すべては死にゆく

  • 二見書房
4.06
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本棚登録 : 55
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576061900

感想・レビュー・書評

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  • ブロックの『処刑宣告』と『すべては死にゆく』読了。
    スカダーものは『死にゆく』で最後なのかな。読み応えがあった。シリーズを通して読んできたので色々と感慨深い。 スカダーと刑事との話で、昔なら自分で解決するものを人に委ねている場面が印象的だった。スカダーも年をとったんだなあ。
    9.11ツインタワーが象徴として何度も登場した。
    ...2008/08/05


    ※その後2011年に『償いの報酬』が出版されている。

  •  すべてが死んだら終わってしまう。前作の余韻からしてもうこれが最後なんだろうかと思いつつ読んだ。思えばマット・スカダーとのつき合いも長かった。長い年月のうちにはトシもとる、スカダーとて不死身でいられるはずもない。でも最後の最後にはまた生きながらえた。たぶんもうあとは余生とよぶしかない年月しか残されていないにしても。もうこのへんで死なせてやってもよかったような気もする。エレインを殺人狂の手から守って。それがスカダーらしくもある。いずれにしてもこのシリーズはこれで終わるのだろう。すべては死にゆくのだから。

  • マットスカダー第十六作。
    原題"ALL THE FLOWER ARE DYING"。

    ほぼ前作の続編。
    前半の展開は正直ちょっと間延びしているが、ラスト三十ページの展開は圧巻。
    はっきり言ってスカダーっぽくないが、それだけ鬼気迫る感が出ている。
    オールスター総出演の走馬灯は、ここまで全シリーズ読んできた自分としては、
    ぐっと来るものがあった。

    それにしてもマットの「老い」をものすごく感じる。
    もう「皆殺し」の時のようなアクションは無理だろうし、
    動き回る探偵としての活動はもう難しそうだ。

    この後まだ「償いの報酬」がある。
    これは回想とのことなので、今後続けるとしたらこういう形になるのだろうか。

    しかし、ブロック自身ももう七十半ばである。
    今後どれだけスカダーシリーズが出版されるかわからないが、
    次回作が最後になる可能性もあるのだなあ。

  • はらはらし通しだった。
    前作の終わり方から言って、こういう展開になることは
    ある程度予想はしていたが。

    マット・スカダーに危険がせまる話は今までもあったが、
    タイトルが"All the Flowers are Dying" なので、主要な人たちが、
    次々に殺されてしまうのではないかと怖れて、
    読み止めることができなかった。

    次の作品が、最後の作品になるのだろうか。

  • 10年4月3日開始
    10年4月21日読了

     スカダーシリーズもこれで終わりなのかな?過去の作品を振り返る内容が多く、シリーズを締めくくる意図で書かれたとしか思えない。確かに70歳近いスカダーを狂言回しにしたミステリは書きにくいんだろうけどねえ。


  • 久方ぶりのマット・スカダー。こんなだったかな?もうほとんど守りに入っているという感じ。でも機知に富んだ会話や、軽妙な言い回しは、読んでいて心地よい。内容が、陰惨で、むごいという事は別にして。出来ればまだまだ続編を読みたい。

  • マット・スタガーシリーズの最新作。前作から数年ぶりの作品である。ストーリーは極めてシンプルだ。乱暴にまとめて言ってしまえば、主人公のスタガーに恨みをもつ殺人鬼とスタガーの対決。プロットのつくりは、さすがにローレンス・ブロックという感じはするが、スタガーと殺人鬼の対決、というテーマに沿って考えれば、謎解きの要素等もほとんどなく、一直線に話は進んでいく。それでも、というか、そういうシンプルさは何の関係もなく、一気読みの面白さであった。ただ、それは私がこのシリーズをずっと読み続けていて、このシリーズの登場人物をはじめとするシリーズそのものに、かなりの愛着を持っているからであろう気はする。このシリーズで、私自身が最初に読んだのは、「八百万の死にざま」である。先日、このブログに感想を書いたスペンサーシリーズで海外ミステリーの面白さに目覚め、読書と言えば海外ミステリーばかりを読んでいた時期に出会った本である。この「すべては死にゆく」がシリーズ16作目ということであるらしいが、もちろん、シリーズの全ての作品を読んでいる。一時は、一番好きなミステリーのシリーズであり、マット・スタガーは一番好きな主人公でもあった。All the flowers are dyingというのが、この作品の原題である。これは、なかなか考えさせてくれる題名だ。スタガーは68歳になるらしい。作中、スタガーが妻や友人との会話のなかで、周囲の人間がかなり死んでゆく年齢になってしまった、という意味の会話をかわす場面がある。実際、スタガーの妻エレインの親友であるモニカは、この殺人鬼に殺されることになってしまう。あるいは、ダニー・ボーイという登場人物が、自分が癌に冒された際に、何のためにか、自分の知り合いで死んでいってしまった人の記録をつけていた、というエピソードが出てくる。またこの小説は、ニューヨークが舞台であり、スタガーとエレインの住むフラットからは、テロリストにより崩壊させられた貿易センタービルをかつてはのぞめた、という設定になっているし、そのエピソードは作中に何度か登場する。周囲の人たちが死んでいってしまうことに対する嘆きみたいなものを題名にこめた、というのが私自身の解釈なのだけれども、実際にはよく分からない。英語の原文で読めば、もう少し何かが分かるのかもしれないが、そこまでする気はない。訳者のあとがきがあり、その中で訳者は、この作品がシリーズの最終作になるのではないか、という推測を述べている。たしかに、そういう雰囲気を感じる。が、私としては、題名がAll the flowers "have died"になっていなかったことに望みをたくしつつ、シリーズの継続を願っている。

  • 前作から五年、ようやく決着がつくといった感じです。ひょっとするとシリーズ最終作なのかもしれません。振り返ると、多くの人々が登場し、去っていきました。

  • 大好きなマット・スカダーシリーズ最新刊。なのに……なんつうか、最後なのかもと邪推してしまうぐらい、シリーズを振り返る描写の多いこと。いや、スカダーももう68歳だし、本当に終わるのかもしれないなぁ。 (2006.12.21 読了)

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著者プロフィール

ローレンス・ブロック Lawrence Block
1938年、ニューヨーク州生まれ。20代初めの頃から小説を発表し、100冊を超える書籍を出版している。
『過去からの弔鐘』より始まったマット・スカダー・シリーズでは、第9作『倒錯の舞踏』がMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長篇賞、
第11作『死者との誓い』がPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長篇賞を受賞した(邦訳はいずれも二見文庫)。
1994年には、MWAグランド・マスター賞を授与され、名実ともにミステリ界の巨匠としていまも精力的に活動している。

「2020年 『石を放つとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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