私はだんだん氷になった

著者 :
  • 二見書房
3.30
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本棚登録 : 579
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576221465

作品紹介・あらすじ

――この小説は私の黒歴史であり、これからの黒歴史になるだろう。
少女の心を繊細に描く著者が描き出す、辛い現実を生きられなかった少女たちが、誰にも言えない恋をしたがゆえに、幾つもの罪と懺悔を重ねていった――禁断の黒歴史ミステリ。
美しい少女・氷織の父である、有名登山家の信春はエベレスト登頂間際で猛吹雪に巻き込まれ凍死した。愛する父を失ったショックで声を失った氷織は心を閉ざし、学校では居場所を失い、やがて母の再婚相手である義父から性的虐待を受けるようになる。
氷織の唯一の生きる糧はアイドル「四宮炭也」の推し活だけになっていった。しかし、SNSで感染病流行によってライブが中止になったことを嘆くと、不謹慎だと大炎上してしまう。批難と擁護のDMが相次ぐ中、ある一件のメッセージを開いたとき、氷織の心臓は跳ねた。それは密かに憧れていた炭也の【なりきり】からだったからだ。以降、二人は文字上で逢瀬を繰り返すようになり、やがて氷織は顔も見たことのない相手に、依存するほどの恋に落ちていくが……。それはすべての悲劇のはじまりだった。

感想・レビュー・書評

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  • 雹(ひょう)というアイドルグループの四宮炭也というアイドルが好きな氷という少女が主人公です。
    (嵐の二宮和也君を意識していると思います)
    「なりきり」「背後」といった初めて聞く言葉が出てきました。
    すごい汚い感じの性描写(氷は性的暴行を義父から受けています)なども結構あったのですが、最後まで読みました。
    一話完結のようで、すべてが繋がっています。
    腐女子の世界では34歳でおばさんとは、可哀想だなあと思いました。

    なんか、選書ミスしたかと思いました。
    ごめんなさい。
    図書館にリクエストして予約1番で借りられたので、もったいないから最後まで読みました。

    すごく、面白いところ、笑えるところもあったのですが、偏見では決してないのですが、これは読者を選ぶ本かもしれません。
    私は選んでもらえなかったと思います。

  • ある理由で声を発せなくなってしまった氷織、
    そんな氷織の心を優しく溶かしてくれたのがあるアイドルの存在・・・しかし・・・。
    最初は”推し活”や、”なりきり”といった世界が未知だった私は戸惑いと驚きがありました。
    登場人物が様々な闇(氷)をかかえており、読んでいて苦しくなりつつも、
    それぞれの最後にはどんな形であれ心の氷が溶けていってくれたと思いたいです。
    今作もミステリー要素がありつつ、とても読みやすい文章の構成でスラスラと一気読みができる作品です。
    また前作の「みんな蛍を~」に登場する小説や人物が登場した時はなんとも言えない嬉しさがありました。
    この小説を通して新しい世界を知ることができました。

  • 推しにのめり込む女性の心情を巧みに描いているように感じました。推しにのめり込む作品ですと、「推し、燃ゆ。」などが有名ですが、本作はもっとニッチで現代的な作品であると感じました。

    主人公はとある女子高生で、些細なきっかけから仲良くなった、推しのアイドルのなりきりをしている人に恋するという、稀有な設定でした。

    ここまでの設定でありながら、単純に恋愛ものとして昇華するのではなく、ミステリー要素を入れ、読者を楽しませる仕掛けがされていました。しかし、文体や演出の仕方、題材が若年層向け過ぎてイマイチ乗り切れなかったこともあり、評価としては星3くらいかなぁと。


  • 一時の生を分かち合った主人公と彼女たちが
    ハマった虚構世界と現実世界の黒歴史の物語。

    悲観や絶望、無力感から避難するために
    何を縁にするは人それぞれ違うだろうし、
    その時々の時世に大きく左右されるだろうけど、
    人の体温を直に感じる対面の繋がりではなく
    映像や音声、もしくは文字を通して生まれる
    架空世界がとてもリアルになっていて、その
    境界線の危うさを覗き見た感じがしました。

