着物始末暦」「大江戸少女カゲキ団」シリーズ、『うき世櫛』『御徒の女』『神奈川宿 雷屋』などがある。

「2022年 『吉原と外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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