おれは一万石(13)-訣別の旗幟 (双葉文庫)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575670103

作品紹介・あらすじ

武士が民の頂に君臨せねばならぬという松平定信の施政に疑問を抱きつつも協力してきた尾張徳川家一門だが、尊号事件を契機に定信政権との訣別を決める。正国の奏者番辞任で一門の意を示そうとしたが、定信は正国を不祥事を理由の解任へと追い込もうとする……。好評・書き下ろし時代小説、第13弾!

感想・レビュー・書評

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  • 訣別の旗幟 ー おれは一万石シリーズの13作目
    2020.07発行。字の大きさは…小。

    美濃今尾藩竹腰家の次男の正紀は、天明6年(1786年)下総高岡藩井上家1万石に婿入りし妻・京と一緒に世子として、藩主・井上正国と共に苦しい藩財政をやり繰りしていく物語です。

    此度は、藩主・正国が、1年務めた奏者番を病気を理由に尾張徳川家の意向で辞任する。辞任を止めようとする老中首座・松平定信の意向を忖度して、定信の親戚で旗本・園枝仁之丞が高岡藩を貶めようと動くが……。

    【読後】
    井上正国が奏者番を辞任するのは、尾張徳川家の意向で松平定信の政策に反対して辞任すると書いているのは、新しい解釈か…?
    ただ史実では、奏者番を寛政元年(1789年)3月24日に病気を理由に辞任する。
    その後、寛政3年(1791年)3月7日、正紀に家督を譲って隠居し、8月13日に死去する。享年53才。
    1年で奏者番を辞任し、その後2年で藩主を譲り、5ヶ月後に亡くなっている事を考えると病気で辞任と考えられる。
    2020.09.06読了

  • 2020年7月双葉文庫刊。書き下ろし。シリーズ13作目。松平定信と訣別する正国の意思を通すために、正紀達は力を合わせるのだが、それを阻止する一派との攻防がはじまる。いつものことながら、ハラハラドキドキの展開で、ストーリーにのめり込みました。時代のかわり目というのもあって、面白く、楽しめました。

  • 松平定信の政策が時代に対応してないものであることは現代の私たちは知っているが当時の人間としてはどうなのか。本作はその答えの一例を示した。
    前々から疑問視していた定信の政策に主人公が異を唱える本作。そして相手方は高岡藩を引きずり落とそうとする策謀をとる。
    迂遠な方法とも思えるが身分社会においては有効な策なのかもしれない。
    しかし毎回相手方が勇み足のような失敗が多いので少し物足りない気がしてくる展開である。次回作はより舞台が展開するので期待したい。

  • 主人公正紀の岳父にして当代藩主正国の、奏者番辞任をめぐって広がる波紋がこの巻の主題。主人公より、正国の重厚さが強く印象に残る巻だった。ただ、尾張・水戸と白河の力比べみたいな展開の中の、尖兵としての井上家一万石、というう立ち位置だと、確かに当人たちの苦労もあるが、バックの力次第みたいなところもあり、そこはあまり個人的には好みではないなと思うところ。また、いくら自分の派閥の頭目の見方になってくれなかったからといって、旗本が、逆恨みで、他家に火をつけたり、藩主を害そうとまでするものか、とこれまでの巻と同様思わぬでもなし。次巻は、いよいよ定信の棄捐の令(=徳政令)がふるわれるのか。以下目に止まったところ。/同じ吉宗様の孫である将軍にならなかった治済様が大御所の尊号を得ることを、よしとるすると思うか(正国)/だからあのご仁は、何があっても口には出さぬだろう。しかしそれが、胸の内のどこにもないと言い切れるか(正国)/人は、思惑通りには動かぬものだ。それをあのご仁はわかっておらぬ(正国)/定信様の施策が、真に有効なものであれば別だがそうではない。泥舟には乗れぬ(正国)/

  • 松平定信とまだ15歳の家斉。
    二人の間に確執が生まれた。

    困窮する武士の借金を棒引きにしようとする法令を出そうと企てる定信。

    尾張藩一門は、その発布の後に必ず陥るであろう混乱を予測して、定信から逃れる方針に。

    正邦は奏者番を引くことにするのだが。

    終わり一門を後ろ盾にしようという試みが、失敗しその仕返しに暴挙に出る輩が。。。。


    政治と経済、江戸時代のこんな一面を主題にする茅野隆司作品。

  • 千野さんの人気シリーズも、もう13巻目。いつもながらの面白さで一気読みなのだが、ちょっと気になったのは放火を焚き火と言い張って済ませたのに放火犯を公式に捕まえていいのだろうかというあたり。そこは、密かに尾張と松平定信の取引とした方がよかったのではなかろうか。

  • 尾張一門、定信政権と決別。正国、奏者番を辞任。

  • 松平定信は、本当はどんな人だったんどろう?

  • 高崗藩が一万石といえども、尾張徳川の一族と思わせる一冊
    尾張視点だと定信は嫌なやつ

  • 第十三弾
    改革の施策を巡り定信と共存できなくなった尾張藩、当然ながら高岡藩井上家も
    定信近い一派の標的に、商人、旗本の用人と
    火付け、行列襲撃と荒っぽい仕掛けを防いでも!次が

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著者プロフィール

1951年、東京生まれ。國學院大学文学部卒業。90年、『夜の道行』で第12回小説推理新人賞を受賞し、選考委員から“第二の藤沢周平”と賞賛される。以後、時代小説を中心に活躍中。「入り婿侍」シリーズは、評論家の縄田一男氏から「著者の新たな頂点」と絶賛を受けた近年の代表作。他の主なシリーズに「おれは一万石」「出世侍」など。

「2023年 『新・入り婿侍商い帖 お波津の婿(三)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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