就職、絶望期―「若者はかわいそう」論の失敗 (扶桑社新書 99)

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594064198

作品紹介・あらすじ

就活批判、中高年叩き、欧米礼賛-安易な議論と税金バラ撒きの末に"絶望期"がやってくる。人事の現場を知り尽くしたエキスパートが警告。

感想・レビュー・書評

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  • 前著の補完的論考。目新しい議論はないがより年金受給世代の内実についてはより詳細な分析がされている。

  • 「昭和的価値観こそが人を苦しめている」・・・著者の本書での言いたい事はこれに集約か。
    前著に比べ、わかりやすくまとまっていた感じ。

  • これは結構衝撃的.
    世間でいろいろと騒がれている大学生の就職や就職活動の問題は,一握りの超大手企業と難関大学に関わるもので,大多数の普通の大学生と普通の就職先としての企業には当たらないという視点.
    にも関わらず,制度が改悪されますます就職が不利になるということ.
    斜め読みしただけでも,確かに思い当たったり納得できることが多い.
    もう一度詳細なデータ等も含めてじっくり読み直したい.
    今までやっていたキャリア教育や大学教育そのものについて考えさせられる.

  • ≪目次≫
    序章   企業だけが得をする若年雇用が始まる
    第1章  超大手企業ばかり見るから間違える
    第2章  にわか雇用論者たちを信じるな
    第3章  なぜ行政は失策を重ねるのか
    第4章  問題の本丸に迫る!
    第5章  教育・雇用の一体化改革案
    対談  日本型雇用がダメなのか、大学生がダメなのか
         ~超・就職氷河期の真実~ 城繁幸氏と

    ≪内容≫
    若年層の就職問題にしっかりとした提案をしている本。”海老原氏の本にはずれはない”という話を聞いたが、本当だと思う。この本もデータをしっかりと読みこんで(読者にも提示して)、分析をし、説得力のある提案を繰り返している。なんで政治家はこうした話に乗ってこないのか?あまりに物事の真実をついているが、金儲けにならないからなのか?

  • グッド
    Raw dataに当たる重要性を再認識。

    ま、世の中印象論で語る輩が何と多いことか。
    某欧米礼賛の某科学者とか。

  • 世の中で騒がれている若者の就職問題が、いかに的外れであるかを教えてくれる。例えば、「既卒3年=新卒扱い」は典型例。その的外れな論調によって行政まで動いてしまうのだから、この国は恐ろしいと感じてしまう。 
    後半の提言部分は??な部分もあるが、全体としては「なるほど」と納得できる部分が多い。

    やはり世に溢れるニュースは鵜呑みにするんじゃなく、その裏側を読む力が必要だ。 

  • 著者の海老原さんは転職コンサルタントでなおかつ
    雇用関係のジャーナリストの方です。

    この本では
    「今の就職制度では新卒資格をうしなうと就職が非常に不利に
    なる。そういったことを防ぐように卒業して3年までは
    既卒を新卒と同じ扱いにしよう」などといった
    一見学生を優遇しているように
    みえて実は危険な制度のあやうさを指摘。

    それも雰囲気論やおもいつきでなく、
    豊富なデータとしっかりしたロジックを
    もとに書かれています。


    この本で他にも

    ・能力やスキルが高いほど転職が容易

    ・若年者の失業率が高いのは新卒一括採用が原因

    ・就職氷河期は求人よりも求職者のほうがおおい(新卒)

    ・就活の年が不況だと大企業にははいれない

    といった世間の常識があやまりであることを指摘しています。
    (もちろん例外にもふれていますが。)


    私も社会人経験がそれほどあるわけではないですが、
    ほぼ同意。


    たとえば昔は能力があれば転職ってできるのかと
    思ってたんですけど、今考えるとそんなに
    簡単に能力なんて測れないし、人の採用
    や配置っていうのはもっともっとファジー
    な要素で決まると思います。

    他のトピックに関しても自分で考えれば
    世の中の常識の矛盾点にきづけるはず。

    マスコミの報道に過剰反応する前に
    間違ってもいいから自分の頭で考えるのが
    大事。


    後半の大学教育に関する部分は若干賛同しかねる
    部分もありますが、雇用に関する問題点の指摘は
    非常にわかりやすく、単純に雇用問題に対する
    見識だけでなくデータの見方なども学べます。


    もうひとつ衝撃だったのは世の中で"問題"とされてることは
    自然発生的にできるのではなく、必ず誰かの意図があるということ。

    要するにあることが"問題"とされることで
    得をする人間、組織がいるということですね。

    そういった意味でもマスコミの報道を鵜呑みにするのは
    いろんな意味で危険だと思います。

    もちろんこの本の妄信も危険ですが。

    それにしても自分も新卒で就職に失敗すると人生終了を本気で信じてた
    時期がありました。

    今考えると非常に滑稽・・・。

  • 日本の就職・転職事情について、様々なデータをもとに解説した本。
    この本を読んで、労働市場の実情を知ることができた。同時に、マスコミがどれだけセンセーショナルな報道ばかりしているかがわかった。

  • p173製造・建設などの第二次産業から、第三次産業が中心となることと、大卒者の雇用の中小シェアが上がることで、これだけ就労環境は変わってしまった。だから、正社員になれない(ならない)人たちが生まれていくのだろう。
    p174必要なのは、求人票ではなくもっとリアルにわかるような仕組み。そして、中小企業の社風を、しっかり分からせるような仕組み。この二つが喫緊の課題。あとは、ブラック企業を取締り、採用し上から排出する仕組み。そして、ブラックではないけれど、自分にあっていない企業に入ってしまった場合、スムーズに退職して、次の会社に誘う(今度は同じような会社を選ばないような)仕組み。さらに加えて、「退陣折衝業務が苦手な心優しき人たち」へのケア。

    p277
    雇用と社会保障を分けて考えるというのは、まったく賛成です。フリーターになってしまう人のなかには、結構な割合で精神的に疲れている人たちがいます。そういう人たちに必要なのは、雇用対策ではなくて、社会保障なんですね。つまり大学を出たけど不況で就職できないという問題と、精神的に疲れてしまって働けないという問題はまったく別です。雇用創出に助成金を入れたら、まとめて解決される話ではありません。

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著者プロフィール

雇用ジャーナリスト、経済産業研究所コア研究員、人材・経営誌『HRmics』編集長、ニッチモ代表取締役、リクルートキャリア社フェロー(特別研究員)。
1964年、東京生まれ、大手メーカーを経て、リクルート人材センター(リクルートエージェント→リクルートキャリアに社名変更)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計などに携わる。その後、リクルートワークス研究所にて「Works」編集長に。2008年、人事コンサルティング会社「ニッチモ」を立ち上げる。『エンゼルバンク─ドラゴン桜外伝』(「モーニング」連載)の主人公、海老沢康生のモデル。
主な著書に、『「AIで仕事がなくなる」論のウソ』(イースト・プレス)、『雇用の常識「本当に見えるウソ」』(ちくま文庫)、『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』(小学館文庫)、『仕事をしたつもり』(星海社新書)、『女子のキャリア』(ちくまプリマー新書)、『無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論』『経済ってこうなってるんだ教室』(ともにプレジデント社)など。

「2018年 『名著17冊の著者との往復書簡で読み解く 人事の成り立ち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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