かがみの孤城

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (554ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591153321

感想・レビュー・書評

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  • "嫌なことは嫌っていうんだよ。
    それが言えないときは、みんながびっくりするくらい大きな声で泣くんだよ "
    私の子たちは、まだ幼い頃にそんなふうに教えられて、幸運だったかもしれない。

    ”思春期のこどもは、親の言うことや、ましてや教師のいうことなどきかない。 友達が強く影響を与える" 
    これは保護者として聞かされた言葉。
    本人たちはそんなことをわかりはしまいが、子供が苦しいときは親も苦しい。そんな時に何度もかみしめた。

    かがみの狐城
    主人公の こころ は、中学に進学してすぐに、 クラスメイトから激しいいじめと脅迫行為を受け、学校に行かれなくなってしまう。
    親しくなりかけた子も味方してくれず、何が起こったのか理解してもらえないのではないか....という躊躇いが大きく、親にも言えない。
    そんなとき、部屋の姿見が虹色に輝く。。。

    ミステリー&ファンタジー仕立ての いじめをテーマにした話か?と思ったが、それだけではない。
    行きたくないわけじゃないのに学校に行けなくなる子たち。
    それぞれの事情は異なるが、 ふしぎな城に招かれた7人は、願いを叶える鍵があること、1人しかそれを使えないこと、願いが叶えられた時点で全ての記憶はなくなること、叶えられなければ記憶は残ることを言い渡される。

    思いがけず人生につまづいてしまった その事情の解決が主題ではなく、本人たちがジタバタして出口を探していく、そういう話なのだ。
    自分の不快のでどころが ハッキリしない ハッキリさせたくない 10代のもやもやした時期。
    そこを通り抜ける、周りにはみえない時間が 描かれている。

    他人に対して恐怖感をもつ こころ が、次第に城の仲間と連帯感を持っていく。友達に なる。
    嫌だと意思表示することも、本当のことを話して助けを求めることも大事な力。
    じわじわとそういう力をつけていく。
    ”こころ”の成長。

    軽やかで読みやすくふんわりした感触を残しながら同時に濃い充実感も備える。
    教育学を学び、SFが好きな辻村さんらしい作品。

    2018年本屋大賞受賞作
    久しぶりに ブッチぎりトップだった。

  • 数年前に読んだ作品。
    かなり話題になった作品だったので当時とても期待して読みましたが、とても読みやすく興味深い内容でした。
    中学生や高校生の時代に読むことをオススメします。

  • いたるところで目にしていたこの本。ただあまりにメジャーなタイトル過ぎて少し敬遠していたが…図書館でふと目が合ってしまった。これは借りねばと思い読んでみた。
    結論、良かったです。
    「ミステリー的要素」と「子どもたちの成長物語的要素」がバランスよく描かれているなぁという印象。
    ミステリー要素については、中盤くらいに気付ける。まぁそもそも家の中の鏡が光って手を伸ばしてみたら別の世界に来てしまいました!という時点で何もないわけがないのでそりゃ注意深く見るわと笑
    「パラレルワールドではなく、生きている時代が違う」という点はわかりやすかったものの、モチーフにしている物語については予想がつかなかった(というより、狼と七匹の仔山羊を知らなかった)
    まぁでもこの本の醍醐味はミステリー要素ではなく、子どもたちの成長物語を楽しむ本ではないだろうか。
    毎度のことながら、思春期の少年少女をここまでリアルに描ける辻村深月って改めてすごいなと(まぁリアルすぎてたまに読んでいて嫌になるのだが笑)
    大人になると、どうしても「子供の悩みなんてたいしたことないだろ」とか思ってしまいがちなんだけど、子供も子供の世界の中で日々闘ってるんですね。親目線でそういったことをちゃんと理解してあげられる親にならなければいけないなと再認識。
    最終的な終わり方もハッピーエンド?なのかな、ほっこりした気持ちで読み終えることができました。記憶はなくなっても絆は繋がっている…良い終わり方だと思いました。
    辻村深月の本は、子供が読んでも大人が読んでも、それぞれの視点で楽しめることができる本が多く良いなと思いますね。また少し時間を置いて、他の本にもトライしてみようと思います。

