読了。
極度の近視で眼鏡がないと人と物の判別も付かない美人で初心な24歳貴族令嬢ヒロインと、かつては社交界でも有名な美男子だったが戦争で顔に大きな傷を負ってからは領地に引きこもっていた32歳伯爵ヒーローとの不器用なロマンスストーリーです。
英題は『LOVE IS BLIND』みたいなので、邦題も『愛は盲目』とそのまま訳しても良かったのでは…と思ってしまいました。
物語の舞台は19世紀初頭、リージェンシー時代のロンドンです。
…レビューが好評価だったので期待して読んだのですが、とっても面白かったです!
ヒロインは極度の近視で眼鏡がない所為で不便な生活を強いられていますが、前向きで明るく頭の良い魅力的な女性です。
ヒーローも最初からヒロインにメロメロで一途なので、安心して読む事が出来ます。
ヒーローは基本的に優しくて誠実な男性なのですが、ヒロインに会いたい一心で夜這い(?)を決行してくるくらい情熱的です。
ただ、戦争に行く前迄のヒーローが異性と遊んでいたというのは残念でした。
…こういうのを見る度に、同じ貴族でも結婚前の女性には純潔を求めるのに、男性は遊んでも良いという風潮は詮なき事とはいえ男尊女卑で気に入りません。
ヒーローは紳士なので、結婚後の初夜が初Hでした。
継母から、結婚初夜では「男性の棍棒で女性のパイを破る」と説明され、すっかり怯えてしまった初心なヒロインを、辛抱強くなだめながら最終的にコトに及ぶヒーローが策士系だと思いました。
それにしても、男性の象徴を棍棒に例えた表現が、ユーモアがありクスリとしました(笑)。
ロマンス小説なので仕方ないかもしれませんが、Hシーンの描写があっさり目で個人的には物足りなかったです。
ヒーローの一人称は基本的に「僕」なのですが、モノローグ中で時折「おれ」になっていたのが意外でした。
ヒロインが14歳の時に巻き込まれた事件が原因で何者かに命を狙われるというミステリー展開もありますが、ヒロインはあっさり犯人を許し逃亡の手助け迄してあげます。
…心が広いというか、人が良すぎるヒロインです。
ヒロインが前向きな性格だからか、ヒロインと継母の仲が長くこじれていた筈なのに、和解するのがあっという間で驚きました。
ヒロインとヒーローの純愛が楽しかった作品ですが、残念ながら細かなツッコミ所はいくつかありました。
ヒロインは人と物の区別も付かない程の極度の近視なのに、特注ではなく市販の眼鏡をかけた途端に視界が鮮明になっているのは違和感を覚えました。(^_^;)
あと、咄嗟の事とはいえヒロインが本を浴槽のお湯の中に沈めてしまう描写には、同じ本好きとして納得出来ませんでした。