誤解だらけの子育て (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594095734

作品紹介・あらすじ

「いい子にしてえらいね」とほめる、宿題は終わるまでつきそう、スマホやゲームは親が管理する…これらはすべて、脳育て理論的には間違っています!ベストセラー『高学歴親という病』『「発達障害」と間違われる子どもたち』の著者である小児脳科学者が、子育てのよくある誤解を紐解き、子どもの“生きる力”を伸ばすための正しい方法を解説します。“「はじめに」より”私が小児科医になってもはや35年以上が経ってしまいました。いろんな親子に出会ってきました。私が本当にいつも残念だと思うのは、親御さんの思いが、行動としては真逆に出てしまい、結果として子どもに全く伝わってない、どころかむしろ害悪になっていることがあまりにも多いことです。現代の子育ての状況を見ていると、情報過多の中で理想とされる子ども像を描き、それに向かって必死に育て上げようとするけど、思ったように子どもが「動いてくれなくて」こころ折れ、結果、無駄に怒ったり悲しんだりしている親御さんが多いと私は感じます。とても閉塞して利己的な育児環境だと思います。子どもはもっとつらいです。逃げ場のない家庭環境で苦しんだ挙句にさまざまな心身症状を出します。(中略)本書は、現代の子育て情報過多の中で苦しんでいる親御さんが少しでも楽になって笑顔になってくれることを願ってつくりました。ここに書いてあることを「絶対守らなければ」と思うとまた苦しくなってしまうので、「だいたいそういうことね」と思って、あとはご自分の感性に従い、社会につながる姿をできるだけ子どもに見せることを目標に、毎日の生活をつなげていってくだされば幸いです。

感想・レビュー・書評

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  • 小児科医・公認心理師の著者が、子育てによくある誤解をトピックに子育てのヒントを与えてくれる本です。
    育児休暇が間も無く終了し復職するタイミングで読めてよかったです。
    何度も書かれている、夜8時までに子供をなにがなんでも寝かす!というのはなかなか難しいですが、これを読んで1時間はやく寝かしつけられるように行動を変えました。

    もちろん、これは自分には無理だな、とか納得いかないと言う内容もありましたが
    はじめににあるように、大体そう言うことねと思って、感性に従い社会につながる姿をできるだけ子供に見せることを目標としたいです。

    以下、内容メモです。
    -----
    脳には、からだの脳、おりこうさんの脳、こころの脳の3つがあり、順番にバランスよく育つことが大事。

    5歳までは寝ること、起きること、食べること、からだが反射的に動くことが最優先事項。

    5歳までは原始人を育てる。文字が読めなくてもいい。夜寝て朝起きる生活を。躾が行き届いた子供像は期待しないこと。
    乳幼児期は、8時に寝られるように。

    お手伝いではなく役割分担で自己肯定感を育くむ。やらないと家族が困ると言う経験で責任感を持たせる。

    電子機器との付き合い方
    5歳まではさける。五感を育てる。
    6-14歳は好奇心に応じて知識を溜め込む時期。適宜使い、親が実物に触れさせることも重要。
    10〜18歳は自分でコントロール。一緒にルールを考えること.

    子供はミラーニューロンがある。行動してほしい姿を見せること。
    おかげさまで、という考え方を伝えるのが大事。
    ありがとうの気持ちから、ご褒美を与えるのはOK。ただし、子どもが見返りを目的とした行動を取らないように注意。

    (小学生くらい)いつもと違う様子が見られたら、何かあったの?と根掘り葉掘り効かず、早く寝ようか。と声をかけるに留める。翌日、よく寝たら今日はニコニコだね。と言語化してあげると、寝不足だと気づく。

    コミュニケーションへの誤解
    ここだけは譲れないと言う「家庭の軸」を立てる
    生死に関わることに絞られる。
    長時間のゲームは叱る必要ないが、就寝時刻を過ぎると命を削ることになるので叱る。など
    ただし、寝ることが大切だと伝えるのみ。ゲームはダメ!とは言わない。
    軸を脅かすこと以外は、ありのままを認めること。こんなに散らかしてよく平気だねえ。よくこんなに間違えたねえ。(嫌味に聞こえない?)

