お探し物は図書室まで (ポプラ文庫 あ 14-1)

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 11425
感想 : 759
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591176016

作品紹介・あらすじ

2021年本屋大賞第2位!!
「お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?」
仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。
自分が本当に「探している物」に気がつき、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。

感想・レビュー・書評

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  • いいですねぇ。

    前を向くってすごく良い。
    自身の周りで起きた少しのことを、
    「キッカケ」と捉えられるかどうかが
    すごく大事なんだと改めて思う。

    私は、「今」この本と出会えたことを
    キッカケにして、また前に進みます。

  • 【読もうと思った理由】
    直近の本屋大賞で2年連続2位を取っていた青山美智子氏は、もちろん注目していた作家だった。知人の友人で、過去に一度も本を最後まで読了したことがない人がいたんだそうだ。その人がここ数年で、初めて読了出来た作家さんが、「青山美智子氏」なんだとか。ただ読了しただけでなく、どっぷり青山氏の作品に魅せられ、発売している青山氏の作品は、全て読了済みなんだとか!今まで何十年も「苦手だったもの」を、「好き」に変えてしまえる能力と魅力を持った青山氏の作品を、読んでみたくなった。

    【作品の内容】
    5章からなる連続短編集。
    各章ごとに主人公は別々で、それぞれの主人公が人生における重要な岐路に立ち、各々悩みを抱えている。そんな折、ふと立ち寄った区が運営しているコミュニティハウスの中の図書室。そこには、ビックリするぐらい大きな体躯の司書の小町さんがいる。愛想も全くないが、「何をお探し?」という、くるむような温かみのある言葉。そこから探している本を伝えるが、必ず一冊全く違うジャンルの本が混じっている。その本から各々の主人公が、人生における大切な「気づき」を得て、新たな人生のステップを進んでいくという、明日への活力と希望が満ちていく物語だ。

    【感想】
    僕が読書で大切にしている、「読了後にポジティブになれる作品」というコンセプトに、これほど当てはまる作品も滅多にないであろうというのが、最初に持った感想だ。五人の主人公は、それぞれ転職・起業・出産、育児・就職・定年後という人生の大事な岐路に立っている。
    たまたま訪れた、図書室の司書からオススメされた本に各々が「気づき」を得て、その後の人生を前向きに生きていく。
    こういう構成の本は、過去に何度か読んだなぁと思いつつ、途中で気づいた。あっ、そうか!これは水野敬也氏の「夢をかなえるゾウ」シリーズや、森沢明夫氏の「大事なことほど小声でささやく」の構成に似ているんだ。ガネーシャやゴンママが、人生を生きていく上で本当に大切なことを、それぞれの方法で教えてくれる。そして主人公が成長し、今後の人生を前向きに生きていく。

    上記に挙げた作品と大筋は似ている。
    だが、青山氏の作品の独自性も明確にある。それは重要なことは、誰かから教えてもらうのではなく、あくまでも本人が「気づく」ということだ。どんなに大切な事でも、誰かから説得されたとしたら、なかなか人間素直に受け入れられない。あくまでも本人が、自分で気づかないと、納得感が得られずに腑に落ちることは、まずない。
    よくよく考えると、普段の生活で同じことを経験しても、一人の人は何も感じず、もう一人の人は、素晴らしい気づきを得て、その後の人生がガラッと変わることなど多々あるなぁと。
    毎日前向きに楽しく生きている人もいれば、なかなかネガティブから脱出できない人もいる。その違いは、まさしく本書が示唆している「気づき」だと思った。

    今までの人生において、「気づき」を得て自分が変われた時は、どちらかと言うと順風満帆に生きている時ではなく、逆境やピンチで大変な時だった。そう思うと、逆境やピンチの時もそんなに悪くはないと思えてくる。
    本書から得た気づきは、「ピンチは自分を変える最大のチャンスである」だ。
    なかなか人間、自分の考えや行動・習慣を変えることは出来ない。そう思うと今後、逆境やピンチに陥っても、自分を変えるチャンスだと認識を変えるだけで、そこまで逆境やピンチも怖く無くなった。
    こんな大切な気づきを得られた本書との出会いは、素晴らしい体験だった。
    人生の岐路で悩んでいる方がいれば、自信を持ってオススメ出来る書籍です!