    ーーー
    主人公である氷織の家族設定は、
    小説という点もあって非常に極端に思えたけど、
    家庭で役割を演し、集団の中で疎外感を感じ、
    嘲りの声を日々耳にすることで自分の存在意味を
    感じなくなったり、自己を透明化して過ごす
    主人公の苦悩や心情に胸が痛みます。

    家族、友人、趣味、SNS、その他いろいろな
    ものにバランスよくエネルギーを分散させて、
    感情発散の場を持てたなら、主人公に限らず
    生死が介在する黒歴史にならずにすんだのか?
    と想像すると、自分と相手の両方のベクトルに
    人との距離感の難しさを感じてしまい、
    思い悩まずにはいられませんでした。

  •  コロナ禍を描く小説が増えてきた今、コロナ禍だからこそ生まれる小説もある。
    ネット社会、スクールカースト、コロナ、、、様々な社会問題を織り込みながら、そして読者の予想を裏切りながら、話は進んでいく。読み始めたら止まらなかった。

  • え…これ出版していいの?笑。フィクションで、創作だとしても、ちょっと際どいというかアウトじゃないでしょうか。。。苦笑。
    まんま現在活動休止中の某Jの国民的アイドルのNですよね、、モデル。
    アイドルをモデルにするのはいいと思うんだけどその結婚相手までまんまなんだけど。元美人アナウンサーっていう設定もアカンよね。
    なんでこうまでして寄せたのか気になる、、
    訴えられたり抹消されたりしないか心配になる…チレンちゃん好きなのに。

  • なりきり、推し、Vチューバー、若いというかはじめて読む感じの雰囲気で最初とまどった。
    おもしろかったんだけど、なんか全体的に暗くてちょっと病む。

  • 私は四宮炭也さんのモデルと思しき人物の長年のファンでもあるので、作中の出来事はほぼ事実に沿って、一部脚色されて書かれていることがわかる。(涙をふいての主演は江口洋介だが)内容的には好きじゃないけど、彼のファンなので最後までなんとか読みましたよ。これガチで作者の黒歴史なんじゃないかと思う。涙をふいてで彼女役だった女優とのスキャンダルだとか、生涯何があっても愛する人への一幕だとか、現在の奥様のことだとか、いろいろ受け止められなかったのかなぁと。だからこれを書いて昇華したのかなぁとか。M本さんO野さんA葉さんのお名前も嫌な感じに使われててなんだかな。(唯一S井さんだけはいい書かれ方かも)ちなみに出てくる犬の名前「ハル」、これも彼の昔の愛犬のお名前です。こじらせガチ恋オタクの末路って感じですね。いろいろとしんどい読み物だった。

  • 全体的に今っぽい小説。
    推しとオタク、なりきり、炎上、Vtuber、コロナ……。

    現実に限りなく近いフィクションって感じ。

    主人公の推しのモデルが誰なのかすぐわかるので、最初の方は彼の顔がチラチラ脳裏に浮かんで集中できなかった。
    嫁の話とかまんまじゃねーか!

    内容としては重い。本当に重い。
    そして全員死ぬ。(語弊あり)
    それも含めて今っぽい作品だなーと思った。

  • ネットで恋愛、背後や推し、ちょっと入っていけない世界

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著者プロフィール

チレン(きな・ちれん)
京都府出身。大学在学中に応募した短編小説「溶けたらしぼんだ。」で、新潮社「第9回女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞。美しい少女の失恋と成長を描いた『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)でデビュー。その後、少女の心の機微を大切に、多岐にわたるジャンルで執筆し、作品表現の幅を広げる。近著に、引きこもりの少女の部屋と京都が舞台の恋愛ミステリ『これは花子による花子の為の花物語』(宝島社)がある。黒歴史と少女の淀みを描いたミステリ小説『みんな蛍を殺したかった』に続くのが、本作『私はだんだん氷になった』である。

「2022年 『私はだんだん氷になった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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