- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591162743
感想・レビュー・書評
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大阪近郊に位置する暁町にある「あかつきマーケット」が物語の舞台…様々な店舗が軒を連ねて営業していたが、時代の波に飲み込まれる形で閉店することとなる…。「あかつきマーケット」のマスコット的存在の「あかつきん」はイベント途中に失踪(!?)するも、その後町の至る所に出没し困った人を助けていた…さらに「あかつきん」のしっぽをお守りにする人も多数現れたが…。
「あかつきん」だけにしぼったストーリーかと思いきや、実際は「あかつきマーケット」で働く人々やその近隣に住む住民やその家族など、様々な年代の人たちが主人公となる短編集でしたね…。日々の生活の中でどんな人とつながり、どんなことを思い、今後どう生きていくか…を描いているものでした。色んな感情に左右されながらも、生活の中で人と関わることでホッとする、感謝し思いやる心をもてる、張りつめていた心を休ませることができる…そんな日があれば、明日もまた頑張れるっ!
「グラニュー糖はきらきらひかる」が、特に好きです!頑張っていると甘いもの、すっごく欲するとき、ありますよね!!自分からもう甘いものでも摂らないとやってらんないわ~じゃなくて、それを家族にすすめてもらえると認めてもらえた感ありますよね(^^)
読み終えて、表紙の「あかつきん」を改めてみると、なんとも愛おしい気持ちになりました(#^^#) -
フォローしてる方のレビューを読んで、読みたいと思っていた本。初めての作家さん。
どなたかもレビューに書かれていたけれど、表紙の印象から受けるようなほのぼのとしたお話ではなかった。
表紙に描かれている「あかつきん」は、閉店が決まっている暁マーケット(戦後の闇市から続く小さな商店が集まった市場)のゆるキャラ。
ある日、あかつきんがマーケットから失踪してしまうのだが、その後町のあちこちで目撃され、町の住人がその様子をSNSに上げる。「あかつきん」には何か意図があるのだろうか…?
どこにでもあるような町に住む人々の心模様が、丁寧に描かれている。前章の主人公が次章にもチラリと出てくるリレー形式の短編集。そして、必ずどこかに「あかつきん」も登場する。
終盤に近づいて、「あ、この名前、前の方に出てきた!だれだっけ?」みたいな感じでページを行ったり来たりして、見つけてスッキリ!てなことも楽しめた。
それだけ入り組んだ構成を、作者は考えられているんだなぁ…と驚嘆。
どんなに幸せそうに見える人、恵まれて見える人にも心の中に重石のようなモノはある。その大きさ重さは、人それぞれ、重石で抑えているモノも人それぞれだと思うけれど。
格差が広がる世界で、人は他の人の重石には目がいかない。自分の重石ばかりが気になって人を羨み、人を軽んじ…大人の世界がそんなだからスクールカーストもうまれるのだろうな…などと考えてしまった。どうも考えが学校に行き着いてしまうこの頃である。
どなたかも書いていたが、私も「グラニュー糖はキラキラひかる」がとても心に響いた。2019.12.27 -
『夜が暗いとはかぎらない』うーん、深い!『明けない夜はない』とか『やまない雨はない』とかは言いますが、『夜が暗いとはかぎらない』ですよ。
この物語を読むとそのタイトルの意味することがよくわかります。ここでその解説を述べるのはちょっと違うと思うので、そこはスルーしておきますが。
さて、私ごとですが、かなり久しぶりに小説を読みました。久しぶりに読むと、この連作短編集にちょっとビックリしたりします。この人がこうで、えっ!?この人はなんの人だっけ?っていう風に頭がこんがらがったりします。
でも、新しい発見がありました。連作短編集って、今までは当たり前のように読んでましたが、これって、物語のリレーみたいですね。各章でそれぞれ違う登場人物がいて、それぞれの登場人物がその章では主役になって頑張っています。そして、この寺地さんが描く登場人物はみんなが魅力的で、その各章が終わるたびに凄く寂しい気持ちになります。
いやぁ、本当にどの章も面白かったし、優しかった。寺地さんが描く物語で共通しているのは、優しさでしょうか。嫌な奴だなと思っていた人も、他の章でその人のいい部分が見えたりします。
どの章も面白かったんですが、最後は誰が主役になるのかなぁ?と思って読んでいくと、やっぱりこの人ですよね!そして、各章で活躍した人たちもみんな出てきて凄い贅沢な最終章。
『夜が暗いとはかぎらない』。どの章にもその意味が隠されていると思います。久しぶりに読んだ本がこれで良かった。 -
気になっていた一冊。
この表紙のねずみが登場して暗躍するとは思わなかった。
朝が明るいとはかぎらない、昼の月、夜が暗いとはかぎらない。
大阪市近郊のどこにでもある小さな街にある、あかつきマーケット。
そこのゆるキャラであるあかつきんが失踪して…。
この街に住む人達の群像劇。
あかつきんの生み出した花屋のおばさん、育児に悩むお母さん、嫁が実家にべったりで帰ってこない男性などなど。こうでなければいけない、こうしなければいけない、という枠に囚われて、くるしんで、それでも進んでいく。
けむり、赤い魚逃げた、グラニュー糖はきらきらひかる、青いハワイがお気に入りでした。読み終わって、あたたかいスープを煮込みました。 -
あかつきんは 特に活躍しませんが
あかつきんの中の人も
この紡がれた物語の一人として
少し成長してくれます
連鎖的に何かが影響され 響き 変わっていく
そんな温かさを感じる話になってます-
musamikaさん、こんにちは。
私も大好きな物語でした。musamikaさん書かれている通り、あかつきんは直接には何かする存在じゃない...musamikaさん、こんにちは。
私も大好きな物語でした。musamikaさん書かれている通り、あかつきんは直接には何かする存在じゃないんだけど、なんだか存在感が大きくて、また、今度はどんな形で出てくるのかな?という期待感もあって、なんだか存在自体もいじらしく感じました。
とてもあったかいお話だったと思います。
ありがとうございます。2020/07/29 -
心があったかくなるお話って読むと
みんな頑張ってるんだなぁって元気が出ますよね コメントありがとうございます。心があったかくなるお話って読むと
みんな頑張ってるんだなぁって元気が出ますよね コメントありがとうございます。2020/07/29
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寺地はるなさんの本を読むと、周りの人たちにも生活があり、悩みがあることを思い出す。当たり前のことだけど、自分から見てどうでもいいとか、かっこ悪いとか思うことも、その人にとっては大切なのかもしれないことを改めて感じる。彼女の本を読んだら、少し優しい人になれる気がする。