  • ずっと読みたかった一冊をようやく手にすることが出来ました。

    手にすることに踏ん切りがついたのは、先日読み終えた2020本屋大賞受賞作「流浪の月」があまりにも良かったので、2018年受賞作である本作もきっとステキな一冊だと思い購入しました。

    550pを超える作品であり、楽しめなかったらどうしようとの不安を抱えながら読み始めましたが、気づけば貪るように読んでいました。

    本作の主人公は中学一年生の安西こころ、そして同年代の6人の中学生、昴、晶子、理音、風歌、嬉野(遙)、政宗(青澄)。

    私の最愛の娘の名前もこころ。

    娘の名前と主人公の名前が同じという偶然も重なり私には忘れられない一冊となるだろう。

    様々な理由から学校に通えなくなった6人の子供達。

    友達もなく、大人たちにも理解してもらえずに孤独に生きていた子供達は鏡の中の世界で出会い共に過ごす時間の中で自分は1人ではないことに気づいていく。

    そしてそれぞれが友のために行動する。

    ファンタジーの世界は正直あまり好きではないし、本作はファンタジーの要素が詰まっている。

    しかしながら、本作では子供達が共に成長し、助け合うこと、支え合うことが描かれていた。

    それぞれが、それぞれを助ける。

    そして、明かされた鏡の中の世界の謎。

    読み応え十分の作品でした。



    説明
    内容紹介
    あなたを、助けたい。

    学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
    なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
    生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
    メディア掲載レビューほか
    鏡の世界で謎を追う不登校児 大人と子どもの目が共存する救いの物語

    大人である現在の自分と、子どもだったあの頃の自分の両方を、同時に、ここまで慰め、励ましてくれる小説なんてはじめてだ。辻村深月の新作『かがみの孤城』のことである。

    中学一年生のこころは、ある出来事を機に学校へ行けなくなり、いつも家で過ごしている。ある日一人で家にいると、部屋の鏡が突然輝き始め、潜り抜けてみると、そこは城の中だった。集められたのはこころを含め、似た境遇にいるらしき中学生が七人。九時から十七時まで滞在が許されるその城で、彼らにはひとつの課題が出される。猶予は一年。戸惑いながらも七人は、少しずつ心を通い合わせていくのだが……。

    少年少女が異世界の建物の中で謎を追う設定は、著者のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』と同じ。ああ、久々に初期の頃のような青春小説を書いたのだな……と思いながら読み進めた。自分も思春期にこんなふうに傷ついていたなと思い出すというより、自分があの頃傷ついたのは、こういうことだったのか、と気づかせる描写の巧さに唸る。だが途中で、それだけではないと気づいた。これは、あの頃の気持ちを失わないまま、かつ、大人としての目を持ち合わせるようになった今の著者だからこそ書ける作品なのだ。泣けるのは娘を理解しようと手探りする母親の戸惑いや怒りや喜びが、それに無自覚なこころの目を通しながらもありありと伝わってくる点。子どもが大人に望むことはもちろん、大人が子どもに対して思うことを、こんなふうに巧みに表現してのけるとは。

    大人も子どもも、みんなが関係を構築していこうとしている。その部分だけでも充分読ませるが、もちろんミステリーパートも秀逸で、孤城の秘密がすべて明かされていく終盤は驚きの連続。それがまた、胸をしめつける真相だ。救いを求める側から救う側へとなった時、人は本当に救われるのだとも気づかせてくれる一冊である。

    評者:瀧井 朝世

    (週刊文春 2017.05.25号掲載)

