脳には妙なクセがある

著者 :
  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594065256

感想・レビュー・書評

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  • 人間の脳みその働きに関するエッセイ集。専門的な話はあまりなく、凡人である私にもわかるような話ばかりで、とてもおもしろい内容ばかりだった。
    印象に残ったものはいくつもあるが、その中の一つを紹介。
    15.脳は妙に聞き分けが良い
    このエッセイで、音楽と空間処理能力は強い相関があり、音痴の人は空間処理能力が低いということが、実験からわかっているというのだ。
    このように、へぇ〜〜!というテーマが26個紹介されている。
    私は一気に読んでしまったが、トイレの本棚で、1テーマずつ読むのも楽しいと思った。

  • この本は素晴らしい。茂木のような脳科学に関する胡散臭さを払拭させてくれると同時に、この本には筋が通った一本の主張がある。

    「健全な精神は、健全な肉体に宿る」

    という、誰もが知っている箴言ではあるが、それを脳科学の分野から解き明かし、丁寧に説明してくれる。脳科学って「脳を使えば・・・」とか「これこれ・・・方法で脳を使いましょう」的な文章がほとんどなのだが、著者は「とにかく身体を動かすことが大事」だと主張する。確かに言われてみれば、いやいやながらでも「やり始める」と思いの外そのやり始めた行動に夢中になってしまったということも、今までの経験上かなりある。「あれこれ考える前にまず行動」というわけでもないんだけど、考えすぎるのは良くないよねっていうとてもシンプルかつ(僕にとっては)示唆に富んだ本である。

    この本と『スタンフォードの自分を変える教室』を併せて読むと、より相互理解が深まると思う。

    また「勉強するにはどうしたら効果的か」等、こういう本では定番の項目もある。但し勉強も「アウトプットを重視する方が、インプット重視よりも効果的」だというのも、経験側上ではなんとなくわかったような気でいたが、科学的に説明されていて、なるほどと頷いてしまった。

    こういう本を読んでしまうと、自分が「こういう点は直したいなぁ」と思う性格等は、自分の所為ではなく、脳がなす業であるということを知り多少の慰みを感じ、安心してしまう。そういう自分が厭だったりもする。

    この本の著者の他の著作も読みたくなった。

    掛け値なしにお勧めします。とても良い本だし、楽しい本だと思います。皆さんに是非とも読んでもらいたいと思います!

  • 数多くの文献を例にとり、脳についてわかりやすく解説してくれる本ですね。
    脳はカオス的なふるまいをするのかという印象です。

  • 自分の「脳のクセ」を知ることはとっても大事なこと。。。


    本書は雑誌やネットのエッセイから再編成したもの。何処かで読んだ気もするがやはり面白い。

    歳をとると集中力が衰えるのは脳の劣化でなく体力が衰えるから→健康第一ね。脳は自分を過大評価してしまう→何事も謙虚にね。脳は他人の不幸を快感に感じてしまう→シャーデンフロイデという。オキシトシンは相手への信頼度が増す→悪徳商法に悪用されると恐いナ〜。笑顔を作ると楽しくなる→いつも(^^)でね。ヒトの心は環境や身体に支配されている→自由意志は結構いい加減ね。男性の性的妄想は女性の無意識の脳にバレている→え〜っ!

  • 何気ない毎日の行動にもまだまだ発見があるなぁ。
    21章の「直感する」が一番面白かった。ひらめきと直感の違いを明確に知ることが出来たのが一番の収穫だった。

  • 以前から買おうか、買うまいか書店で手にしながら迷っていた本。昨日、買ってきました。池谷裕二先生は気鋭の脳科学者。ボクも好きな先生だけど、なぜか今回は迷っていた。昨日は機が熟していたので買ったのかもしれない。(・・・と勝手に思うことにする。きっと、これが意味を考えることだろうと・笑)

    冒頭にあった次の箇所が心に残った。
    ===================================================
    生きる意味はなんでしょう。大学で教鞭をとっていると、若い学生からそんな問いを受けることがあります。私は決まってこう答えます。「その意味を探すプロセスこそがヒトとして生きる意味ではないでしょうか」と。

    生きる目的は人によってちがうはずです。いや、本当のところ、意味や目的なんて、はじめからないのかもしれません。ただ、それを一生かけて探す過程は万人に共通しているように思えます。

    ヒトを「考える葦」にたとえたのはフランスの哲学者パスカルです。しかし、考えるだけならばイヌやサルでもできます。むしろ、ヒトに固有な能力は、意味を問う疑問力ではないでしょうか。
    ===================================================

    そもそも、「ヒトとして生きる意味なんて最初からないのかもしれない」という箇所は、本当にそうかもしれないと思う。リチャード・ドーキンスは、個体は遺伝子の乗り物だといった。乗り物であるのであれば、遺伝子にとって使い物にならなくなったら、乗り物を変えるだけだ。つまり使い捨て。だから、乗り物自体に意味なんてないのかもしれない。だけども、ボクたちは「いま」を生きている。そして、その意味は何なのかを知りたがる。

    それで悩んだり、自暴自棄になったりする訳だけども、意味を問うという「疑問力」を大切にしたいと改めて思う。はてなマークを長く持つというボクの課題でもある。

  • 経験的に知っていること・やっていることの理由がたくさん紹介されてて、納得!

