シタマチ・レイクサイド・ロード (teens’ best selections 64)
- ポプラ社 (2023年3月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591177587
作品紹介・あらすじ
新高校2年生の湯浅希和子は、部員たった5名の文芸部員。近現代文学に詳しく「明治時代の遺物」と呼ばれる山下先輩、詩を書く島田楽(もと)、小学校時代から「童話作家になる」と作品を書き続けている楓香など、個性が集まる部に新しく新一年生が入ってきた。
希和子は、読書はきらいじゃないが、自分はクリエイティブな才能のある人間じゃないと思っている。創作に熱を燃やす部員たちのなかで希和子が見つける文芸との関わり方は? 心がただ一筋に打ち込めるものって? 部員それぞれの「書きたい」気持ち、「書けない」ジレンマ、文芸部の人間模様を横糸に、希和子のラブストーリーが縦糸として織られる。上野、谷中・根津・千駄木界隈を舞台に、レイク(不忍池)サイドロードで紡がれる希和子の青春物語。
感想・レビュー・書評
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濱野京子さんは、10代の敏感でありながら鈍感な心を表現するのがとても上手だ。
体の成長同様心の方もその成長過程にはばらつきがあるけれど、概ねまだ自分のことで手一杯で、相手の感情を察する余裕もなく、だからぶつかり合って傷つきもする。
上野公園に近い高校の文芸部が舞台となる本作。言葉で世界を築く生徒の集まりだけあって、なかなか辛辣な面もあるが、互いを認め合っているところがいい。
物語は、主人公の希和子の文芸部での立ち位置に悩む姿と、妹の元カレ(小学生の頃の話だが)と高校で再会してからのプライベートでの姿が描かれる。
いやー、こんな青春が送れるなんて小説の中だけなんじゃないだろうか。
谷根千が地元、不忍池が通学路なんて羨ましい限りだ。
2023詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高校文芸部が舞台の物語。
文章を読むのは好きだが、創作は興味なしの希和子。人員不足の為に頼まれて入った文芸部で、立ち位置に戸惑っていく。
文芸部の個性的なメンバーに囲まれていれば、そうなるよなと思った。
妹の小学生時代の元カレ(この設定にちょっとびっくり)との再開から恋愛関係になりそうなドキドキもあり、青春っぽい物語だった。
その中で、大人のおもちゃのお店の記述はなくていい気がした。(ほんの少しだけど) -
一人の少女の葛藤と成長の物語。
とても爽やかな青春小説だった。
執筆に興味が湧いた。
久しぶりに創ってみようかなぁ…。 -
一から何かを生み出せる人って、憧れるよな〜。希和子の自分にはできない、って気持ちすごくわかる。文章を書くことと物語を作ることは少し違う気がする。文芸部で青春ってあまりイメージなかったけど、書きたいと思って活動している部員たちはキラキラしている。もちろん小説でもエッセイでも詩でも。
朔とのやりとりもテンポ良くてよかった。最後、希和子の紡いだ言葉を読んでくれたのなら良いな。 -
爽やかな青春小説でしたね
個性的な高校生の部活もの
若いって良いな
自分も高校生の頃はあんなにキラキラしてたのかな⁈ -
友だちに頼まれて人数あわせのために入部した高校の文芸部で、希和子は最近居づらさを感じ始めた。部員達の創作への情熱をうらやましくは思うが、自分にはそれが無い。そのことを新入部員に指摘されて、自分は何をしたいのか考え込むようになっていた。
学校近くの公園で偶然会った妹の元カレの朔には、幼い頃を知っているせいか、不思議と気を遣わずに悩みを話せた。 -
高校の文芸部を舞台に織りなされる青春小説。東京の下町が舞台。
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池端高校2年の湯浅希和子
人数合わせに頼まれて入部した文芸部で活動しているが、創作に向いておらず、一途に打ち込めることがないことに引け目を感じている
そんな希和子の背中を押したのが妹の元カレで高校1年の木原朔だった
「言いたいこと言えばいいんじゃないですか」
上野、根津、千駄木を舞台に個性的な文芸部員たちが織りなす青春ストーリー
〈わたしは、わたしが紡いだ言葉を、だれよりも・・に読んでほしい。〉
そうか、エンディングをここに持ってきたか
濱野京子の極上YA『トーキョー・クロスロード』(2008年)から15年
“ロード”がふたたびteens' best selectionsレーベルから、2023年3月刊
ちなみに“レイクサイド”は不忍池
ブックカフェにタウン誌にクルミッ子
小道具のあしらい方が心憎い