    • 松子さん
      ユウダイさん、はじめまして(^^)
      ユウダイのレビューからこの本の素晴らしさがとっても伝わってきます。
      色々な方がこの本のレビューを書かれて...
      ユウダイさん、はじめまして(^^)
      ユウダイのレビューからこの本の素晴らしさがとっても伝わってきます。
      色々な方がこの本のレビューを書かれていますが、ユウダイさんのレビューを読んでますます読みたいなと思いました。
      フォローありがとうございます。色々な本の情報交換ができたら嬉しいです。どうぞお願いいたします♪
      2023/03/04
    • ユウダイさん
      松子さん、嬉しいコメントを下さり、ありがとうございます!この本、本当にオススメです!
      レビューには載せきれませんでしたが、感動して瞳が潤むシ...
      松子さん、嬉しいコメントを下さり、ありがとうございます!この本、本当にオススメです!
      レビューには載せきれませんでしたが、感動して瞳が潤むシーンも幾つかあります。仰って頂いてる様に、オススメの書籍の情報交換など出来れば凄く有り難く思います。感想を書き始めたばかりなので、文章力は拙く恥ずかしいですが、今後も少しずつ読み終わった本の感想をアップしていきたく思っています。今後とも宜しくお願い致します。
      2023/03/04
  • 5月25日、俺は勇躍して近所の本屋に行った。本屋大賞一位作品の文庫本が発売されたからだ。俺は一位作品を「流行小説の窓」としている。目当ての「52ヘルツのクジラたち」は置いてなかった(10日後の現在まで未だ入荷していないので、いわゆる取次屋のイジワルというヤツかもしれない)。呆然としていたその時、平積みの茶色系の文庫本が話かけてきた。

    「何をお探し?」

    よく見ると、帯には「52ヘルツ」と同年「2021年本屋大賞第2位!」というピンク文字が踊ってる。文庫本は「あなたにはコレ」と言って「販売BOOK全品新品ポイント10倍」という情報を教えてきた。「付録がついていると楽しいでしょ」コイツ俺がクーポンに弱いのを知っていやがる。何処で知ったんだろう。

    コミュニティハウスの中にある図書室のレファレンスコーナーにいる小町さゆりさんが、「何かを探している人たち」に提案する本のメモには、必ずちょっと斜め横だったりの思いもかけない本が記載されている。付録も付く。それぞれの主人公たちは、その本をヒントに新しい人生に踏み出すという短編集だった。読書家にはとっても魅力的なストーリー。

    なるほど、今どき、とっても読みやすい文章。小町さゆりさんは、ある時は白熊、ある時はマシュマロマン、ある時はベイマックス、ある時は「らんま1/2」の早乙女玄馬のパンダ、ある時は鏡餅‥‥と、その姿の描写にさえリズムがある。それに、短編の中の脇役たちが他の短編でも登場して重要な役割を持つというのも今どきと感じた。

    よし、これで「流行小説の窓」は開いて閉じた。もう「52ヘルツ」はいいかな(←オイオイ)。

    • kuma0504さん
      マメムさん、お返事ありがとうございます。
      あ、27年間じゃなく、17年間でした!すみません。27年間だとSNSもない頃から使ってることになっ...
      マメムさん、お返事ありがとうございます。
      あ、27年間じゃなく、17年間でした!すみません。27年間だとSNSもない頃から使ってることになっちゃう(^ ^;)。ブログの頃の仲間から誕生日プレゼントでもらったのです。