    脳は、「いかにも本物らしい説明を信じる」そうです。人に説明をする時、文章だけでなく、いかにもそれっぽいデータや図がついてると信じやすいってことで、うちの会社では説明資料を作るときに「ぽんち絵」つけてって言われるのは、この効果を狙っているのか!?

    それから、人に説明するときに、メタファーを使うといいってのは、経験上納得感もあったけど、実際に、脳が活性化するらしいです。

    さらに、「怠惰思考」!課題は寝かせた方がいいようです。なので、インプットだけは早めにしておいて、その後は、発酵するのをじっくり待つんだな。

    最後に、勉強するのは寝る前がベストだそうです。眠くなったら3分以内に睡眠状態に陥ってしまう私には厳しいが、寝る前に、ちょっと難しい本でも読んでみるか...

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「経験的に知っていること・やっていること」
      私も同じコトを思いました。
      「勉強するのは寝る前がベスト」
      テスト勉強している時は完徹せず、一旦...
      「経験的に知っていること・やっていること」
      私も同じコトを思いました。
      「勉強するのは寝る前がベスト」
      テスト勉強している時は完徹せず、一旦寝て、起きた時に記憶として定着しているかオサライしていました。。。でも問題見た時に、思い出せずに苦悶したコトも。。。
      2012/10/23
  • 意識・心のあり方というのは、身体と密接に関係していることがわかる。「意識」していると思っていることは、実は神経にとっては、刺激に対する「反射」でしかない。このことからの帰結は、よき人生を全うするには、身体を動かしながら経験を積むことに他ならない。幼少期におけるあそび・身体運動の大切さがわかる。

    <目次>
    1 IQに左右される | 脳が大きい人は頭がいい?
    2 自分が好き | 他人の不幸は蜜の味
    3 信用する | 脳はどのように「信頼度」を判定するのか?
    4 運まかせ | 「今日はツイテる!」は思い込みではなかった!
    5 知ったかぶる | 「○○しておけばよかった」という「後知恵バイアス」とは?
    6 ブランドにこだわる | オーラ、ムード、カリスマ・・・見えざる力に動いてしまう理由
    7 自己満足する | 「行きつけの店」しか通わない理由
    8 恋し愛する | 「愛の力」で脳の反応もモチベーションもあがる?!
    9 ゲームにはまる | ヒトはとりわけ「映像的説明」に弱い生き物である
    10 人目を気にする | なぜか自己犠牲的な行動をとるようにプログラムされている
    11 笑顔を作る | 「まずは形から」で幸福になれる!?
    12 フェロモンに惹かれる | 汗で「不安」も「性的メッセージ」と伝わる!?
    13 勉強法にこだわる | 「入力」よりも「出力」を重視!
    14 赤色に魅了される | 相手をひるませ、優位に立つセコい色?
    15 聞き分けがよい | 音楽と空間能力の意外な関係
    16 幸せになる | 歳をとると、より幸せを感じるようになる!
    17 酒が好き | 「嗜好癖」は本人のあずかり知らぬところで形成されている
    18 職にこだわる | 脳によい食べ物は何か?
    19 議論好き | 「気合い」や「根性」は古くさい大和魂?
    20 おしゃべり | 「メタファー(喩え表現)」が会話の主導権を変える
    21 直感する | 脳はなぜか「数値」を直感するのが苦手
    22 不自由が心地よい | ヒトは自分のことを自分では決して知りえない
    23 眠たがる | 「睡眠の成績」も肝心!
    24 オカルトする | 幽体離脱と「俯瞰力」の摩訶不思議な関係
    25 瞑想する | 「夢が叶った」のはどうしてか?
    26 使い回す | やり始めるとやる気が出る


    2014.06.29 『木材、石炭、シェールガス 文明史が語るエネルギーの未来』で、認知バイアスを理解する本として池谷氏の『自分では気づかない、ココロの盲点』が挙げられた。池谷氏の一つ前の著書として、本書を予約する。
    2014.07.25 読了

  • 知ってると面白い脳のクセ。面白かった。

  • 脳に関する研究をわかりやすく説明してくれている本です。人間の行動や判断に関する記述が多く、営業に携わるすべての方々に推薦します。

著者プロフィール

監修:池谷裕二
脳研究者。東京大学大学院薬学系研究科薬学専攻医療薬学講座教授。薬学博士。一般向け書籍の累計発売部数100万部超え。

「2023年 『3ステップ ジグソー知育パズル どうぶつ だいずかん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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