頭の中がカユいんだ (双葉文庫 な 12-6)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575710670

感想・レビュー・書評

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  • 中島らもによるエッセイ・小説。中篇と短篇が合計4篇入っている。

    中島らもの作品は初めて読んだが、独特の世界がある。醜くくて強かな現実を強烈に皮肉りながらも、その世界の一部に自らも飲み込まれていくどうしようもない様を描き切る。その表現の味わい深さとユーモアが素晴らしいと思った。
    小説なのかエッセイなのかがよく分からなかったが、あとがきでの著者の「現実というものはあまり愉快なものでは無いから、せめて書きもので創る世界は水気のない大笑いの大地にしてやれ、という意図に基づいている」という言葉通りに現実を創り変えたものなのだと理解した。

    読んでいて面白く、他者と社会への許容をもてる一冊。

    「この本は、つまりラリリながら書かれたものだ。したがって、世界そのものによく似ている。つまり、美しくて醜く、頭の中の痒みのように永遠にそれを掻くことができない。そんなところが、僕は好きなのだ」

  • 人の夢を聞かされてる気分になるところがおおい。私は起きてるらもさんが好き

  • あれ?テストの日程間違ってしまっていた、ああこれじゃあ単位が足りなくて卒業できない。という悪夢を年に1回くらい私も見る。卒業してもう十数年も経つのに。
    でも、この一点だけで他の文章はよく分からなかったな。

  • 中島らもの一冊目。
    すごく面白くはなかった。

  • らもさんの初書籍本にしてノンフィクション・飾りっ気なしのぶっつけ酩酊ラリリ本。
    僕に踏まれた町~→アマニタパンセリナと読んできてこちらの本を読みましたが、最高です。
    らもさんの酩酊ラリリっぷりの素行を既にこれらの本で触れていたから……というのもあるかもしれません。構えず「そういうもんだ」という風に読めました。一緒にラリパッパ。

    ラリパッパの他に、仕事に責任に人生に追いやられ、フラストレーションは溜まりに溜まり、だいぶ疲れちゃってイカレちゃって、「頭の中がカユく」なる、「ワラが詰まって」いる感じ、現実逃避の余り思考があっちこっち支離滅裂……な感じが、今の自分の状態と重なる部分があり、読んでてよりのめり込んでしまいました。

    甘やかでくすぐったく、そして優しいセックスの描写というのも……ちょっと、たまらないものがありましたね。
    理性的で、獣にあらずでありながらも、はっきりとした下心。いいですね。

    いつの間にか夢か現実かわからなくなってしまう、そんな感覚がとてつもなく気持ち良い本です。「夢」とわかりやすい場面ではエモいイマジネーションにフワフワと酩酊し、「夢か現か幻か」という場面では、そのサイケデリックさに酔い、微かなしかしはっきりと香ってくる現実の薄汚い香り、動物的な臭気とコンクリートジャングル的な無機物の臭気……がとても良い味出してるんです。

    "「人間が一人」と羊が樹の下で呟いた。"
    "珈琲は黒い腐った血"
    言葉のセンスがたまらなく美味です。

    子羊を抱き海岸線を走る電車に乗り、どこか知らないとんでもないところへ到着し、大事に抱えていた子羊は石英に変化しており……。
    この辺りから、ラストの海底と水平線のくだりにかけて、本当にいい塩梅にラリリでしてね、最高です。

    悪夢のような「東住吉のぶっこわし屋」、どろどろに濁った卑屈の青春の体液を泳ぐ「私が一番モテた日」、一夜の夢と"バチ"とS・O・S・トゥ・ザ・ワールドの「クェ・ジュ島の夜」……これら短編もかなり"キ"てますね

    いや、面白かったです本当に。
    理屈とかそんなものはどうでもいいんです、感じたままを舐めとる本。

  • Ⅱ 東住吉のぶっこわし屋が最高です。

  • 初めて読んだ故中島らもの本。

    どこまでが嘘でどこまでが本当か分からない。
    ラリりながら書いたらしく、読んでいるとこちらまで頭がゆるくなっていき、気付いたらハマってしまいました。
    人がラリって書いた文章って面白い。

    貸してくれた父に感謝。

  • 家は焼けても柱は残る。○○の鉄骨住宅

  • これを読むとらもさんの虜になってしまう。
    脈絡がなく、虚でも実でもなく、曖昧で、とらえどころが無い。
    酩酊していて、足元は覚束ない様子だし、ラリっているので
    たまに何をいってるかよく聞き取れない。

    けれど、そんな中で、そんな様子でも、彼は物事の本質みたいなものを
    ちゃあんとわかっている気がするのだ。
    だから人は彼に魅かれ、彼を愛してしまうんじゃないか。
    そんな気がして仕方が無いのだ。

  • 混沌。その言葉が似合う本。嘘か本当か なんだかわからないようなリアルストーリー。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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