    内容(「BOOK」データベースより)
    どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す―
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    辻村/深月
    1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。『ツナグ』(新潮社)で第32回吉川英治文学新人賞を、『鍵のない夢を見る』(文藝春秋)で第147回直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • やばいやばいよ★5じゃ足りん!
    ありがとうブクログ
    ありがとうこの本を本棚に入れておいてくれた人たち
    辻村深月という人はこうなればいいなってことを物語にするのが本当にうまいと思う
    物語に横たわっているのは誰もが思う平々凡々な願い別の言い方をすれば非常に共感性の高い想い
    だけどそれをアッと言うような物語に仕立ててしまうそんなストーリーテラー

    とにかく面白かった
    本屋大賞になったくらいだからもうすでに大大ベストセラーなんかもしれんけどもっと多くの人読んでもらいたいなと思った
    そのためにはまずはこの本を早く図書館に返そう

  • 初めての辻村深月ツジムラミズキ。
    読み方も勝手にツジムラ
    しんげつなんておもってた。

    わぁファンタジーだったら困るな。苦手だから
    ところが読むほどに引き込まれる。
    パラレルワールドもわからないし〜

    自分は大人だし「十分すぎる大人というかテヘッ、」
    テーマ、「中学生?」

    最近は普通、普通って、なに?
    今はビクビクしてないし、
    中年越して厚かましいくらいだけど
    思い出した。何かに怯えるような神経がビクビクしたり
    傷ついていた溶け込めない。浮いてる、なんか違う

    その思春期のなんとも知れない気持ちが表されていた
    生きにくい、不器用な、ナイーブな子達
    わかるし、同苦できる、
    終わりの方はそれぞれの気持ちになって悲しかったり
    傷ついたりした。

    物語の終わりはいつものバタバタ感
    無理矢理感も纏うが。

    仕方ないか。
    いろいろ前半に散りばめられてた意味がわかる。
    ふーんそういうことだったんだ。

    現在はもっと悲惨、いじめによる自殺、
    犯罪になってる
    ホント命かけて学校行く必要ない
    生徒がいればいるだけの問題はある。

    一番辛いのは
    性的虐待、それと身内から。
    義理の親とか
    そこまでして女親は配偶者を求める〜
    子供の犠牲にしての家族は成り立たない、。

    余裕ないかも知れないが
    今、生きにくさを感じてる
    どうしていいかわからない子たちに読んで欲しいとあったけどその通りだと思う。

    学校なんて、ある意味たかが学校
    命がけで行くところではない。
    一番大切なことは命があるということ「かけがえがないあなたということ。」
    本屋大賞だっけ
    わからないでもない。

    今までの読書のやり方を少し変えた
    一人の作家の全作品を読んでいくやり方では
    未踏の作家が多すぎる。
    いろんな作家を浅く読んでいこうと思っている。

  • すごく心が温まるお話だった。中学生って1番多感で、勉強に部活、人間関係でとても大変な時期だと思う。7人それぞれ違う悩みを持ちながらも、城での生活で互いに支え合い励まし合い、元気を取り戻しているようで感動した。

    「闘わなくていいんだよ」
    という先生の言葉は大人にも響きました。

    最後の最後で伏線が次々回収されていって、
    あぁ〜なるほど!そういうことだったのか!!
    と驚いたり妙に納得したり。


    ページ数はかなり多かったけど、あっという間に読んでしまった。
    辻村深月さんの本の中で1番好きな本になった。

  • 私がいままでで読んだ本のなかで一番分厚くて、一番感動した本でした。あと、カバーをはずすと、願いの鍵が描いてありました。
    特に共感した場面は、マサムネが皆に学校、来てくれない?と、きいたところです。沢山勇気がいっただろうな・・・と思いました。私は、オオカミ様の正体はわからないと思っていました。いままでで読んだにたような本では分からなかったのです。オオカミ様の正体がわかったときは、めちゃくちゃ嬉しかったです。
    ファンタジーが好きな人におすすめ。

