大好きな韓国

著者 :
  • ポプラ社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591076255

感想・レビュー・書評

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  • 著者は1979年建国大学で日本語教師1年、2000年から再びソウルに滞在。1979年は朴正煕暗殺。1980年全斗煥軍事政権樹立。光州事件。1998年日本文化解禁。2000年金大中平壌訪問。ノーベル賞平和賞受賞。2002年サッカーワールドカップ日韓共同開催。著者が2度ソウルにいた前後の韓国の変化が目まぐるしい。2度目の滞在はシュリ(1999)JSA(2000)が公開されたあたりで読んでいて、背景が思い浮かびます。食事、美容、徴兵制、映画、色彩、ウリ…韓国を理解するためのキーワードがたくさん説明され、それぞれをまた掘り下げたくなりました。

  • 映画パラサイトがあまりに面白かったので、韓国への関心が高まって読んだ。
    2000年ころの本なんだけど、ネット上なんかでこの20年で嫌韓国の流れが決定的になっている潮流に驚くし、その間に韓国のことを全然知らなかったことにも恥ずかしくなる。
    ウリ、ハンなど、韓国独特の価値観の解説や食べ物の紹介がされた詰め込みがすごい本です。
    お隣にこんなに面白い国があるのに改めて気づかされます。

  • NHKテレビの『人間講座』に著者が出演したときの内容に基づいている本です。

    1979年に韓国に渡りソウルで教鞭を取った著者が、韓国という国とそこに暮らす人々の魅力について語った本です。2003年に刊行された本なので、その後のいわゆる「韓流ブーム」やそれに続く反韓デモや、あるいはいわゆる「慰安婦問題」をめぐる急展開といった、混迷を極める日韓関係については取り上げられていません。当時に比べると、日韓両国の政治・経済・文化の各方面に渡る関係について見通しを得ることは、非常に難しくなってしまったようにも感じました。

    ただし、「大好きな韓国」というストレートなタイトルを持つ本書は、決して手放しの韓国への愛を語った本ではありません。韓国の良いところも悪いところも知る著者ですが、同じく韓国を知り尽くしている古田博司のように突き放すような仕方で冷徹に韓国という国のありようを記述していくのではなく、むしろ相当に屈折した韓国への思いがにじみ出ているように感じます。

  • これを読んでいるときは日韓関係がとても冷え切っている時期でございまして、1970年代と2000年以降の2度に渡って客員教授として長期滞在した経験をもとに当時の世相を綴ったものです。今だからこそあえて。

    お隣は韓国との関係がここ最近は緊張関係にある昨今でございますが、だからこそあえてこの本を手にとって読んでみることにいたしました。内容はというと、1970年代と2000年以降の2度、客員教授として渡韓し、長期滞在をした経験をもとに、韓国および韓国人の「今」を語ったものです。社会の変動は多いけれど、食事や映画、徴兵制に化粧法…。といった日々の暮らしぶりが活写されていて、とても面白かったです。

    ほかの文献でもこちらでは紹介したはずですが、韓国の徴兵制度、あの国で『男になる』ということは軍隊での理不尽な体験に耐える、ということも同義であり、昨今ではあの手この手を尽くして徴兵から逃れるものもいるそうですが、たいていの韓国の男たちはここで『女の人には言えないような』さまざまな経験を積むのだそうです。さらに、僕の性根が卑しいせいもあるのでしょうか、韓国の街角の食事風景や出される料理を解説したくだりのところに差し掛かると、たちまちのうちに頭の中に韓国料理の絵柄が想像され、味覚も刺激されるのでありました。

    そして、第三部の韓国の色彩では、韓国の持つ独特の文化。たとえばウリと他者の区分けにかかわる箇所や、族譜に関する考察も面白く読めました。『力の論理』が幅を利かせ、国家間では緊張関係が続く昨今の日韓関係だからこそ、『相手のことを知る』というきっかけとして本書が参考にしていただけるといいのですが…。 日韓関係の一刻も早い修復を願ってやみません―。

  • ぶりっこな感じだが中身はなかなか充実。

  • 「現代韓国文化論入門」として、いいかもしれません。個人的には、「第二部」の「ソウル食べ物日記」と、「第三部」の「『春香伝』の諸相」がおもしろかったのですが、ほかの文章もなかなか。ただ、『ソウルの風景』にも言えることなんですけど、文中のカナ表記(朝鮮語/韓国語の音をカナに起こしたもの)がけっこうムチャクチャなのが気になります。些末なこと、なのかもしれませんけどね。(20070417)

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著者プロフィール

四方田 犬彦(よもた・いぬひこ):1953年生れ。批評家・エッセイスト・詩人。著作に『見ることの塩』(河出文庫)、翻訳に『パゾリーニ詩集』(みすず書房)がある。

「2024年 『パレスチナ詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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