パラサイトグリーン ――ある樹木医の記録 (二見ホラー×ミステリ文庫 あ 1-1)
- 二見書房 (2021年7月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784576211121
作品紹介・あらすじ
樹木医である雨宮芙蓉は、心療内科医の朝比奈匡助の依頼で奇妙な仕事をしていた。それは“ボタニカル病”、つまり植物に寄生されるという未知の病にかかった人々を診察すること。患者たちの治療のために、患者たちの持つ苦悩に耳を傾ける芙蓉。そこには大きな謎があった――。
2016年の隠れた名作を増補改訂、改題の上、文庫化。
感想・レビュー・書評
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前半の没入感を返してくれ!
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植物に寄生された病気 ボタニカル病の患者と樹木医のお話
植物の声が聞こえるという樹木医の雨宮芙蓉
心療内科医の朝比奈匡助はボタニカル病の患者を芙蓉に紹介する
病気を治すには本人の治す意思が必要らしい
そもそも、ボタニカル病とは?患者は何故罹患したのか?どんな症状なのか?
希少な奇病を巡る樹木医のお話
収録は4編
・春ノ章 花咲ける病
咳と共に白梅を吐く少女
・夏ノ章 透ける花の思い
雨が降ると山荷葉のように透明になる男の子
・秋ノ章 最後の花の宴
100年に1回咲くと言われる竜舌蘭が咲きそうな庭の家に一人で住む老女
・冬ノ章 多幸感とその代償を与える花
沙羅双樹が体中を侵食してしまっている老人
そして、……
レーベルが「二見ホラー」なので、ホラー?と不思議に思ったのと
最後まで読んでみるとまた違うジャンルにも思える
まぁ、ジャンルを言う事自体がネタバレなので何かは言わない
終盤の展開に、ある程度そんな可能性を感じつつも戸惑う
どこからどこまでが?
もう一回読み直しても区別がつくかどうか……
有間カオルさんの作品はどこかほのぼのとして救われる系のお話なイメージで
実際にこのお話もその路線は大きく外れていないものの、幻想小説方向に寄っている
「荒木町奇譚」は序盤の展開からして幻想系だったので、そっちに近いのか?
ボタニカル病は植物が寄生した病と言われるものの
共生とも言える関係なのではないかという疑問
「植物は嘘をつかない」「植物は優しい。どこまでも優しい」
何が正しいのがわからなくなってくるな
ふと思い出したのが、川原泉「花にうずもれて」
笑ったり泣いたりすると、背景に花を生み出してしまう女の子短編マンガ
読後感はまったく異なるけど、発想としては似てると思う -
遠出ついでに一日で一気読み。
かなり好みの話でした。ミステリという枠なのだけれど、サスペンスや探偵の話ではなくて、癒しの物語。
最後はかなりぐっときました。
ボタニカルものって、今まで読む機会が無かったけどこの本を読んで他のボタニカル小説も読みたくなったし、作者さんの他の本にもすごく興味がわきました。
ファンタジー系の話も読んでみたい。
二見文庫さんのおかげで出会えました、ありがとうございます。