      小町さんは、自分の体型がいろいろ思われているのは承知の上だと思います。それでもきっといくつかの本や人との出会いで、それを克服してきたのが、あの姿なんだと思う。
      2023/06/06
    • マメムさん
      kuma0504さん、お返事ありがとうございます。
      お誕生日にアイコンとは珍しくて素敵ですね♪
      小町さんの体型は、効率重視の省エネでテキパキ...
      kuma0504さん、お返事ありがとうございます。
      お誕生日にアイコンとは珍しくて素敵ですね♪
      小町さんの体型は、効率重視の省エネでテキパキこなしてきた勇姿なんでしょうね^_^
      2023/06/06
    • kuma0504さん
      マメムさん、こんばんは。
      なにしろ、ブログ仲間ですから、名前も顔も知らない方ですし、ブログ創世記には誕生日も公開しているし、メールも送れたの...
      マメムさん、こんばんは。
      なにしろ、ブログ仲間ですから、名前も顔も知らない方ですし、ブログ創世記には誕生日も公開しているし、メールも送れたのです。画像を送り合うとか簡単にできるのですね。そういえば、現代ではちょっと考えられませんね。
      2023/06/07
  • 区立の公民館の図書室で働く小町さゆりと森永のぞみが「何をお探しですか」とレファレンスを各章ごとにして、その人に合った本を探してあげるというファンタジーな作品。


    第一章は婦人服販売部員の朋香21歳。朋香は地方から東京に出てきて田舎ではバリバリのキャリアウーマンということになっていますが実際は…。

    第二章は家具メーカー経理部で働く涼35歳。アンティーク好きがきっかけで知り合った10歳年下の恋人比奈がいて結婚したいとは思っていますが…。

    第三章は元雑誌編集者の夏美40歳。娘の双葉を生んでキャリアを失ってしまいます。

    第四章は30歳のニート浩弥が十二年ぶりの同窓会にタイムカプセルに入れた恥ずかしい将来の夢を回収しに行きます。

    第五章は定年退職をした65歳の正雄が趣味がなく妻に熟年離婚をされるのではとあせっています。


    図書室のレファレンスコーナーで小野さゆりがひらめきで探した本がみんなはまってハッピーになるというめでたし、めでたしなお話ばかりです。

    第四章はニートの浩弥が図書室で働くことになり、浩弥がとても大切にしていた友だちの夢も叶うという、私は一番好きなお話でした。

    各章の人物が他の章にも登場するという連作短編集です。


    2021年本屋大賞第2位。
    文庫版は著者の青山美智子さんの
    「ヒントはいつも、寄り道、迷い道で ひょこっ と現れる。想定外だからこそ嬉しいサプライズ。お探し物が見つかりますように」
    というメッセージカード入り。小町さんが手作りしてみんなに配っている羊毛フェルトの小物の写真も載っています。

  • こんなにもあたたかい作品をありがとうございます。
    キャラ設定、展開、ストーリー、全部好きです。
    中盤くらいから急激に面白くなってきて、最後までほんわかしながら、ニタニタしながらあっという間の読了でした。ドラマにすると絶対面白い系ですね!

    • マメムさん
      初コメです。
      ジブリっぽいアニメでも良さそうですよね。
      初コメです。
      ジブリっぽいアニメでも良さそうですよね。
      2023/06/15
    • にゃごさんさん
      コメントありがとうございます。
      それもまた良しですね!
      コメントありがとうございます。
      それもまた良しですね!
      2023/06/16
  • 「何をお探し?」

    区民なら誰でも本を借りられる小学校に併設されたコミュニティハウスの図書室。そこには司書を目指すために実務経験を積んでいる『森永のぞみ』さんと湯婆婆……、ではなく司書の『小町さゆり』さんがレファレンスコーナーに控える。

    本作は5人の性別も年齢も境遇も異なる人が、湯婆婆……、ではなく司書の『小町さゆり』さんの選書と『付録』によって、それまでの日常から一歩だけ歩みを進め、世界と自分の見方を変えていく。

    青山美智子さんの作品は伏線ではないが、別の章に別の登場人物が見え隠れするのが特徴的であり、本作も様々な場面で人々が交錯する。いずれも心穏やかな気持ちにさせる作品でした。

    と言った所で少し脱線です。

    文庫本の帯にデカデカと『本屋大賞 第2位!』と飾られている本作ですが、皆さんは『2位』と『ノミネート作』と、どちらの表現が印象良いと感じますか?

