おれは一万石 (12)-慶事の魔 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575669909

作品紹介・あらすじ

正紀は子を授かり、山野辺は婚姻が決まった。おめでた続きの正紀たちだったが、好事魔多し。互いに受け取った祝の品は、高岡藩に仕掛けられた罠だった! 陰で糸を引くのは復讐を誓う石川総恒と悪漢商人ども。この窮地を正紀はいかにして切り抜けるのか!? 好評シリーズ第12弾!

感想・レビュー・書評

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  • 慶事の魔 ー おれは一万石シリーズの12作目
    2020.03発行。字の大きさは…小。

    美濃今尾藩竹腰家の次男の正紀は、天明6年(1786年)下総高岡藩井上家1万石に婿入りし妻・京と一緒に世子として、藩主・井上正国と共に苦しい藩財政をやり繰りしていく物語です。

    此度は、前作の「繰綿の幻」で繰綿の売買で不正を行い、罪を受けた蓬莱屋、郷倉屋の兄弟と大身旗本・石川総恒が組んで、仕返しに幕府に納めるべき極上の菜種油を使って高岡藩井上家の世子・正紀と北町奉行所与力・山野辺内蔵助を罠にはめようとした。

    井上家では、正紀の妻・京が孝姫を産み。与力・山野辺家では、内蔵助が綾芽との祝言が決まりと祝い事が重なり。この祝いごとを利用して、郷倉屋からの祝いの品として高価な菜種油、下り酒を両家が不注意で受け取ったことで疑惑(便宜を図った)を深めました。

    【読後】
    まさに慶事を利用して、陥れようとの謀に落とされようとしたのです。
    前作「繰綿の幻」を活用して、今作をうまく書いたと思いましす。

    【豆知識】
    「井上正紀」の略歴 
    明和7年(1770年)、尾張徳川家の附家老家である美濃国今尾藩主・竹腰勝紀の次男として生まれる。竹腰勝紀と高岡藩6代藩主・井上正国は共に尾張徳川家8代目藩主宗勝の実子であり、正国と正紀とは血縁上は叔父と甥の関係である。天明6年(1786年)8月9日、正国の養子となり、その娘を娶った。12月18日に従五位下、壱岐守に叙位・任官する。寛政3年(1791年)3月7日、正国の隠居により家督を継いだ。
    文化3年(1806年)10月13日、死去。享年37。跡を三男の正瀧が継いだ。

  • 逆恨みから仕返しされる今回。
    幸せの最中を狙われて効果的面な結果に。
    コンプライアンスや倫理規定が明文化されていなくても、その点は判断されていたのだなぁと思う。大名の役職にかける想いの凄まじさは現代の出世欲よりすごいのかもしれない。
    ハラハラ感は盛り上がっていたけど決着がアッサリしてたので、すっきり感は物足りない。

  • 正紀の娘の誕生、山之辺の祝言と、祝い事が重なったが、そこにつけ込んで逆恨みした旗本と商人の奸計が蠢く。二人が便宜を図って公儀に納めるものを横流ししたのではとの疑惑をかけられ。また必死の捜査と剣によるぶつかり合いを潜り抜け。正紀の妻である京の、アームチェア探偵ぶりが光り、山之辺の妻となる綾芽の芯の強さと気働きの鋭さが描かれ。捜査先となった吉原の空気を吸って、浮き立ちながらも懸命に心をおさえる正紀たちと、ラストの京の焼きもちがまたほほえましく。

  • 妻の京が出産、親友の山野辺の婚姻決定。祝いの進物を贈り合う二家に、恨みのある石川家と商人の兄弟たちの罠が仕掛けられていた。自らの手で疑いを晴らすために、相手を追うのだが。かなりパターン化しつつありますが、毎度毎度よくピンチになります。死闘を続けるので大名継嗣なのに剣の腕は上がり続けてそう。

  • 正紀と京に孝姫誕生。山野辺に綾芽との縁談。

  • 正紀に娘誕生、山野辺は婚約と慶事祭なのだが、そこに付け入るとは卑怯なり

  • 執念深いわぁ。

  • 高岡藩に姫君の誕生、そして与力の山野辺は婚約が
    ここに付け込んだ繰綿の事件の輩、復讐心を募らせ罠を
    姿をくらました輩を追い江戸じゅうを走り回り
    遂に決着を

  • 前の巻で高岡藩に恨みを持つ大名と商人が今回は、正紀の子供が生まれた祝いと、その親友山野辺に許嫁が決まった祝いにかこつけて、幕府の買い付けた極上の菜種油を高岡河岸に運んで、さも悪者と横領したかのように見せ、貶めようと画策。

    その悪巧みに、正紀ら一行は、真実を探し疑いをはらさなければ、大名から旗本へと格下げに。。。。

    このシリーズ、江戸の物流、経済を絡ませてあるので、実にリアルに謎を作ってあり、読み応えがある!

  • 2020年3月双葉文庫刊。書き下ろし。シリーズ12作目。山野辺さんに良い婚約者が決まったのが良かったです。正紀と京の間に生まれた女児も嬉しい出来事です。はらはらどきどきの事件の顛末は、大団円に収まり、うまいすじ運びです。

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著者プロフィール

1951年、東京生まれ。國學院大学文学部卒業。90年、『夜の道行』で第12回小説推理新人賞を受賞し、選考委員から“第二の藤沢周平”と賞賛される。以後、時代小説を中心に活躍中。「入り婿侍」シリーズは、評論家の縄田一男氏から「著者の新たな頂点」と絶賛を受けた近年の代表作。他の主なシリーズに「おれは一万石」「出世侍」など。

「2023年 『新・入り婿侍商い帖 お波津の婿(三)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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