  • 面白かった!
    ファンタジー+ミステリーのエンターテイメント作品
    ある意味、不登校の子供たちへエールを送る物語。

    ストーリとしては、
    主人公のこころは中学1年生。学校でのある事件から不登校に。
    さらにはフリースクールにも行けない状態。

    そんなこころはある日、自室の鏡が光っているのに気が付いて、触ってみると、鏡に吸い込まれ、別世界(城)に入り込みます。
    そこでは、本書の表紙のような狼面にドレスを着た少女「オオカミさま」、さらに、こころと同じような年ごろの男女6人がいます。
    城の開いている時間は毎日9時から5時まで
    電気は来ているけど、食べ物、飲み物はない(なので持ち込みが必要)
    そして、3月末までに、城の中に隠された「鍵」をみつけ、「願いの部屋」を開けると、願いが叶うというもの。
    鏡を介して、城に出入りするこころたち。
    学校に通えない、多感な時期の子供たちが、城に集まります。
    少しずつ、お互いを理解していく...
    といった設定。

    途中からミステリー要素が強くなりますが、これをミステリーとして読んではいけない。
    ミステリーにしちゃうと、突っ込みどころ満載(笑)

    本書の勘所はそんなところではなく、やはり、学校に通えない子供たちのこと。
    その心の変化、感じ方。
    そして、その子供たちに筆者が伝えたい強烈なメッセージ

    一人じゃない、助け合える
    きっと会える。

    とってもお勧め

    • アールグレイさん
      言い忘れました。
      アイコンの“クア~ミイ~ザア~マ~”と言う黄緑色の3つ目の子、好き!ディズニーが好きと言うわけではないけれど・・・・
      言い忘れました。
      アイコンの“クア~ミイ~ザア~マ~”と言う黄緑色の3つ目の子、好き!ディズニーが好きと言うわけではないけれど・・・・
      2022/02/10
    • masatoさん
      ゆうママさん
      コメントありがとうございます
      中年のオヤジでございます。
      基本、ブックオフの100円文庫を中心に読書しています。
      ミ...
      ゆうママさん
      コメントありがとうございます
      中年のオヤジでございます。
      基本、ブックオフの100円文庫を中心に読書しています。
      ミステリーではありませんが、浜田マハさんの作品は泣けますよ
      ミステリーというところでは、ちょっと重いですが薬丸岳さんはいかがでしょう?
      どうぞ、よろしくお願いします。
      2022/02/11
    • アールグレイさん
      原田マハさん、実は読んだことがないのです。ブクログに入ってから、何人かのフォロワーさんに薦められました。自分では読んでいると思い、ブクログ入...
      原田マハさん、実は読んだことがないのです。ブクログに入ってから、何人かのフォロワーさんに薦められました。自分では読んでいると思い、ブクログ入会前の記録用紙を目を皿にしたのですが・・・ないのです。
      近い内に原田マハ、読むつもりです。
      (^^@)ゞ
      2022/02/11
  • 率直にとても良い作品だと思いました。中学生をテーマにしたSFモノという印象が先行して、自分の対象からはズレてるかなと勝手に思い込んで手に取ることから遠ざかっておりましたが、先日、傲慢と善良を読了し大変良かった為、辻村作品を改めて読んでいってみたいと思いました。
    話しはこころを中心とした7人の中学生不登校を主軸としたものですが、結論から言うと、この数十年に渡り、同じような問題を抱える子供達は無くならないのだなと、、悩みを打ち明けても皆世代が異なっている事に気付かない。時代と共に文化や技術(ゲーム機や通信端末など)様々な事が進化していくわけですが、根底にある心やいじめの問題は40年近くの時を超えても変わらない、という視点に一石を投じた作品なのだと解釈しました。
    未だ誹謗中傷やいじめ、家庭環境における問題をキッカケに悲しい事件が後を経たないわけですが、悩みを抱える者達が共有し打ち明けることで前向きな気持ちへと変化していく様が描かれており、その重要性が伝わる作品ではないかと感じました。

    大人も中学生も楽しめる1冊だと思いました。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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