    本作を手に取る際にふと感じたのですが、作家さんから見て『2位』と順位付けられた自分の作品に「1位を獲れなくて、ごめんね。」とか「悔しい」といった気持ちを抱くこともあるのでは?と思うと、『ノミネート作』と書かれる方が、まだ気持ち穏やかにいられたのでは?と思いました。

    素晴らしい作品であることは変わりないのに誰かの物差しで測られ、格付けされるという現実に、ちょっとだけ生き辛さを感じますよね。そんな気持ちでいる私に、湯婆婆……『小町さゆり』さんはどんな『付録』と本を選書してくれるのだろう。

  • 今の私にぴったりフィットした本でした

    二章の諒 35歳の話は、今の私の悩みと同じものでしたし、夏美40歳の話はまさに今日の出来事とリンク!!

    様々な例えで小町さんを表現するのも見どころ!
    私は銭天堂の紅子さんを想像しました

    そして桐山くん!グッジョブです!!

  • やっぱり青山美智子さん大好きです!!
    長い人生で道に迷った時に読みたい本ですね!

    小町さんのキャラクターも良い!
    (勝手に銭天堂の紅子さんをイメージしてしまいました。)
    今回の内容は自分にもすごく覚えがあったり、まさに今それ!の状態だったり。
    少しのきっかけをもらって、自分で選択して道を切り開いていく。
    素直な心や勇気や強い意思がないと難しいものなのではないでしょうか。
    逆に言うと、実は心の奥底にそれだけの気持ちを持っていたからこそ小町さんに巡り会えた気がします。

    少し見方を変えるだけで、違う景色が見える。
    考え方も同じかなと思います。
    またしても心が洗われるような素敵な世界に呼んでもらえて嬉しかったです。

    • あじょ子さん
      Manideさん

      コメントありがとうございます!
      これからよろしくお願いします★

      私も青山美智子さんにハマっている一人です!笑
      読むと心...
      Manideさん

      コメントありがとうございます!
      これからよろしくお願いします★

      私も青山美智子さんにハマっている一人です!笑
      読むと心が綺麗になっていく気がします。
      そうですね、文庫になるのを待ち望んでます♪
      2023/03/13
    • こっとんさん
      あじょ子さん、はじめまして♪
      フォローありがとうございます。
      私も銭天堂の紅子さんに一票!
      絶対同一人物ですよね笑
      これからもよろしくお願い...
      あじょ子さん、はじめまして♪
      フォローありがとうございます。
      私も銭天堂の紅子さんに一票!
      絶対同一人物ですよね笑
      これからもよろしくお願いします♪
      2023/03/13
    • あじょ子さん
      こっとんさん

      こちらこそありがとうございます★
      紅子さんの副業ですかね?笑
      また違う作品でもお会いしたい素敵な方でしたね!
      よろしくお願い...
      こっとんさん

      こちらこそありがとうございます★
      紅子さんの副業ですかね?笑
      また違う作品でもお会いしたい素敵な方でしたね!
      よろしくお願いしまーす♪
      2023/03/13
  • どんどん読める小説でした。一章から五章まで、全て違う話かと思いきや、どこかで繋がっている。
    第三章のみづえ先生の言葉一つ一つ、いま子育てしているわたしにとても沁みました。
    読み終わった後、心があったかくなり元気が出ます。とてもおすすめです!

  • 連作短編集。小学校に併設の公民館(?)にある図書室になにかしら人生の悩みを抱えた人たちが訪れる。そこで司書の小町さんが勧める本を読んで何かしらの気づきを得る、そんなストーリー。普通この手のお話だと、導き手が結構でしゃばってくるモノだけれど、本作の司書の小町さんは存在感はすごいが、自己主張はすくない。各編の主人公たちが、借りた本やその付録をきっかけに勝手に気づいていく…。「どんな本もそうだけど、書物そのものが力があるというよりは、あなたがそういう読み方をしたっていう、そこに価値があるんだよ」明日からまた仕事、少し勇気と元気をいただいた。

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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。第28回「パレットノベル大賞」佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が、第1回「宮崎本大賞」を受賞する。『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」2位に、『赤と青とエスキース』で2022年「本屋大賞」2位に選ばれる。他の著書に、『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』等がある。

青山美智子の作品

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