魂萌え !

著者 :
  • 毎日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620106908

感想・レビュー・書評

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  • 世の中には決して平凡な人生などないな、と思った。敏子の人生は時別なようでそうではないのかもしれない。私も主婦なので考えてしまいました。もし夫が先に亡くなったら…私の人生にも変化があるのかな⁈

  • 人間、やってできないことは無い。ただ、日々の生活の中で、家族やパートナーの存在が気持ちの中で澱を生んで、それが積もり積もって泥になって固まって、新鮮なことに踏み切れるんじゃないかな。勢いがついたらこっちのもの。もっとどんどんはじけたほうが人生楽しいし。

  • 2011.8.5.

    心理描写、人物描写が巧み。
    リアルすぎてぞっとしちゃうくらいだった。老いること、夫に先立たれて孤独になること、専業主婦に甘んじて自分をなくしてしまうこと、、全部が目を背けたくなるくらいシビアに描かれている。

    友人同士の付き合いで悩み、男女関係で悩み、自分の感情に振り回されて、結局、20代でも60代でも悩んでることって根本的には一緒なんじゃないかなって思った。

    そう思うとちょっと気楽になれた。

  • ミステリーではない。だけど、次の展開を期待してしまう。なんていうか、桐野夏生の文章が主人公に共感しやすくできているのだろうか。まるでストーリーの中に自分がいる様な気にさせられる。なぜそんなに入り込めたのかはよくわからないけど、とにかく面白かった。
    さらに詳しいレビューはブログで…
    http://pinvill.cocolog-nifty.com/daybooks/2011/06/post-8772.html

  • かなりのボリュームだが、一気に読まされる。
    心理描写や複雑な人間関係、場面転換がするすると頭に入ってくる。本当に小説がうまいのだろう。
    老年にさしかかった女性のささやかな前進を、ここまで面白く読めるとは。
    ただ、メタボラや東京島とは明らかにノリが違う。破滅も疾走もなりを潜め、静かな激しさに満ちている。
    桐野夏生の生み出す奇抜な設定や異常な世界を期待すると、肩すかしを食うかもしれない。

  • 数年前の作品、いわゆる家庭小説というジャンルなのでしょうか。
    桐野夏生さんらしい人間のいやな部分をむき出しに描く人物造詣が
    他の作品よりもマイルドなように感じました。

    こういったソフト?な作品もものされる上、
    「グロテスク」「東京島」や「ポリティコン」といった、
    狂気をはらんだ閉鎖空間で本当に悪意に満ち満ちた人間関係ものも
    お書きになる。
    やっぱり、すごいなーと、まるで子どものような感想を持ってしまうのでした。

  • 私も40を超え、いろいろ共感できた。
    59歳は老人なのか、若いのか。
    残りの約20年の人生どう生きるのか。
    現役世代の自分は、仕事と子供のことしか考えていないが
    老後の人生を考えていなければならない。

    人生、いくつになっても青春だ。

  • 急死した夫には愛人がいた。2人の子供は自分のことに頭がいっぱいで、遺産をめぐって言い争い。 高校時代からの女友達との関係も微妙に変化し、ずっと家の中にこもっていた専業主婦の主人公の世界ががらりと変わっていく。


    読んでいて疲れる小説だった。
    登場人物の誰にも共感できず、誰にもなりたくない。 些細なことにふらふらと感情が動く主人公にイライラするが、もしかしたら自分が見たくない現実を見せつけられているからかもしれない。

    これが現実の世界なのだと思うと気がめいる内容だった。

  • 関口敏子は59歳にして突然夫に先立たれ、夫を失った寂寥感に浸る間もなかった。
    なぜなら未亡人になった母を思いやることのできない子供達の遺産を巡る諍いを
    目の当りにしたかと思うと今度は夫に10年来の愛人がいたことが発覚したりと
    めまぐるしいほどの現実をつきつけられたからだ。敏子はすっかり翻弄されてしまうが・・・

    夫の死後になって初めて判った不倫に憤りの持って行きようがなく、夫を亡くした淋しさよりも憎しみが先立ってしまう哀しさ。それゆえに半ば自棄になって誰でもいいからすがっていたいと思えるやりきれない淋しさ。
    そして頼みの子供達も自分の生活のことで手一杯、敏子の気持ちをちっとも慮ろうとしないし
    自分の子育ては失敗だったかもしれないという虚しさ。
    さらにまだ伴侶と仲むつまじく暮らす同級生の友人達との境遇の違いからくる気持ちのすれ違い・・・など
    まだまだ敏子の年齢に達していない私には「共感」するという感覚には至らないけれど
    夫に先立たれるか私が先立つか、自分にはどんな運命が待ち受けているのか判らないが
    敏子のような年齢になれば少なからずこういう感情に苛まれるのだろうなと思って興味深く読んだ。
    長く家族のために慎ましやかに暮らしてきて世間知らずになっていた敏子が
    夫の不倫という晴天の霹靂が起こったことが発端で少しづつ世間に出てゆき様々な出会いに喜んだり悲しんだり面白く読んだが最初は人恋しさからくる敏子の男性に対する見方や会話に若者風の言葉をすぐに取り入れる態度が鬱陶しくて仕方なかった。そんな嫌悪感いっぱいの敏子もだんだんと可愛く思えてくるのが不思議だった。
    特に衝撃的な内容でもどんでん返しがあるわけでもない地味な展開に思えるけれど
    敏子と彼女をとりまく人たちの関係を通して夫婦とは?とか人生観とかを色々と考えさせられるラいい小説だと思う。ラストはとても爽やかで桐野さんってこういう終わり方もするんだなぁ~と逆に拍子抜けした感はあるけれど気持ちよく読めた。

  • 母と同年代の女性が主人公の話。
    でも、いろいろ身につまされることが多いかも。(娘として、妻として、母として、女性として)

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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