([ほ]1-1)星新一時代小説集 天の巻 (ポプラ文庫 ほ 1-1)
- ポプラ社 (2009年8月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591111055
感想・レビュー・書評
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ショートショートで著名な作者による時代小説。江戸時代のことをだいぶ調べて書かれているだろうにアッサリした文体のため非常に読みやすい。
『江戸から来た男』は時代設定は違えど星作品でいかにもありそうな作品ではある。それでも『紙の城』を始め江戸時代だからこそ成立する作品となっているのはさすがだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
星新一といえばショートショートという認識があったので、時代小説も執筆しているとは知らず思わず読んでみた。ショートというほど短くはないが、時代小説とは思えないほどの口語的な文体とセリフ回しでとてもテンポよく読めた。百姓と幕府の板挟みの中で微妙な距離感を保って藩政を営む武士たちの苦悩も、読み手からしたらとてもユーモラスだった。
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ショートショート集は随分前に読んでいたが、時代小説が出ていたとは全く知らなかった。この「天の巻き」が書棚から出て来た時にはビックリした。以前に買っていたのを忘れてしまっていたのだ。能書きはこれくらいにして、この本、いや実に面白い!よくぞここまで調べたものだ!と感心した。当時の武士社会の殿様の心理状態や重役、家臣の気持ちを推し量るところなどは、恰もその通りであったろうと思わせる。空想小説だけじゃない分野の作品である。他に「地の巻き」「人の巻き」と発刊されているので読んでみたい。
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時代ものの短編集。どれも少し不思議な話で読んでてヒヤヒヤするものも多かった印象。
人の想像力の豊かさと足りなさをうまく組合せて、面白く読ませます。
どれも面白かったけど強いて挙げるなら「紙の城」かな。 -
かのショートショートの名手による時代小説という興味で読んでみたが、残念ながらショートショートほどのインパクトは感じられなかった。
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シリーズ3冊のなかでいちばん初めに読んだ作品。人の巻が歴史上の人物を特定した作品が多いのに対して、特に名のない大名やその家臣たちが描かれている。殿さまの日では一日一日が平穏無事に終わるようにと祈り、静かに努力を重ねる殿さまの姿が印象的だった。
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時代短編小説集第一弾
星新一さんの独特の文章、ブラックユーモア(?)
面白かったです
『殿さまの日』
『江戸から来た男』
『道中すごろく』
『紙の城』
『春風のあげく』
『すずしい夏』 -
文学
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2009年8月5日、初、並、帯無
2016年5月21日、松阪BF -
紙ですべてをいいようにするー紙の城。乾いた笑いがみちみちた一冊でした、やはり星さんはすごい書きてだなぁと。
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【寄贈】
913.6 ホ (1) 登録番号10313 -
ショートショートの場合、時代やキャラクターは具体的に特定されることが少なく、読者の想像力がそこを埋めていくことになります。
一方、本作は時代小説ということで、殿様ならばそのイメージが、江戸時代ならばその空気がもともと読者の頭の中にある。
その辺の作用がポイントなんじゃないかなぁと思います。
個人的には「紙の城」が好き -
有名で定番どころだけれど読んだ事のない作家さんというのは多くいるもので、私にとって星新一さんはその一人です。うっすら記憶にあるのは小学校の国語の教科書(調べてみたら「おみやげ」という作品でした)で、それ以来。なのにSF作家として有名な著者の中では異色な時代小説から読むというのはいかがなものかとも思いますが、これが面白い。お砂糖もミルクも入れないコーヒーのような味わい。一番好きなのは「殿さまの日」です。内容もとても好みでしたが、滑らかに物語の視点が殿さまとその外側を行き来するカメラワークが快感でした。
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「殿さまの日」ってお話を読みたくて借りました。
確かに「殿さまの日」は大名がしがらみに縛られて、やりたいこと、やらなくちゃいけないこと、やっちゃいけないことを客観視と諦観で淡々と語る感じがある意味小気味良くて、面白かったけど、その他のお話はみんな私にはシニカルにすぎて、だんだんうんざりしてしまいました。 -
星新一は時代小説も書いていたんですね。淡々とした語り口から紡がれる予測不能のストーリー。松本大洋のイラストがこれまたぴったり合っていて素晴らしいです。
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SFじゃない、星新一です。
でもどれもふつうの時代小説ではなく、少し不思議なお話ばかりです。
【熊本学園大学:P.N.はしる】 -
星新一はショートショートしか知らなかったが、時代ものも良い。特に「殿さまの日」はよかったなあ。傑出しすぎることなく、かといって愚鈍でもなく。時代小説としては異色なんだろうけど、時代ものを読み慣れない人でも読みやすいと思う。
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のんびりとした文体の中にちょっとした皮肉。
星新一氏らしいどことも言えない藩での物語。