    思春期の反抗期には、正論を伝えず自分で考えさせる。あいつぶっ殺したいと言ったら、えー、殺しちゃうんだー。と言う.本人は冷静になる。

    子育ては、信頼を増やすプロセス。小学校中学年くらいには心配と信頼が半々に。
    夫婦揃って子育ての方針を相談すること。知識が多い方に偏らないこと。
    パートナーの悪口を子に言わない。ストレス発散方法を複数持ち、溜まったら早めに対処を。

    親の成功体験はプレッシャー。失敗したことを伝えてあげよう。失敗しても生きている、なんとかなると言うことを知ることができる。

    短時間でも脳が刺激されるじゃれつき遊びをしよう。
    3〜9歳ごろのじゃれつき遊びは、前頭葉の抑制機能を育て、カッとなったりする衝動をことができるようになる。

    ごめんなさいとありがとうを言うところを見せる。本人がまだわかっていなくても伝わる。

    小学校中学年くらい、家での1人時間には、米を炊く、風呂をためるなど、やらないと家族が困るような役割をしてもらう。宿題はやらなくても困らないけど、これは困るので自律につながる。

    学校を休みたいと言われたら、まずはうけとめる。家庭を見直して家事の役割を与えてみる。

    無理して一つの習い事を続けるより、習い事以外も含めてたような刺激を与える方が良い。

    子どもの選択を尊重し信頼する。
    大学受験に失敗した娘に、母は忙しく、あなたは時間ができる。勉強だけすることはできないだろうから、食事係をお願い。と頼んだ。二浪の不安もあったけど、一人暮らしのスキルにもつながった。

    差別や偏見をしない価値観は、多様性のある環境でこそ育つ

    友だち関係のトラブルは、幼少期のうちは親同士で、いつも仲良くしてくれてありがとう。もしくはいじめてしまっているなら、ごめんなさい。
    子供には、痛い目に合わせてごめんね、と代わりに謝っておいたよ。と伝える

  • 紅白を見ながら今日1日で読み通した。とにかく睡眠時間を確保すること。それに尽きる。そういう意味では僕は子どもたちの成長にかなり悪い作用をしていたことになるかもしれない。小学生の授業はすべて午後7時までには終わっているが、夜10時まで残って頑張る子たちを励まし続けてきた。中学生には家に帰ってあと1時間は復習してから寝るようにと言ってきた。ただこの点については本書で言われている朝の学習に対しては若干否定的である。特に暗記物については、寝る前にやるべきである。その点についてはほぼ池谷裕二先生の受け売りだからこれ以上詳しくは書かないでおく。子どもに対しては心配から信頼へという話はよくわかる。しかし、なかなか信頼して任せるということができないできた。だからついつい声を荒げることもあった。特に自分の子育てについては、自分の価値観を押し付けるようなこともあったかもしれない。子どもたちにとって安心してもどって来られる場所にはならなかったかもしれない。ただ昨日、帰省先で長男と2人で近所を散歩していたときのこと。向こうからやってくる見知らぬ人にちゃんとあいさつをしていた。僕より前に。僕よりよほど社交的なのだ。家出をしたり、高校を中退したり、今度は会社を1年半で辞めたりといろいろと問題はあったけれど、人間としてはしっかり育ってくれたと、ちょっと安心している。

  • 脳科学の研究者として、親としての視点から書かれていることに納得をする部分もあるが、「この場合はどうなのか」という反駁の余地のある解釈も散見された。

    「親が高学歴の家庭は…」と筆者も例に出しているが、家庭には、「見える」ステージがあると考える。
    低所得の家庭は明日を生きるのに精一杯で、夜遅く帰ってくるから子供のごはんも遅い→そのまま寝る→子供の朝ごはんもままならず、昼まで寝てしまうというような負のサイクルを回して生活している人もいる。
    富裕層や高学歴のステージではない親が見えているステージを把握し、役立てていくことが社会貢献に繋がっていく。
    また、本書と出合い、内省し明日からの行動を変容させていく力を身につけていきたい。

  • 著者の書籍は何冊も読んでいるが、本作は構成上はテーマがあるも、思いつきを述べているようでまとまりのなさを感じた。5歳までを原始人時代と呼んで、早期教育に対しては否定的だが様々な教育本を読んでいる限りでは本当にそれでよいのか疑問が残った。著者の言う「からだの脳」を優先させたばかりに、気付いたときには手遅れにならないのか。子育てに正解がないと言われるが全面的に同意できる内容ではなかった。

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著者プロフィール

成田 奈緒子(なりた・なおこ):小児科医・医学博士・公認心理士。文教大学教育学部教授。子育て支援事業「子育て科学アクシス」代表。 1987年神戸大学卒業後、米国ワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング』(共著、合同出版)など多数。

「2024年 『中学受験の落とし穴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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