- Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620210230
感想・レビュー・書評
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最悪な恋愛の全てはこの本を理解するためにあったのだと。心からそう思った。
脳を洗う。本当にそんな作品。現代の神は薬だ。
神とは救いをもたらしてくれるものだという
甘い考えがぶち壊される最高の作品。
人間の弱いところがいっぱいで自分の憂鬱を
一時的に忘れられて良かった。
まさに中島刑事のように。
本当に最高の作品だ。棺桶に入れたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今までの文則作品ではなかったような、奇天烈怪奇な難事件をデコボコバディが情熱と執念によって解決に導くみたいな本格刑事ものかな、ちょっと大衆向けにソフトなストーリーにも裾野を広げたのかなという展開でしたが(小橋さんの素っ頓狂なキャラもかわいい)、安定のダークサイドに落ちていっていただき、悶々とすることができました。感謝。
あとがきでもありますが、無意識の自覚化といった点が随所に表現されているし、物語の一貫したテーマになってる。そこに、神々の戯れ的な人類を超越した価値観も交わり、難解な物語が綴られていく。
ネタバレになっちゃうので軽く触れますが、「コートの男」事件としては山場が2つあり、どちらも許されざる、でも裁かれることがない悪に対する悲痛の叫びを感じさせる。白か黒の2分では説明できない、グレーな世界に果敢に攻め入っている文則作品を継承している、この流れの中で一部分でも思いの発露を見いだせている、救われているのかもしれない。結構重いのですが、中毒性に侵されている。ははは。 -
自らの心の内を覗いたところで、自分すら気付いていない悪意が潜んでることはある。誰かの人生を救出しているように見えて自分への利用価値を計ってしまったり、かけがえのない人だと思いながらも憎しみが生まれていたり… 無意識のうちに顔を出し目に映る頃には波紋のようにゆるゆると大きく現実に広がる。事件はセンセーショナルなものだったけど、事件の中身はリアリティがあって面白かった!
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僕はそう、ただ状況の違和感を埋めるためだけの言葉を言う。僕がこの偶然に意味を感じることで、自分の行為を正当化しようとしてるのに気づきながら。まるで「運命」という言葉で自分を許すように。
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タイトルが作中で出てきた時に鳥肌がたった。
私にとっては大好きな作品。 -
ラスト100ページくらいからずっと涙が止まらなかった。
様々な想いや葛藤、人間の奥底にある闇をなぜこんなにもうまく表現できるのか。中村文則の作品はどれも堪らない。 -
市高町で、連続通り魔事件が発生します。犯人は“コートの男”と呼ばれ、テレビで報道されることにより、模倣犯も現れます。
そんな事件を、市高署の中島と、捜査一課の小橋たちが捜査します。
しかし、事件は単純な通り魔ではなく、複雑な事情がありました。
人間は、どうして罪を犯してしまうのでしょうか。なぜ、悲惨な事件が起きてしまうのでしょうか。
物語の後半では、事件の謎解きとともに、人間の性質や、宗教、神の存在にも話が及んでいきます。
人間は、悪を持つことも、狂気に誘惑されることもあります。子供時代の暴力性を現実にしてしまったと苦しみ続ける中島は、そんな犯人に「やめさせたい」から事件を追っているように感じます。そして、犯人を、自分を救おうとしています。
不幸、悲しみ、狂気。
そんなものも、“あなた”は楽しんで味わうのでしょうか。
人間はどうすればいいのでしょうか。
人間は誰しも“誰かの優しさに触れたい“(p485)と望んでいて、それさえあれば生きていけるのかもしれないと思いました。
中村さんの小説は、真っ暗な闇のなかに一筋の光を投げかけて、救ってくれる気がします。
警察小説も純文学も好きなので、両方のおもしろさが合わさったこの作品は大好きです。 -
登場人物も多く消化不良だったので、再読したが筋も入ってきてより面白い。今までとは少し味が違う感じ。素晴らしい。