思いつつ、嘆きつつ、走りつつ、

著者 :
  • 毎日新聞社
4.22
  • (12)
  • (9)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 134
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620321776

作品紹介・あらすじ

チャットモンチーを脱退して1年、過ぎゆく日常を見つめ、自らの原点をたどる。著者初の書き下ろしエッセイ集が誕生。-頑張れ。いつかの自分に送るように。詩人ならではの感性が放つ、文芸の新しい予感。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 部活に明け暮れた中学、高校、大学時代。バンドを辞めたあと、展覧会に向けて日々。ヨーロッパ旅行の思い出など。
    高橋久美子さん(クミコン)はどんな場面でも自分らしさを失わない。

    ---------------------------------------

    この本の発刊は2013年2月らしい。
    ということは、2012年のクリスマス、さいたまスーパーアリーナで高橋久美子さんが詩を描いた『空のカーテン』を聴いて、感動した直後ということだ。
    あれほど素晴らしい詩を書きながら、読み応えのある本も書いて、展覧会もやって、旅行もやっていたのか。すごい体力。すごいバイタリティ。

    部活に打ち込みすぎて友人がいなかった高校時代や、軽音部や国語科の友人たちと濃厚な時間を過ごした大学時代。そして素敵なご家族。
    すべての時間、すべての出会いがこの人を作ってきたんだろうな。

  • 優等生の仮面を被り続ける私の孤独は、先生が採点する授業の詩には決して書かれることはなかった。すべてこのピングーのノートに。本当はこんなにも薄っぺらい自分を詰るように、励ますように、家族も親友も知らない秘密のノートは机の奥で輝き続けた。

    たまに実家に帰ったとき、あのローカル線に乗ってみる。この座席にぶっ倒れてみんな寝てたな。数学の参考書広げたままで。憧れていた野球部、好きだったなぁ、あの人のこと、とか。思い出は想像以上に美しい。本当は、将来への不安と目の前にある目標とでぐちゃぐちゃだったに違いないのに。電車の中、くたくたの高校生を見ると惚れ惚れする。余すことなく戦っているその姿。今だけだということを誰も知らない。二度とこの電車のこの時間が戻ってこないことを知らずに、今日も揺られているんだ。
    頑張れ。いつかの自分に送るように。

    東京の夕日は赤い赤いギラギラしたのが特によく似合う。頑張り過ぎた人に寄り添うように、ゆっくりと1日を終わらせてくれる。忙しかった頃には全然気づかなかったのに。お前はそんなやさしい顔で私を照らしてくれていたのかい。

    人生において、何の糧にもならなかったことをたくさんたくさんしたなあ。無意味で、時間の無駄で、ここでは書けないようないろんなことを。でも、ただ一つ言えるのは、無意味だったと言えるのは、やってみたからだ。やってみたことの中で、意味があって人生の糧になったこともたくさんある。

    楽しくて楽しく、だけど拭い去れない孤独感。月光が、しぶきを上げながらケラケラ笑い、泳ぐみんなの顔と声を浮かび上がらせた。私はそれを見るのが好きだった。

    2017.5.27

  • チャットモンチーを脱退しても、ゼロから1を作り出すことにまっすぐ向かう著者が素敵だと思いました。チャットモンチーの楽曲の歌詞がやたら響くと思っていたけど、この本を読んで、やっぱり物の見方とか考え方に沢山共感した。
    脈々と繋がる命を思うと自分も子供を産みたいと思うけれど、まだやりたいことが沢山ある、といった事とか、
    何にも形に残せてなくても、元気でやってるんならそれで良いとか
    別れ際の人のありのままさとか…
    すごく好きな感性です。

  • 吹奏楽のお話とか大学のお話とか、高橋さんの青春時代や、バンド脱退後のお話とか、展覧会のお話などなど、つらつらと書かれていました。
    ゆるいようで、やっぱストイックで熱いお方やなぁ…!と思いました。
    方言もちらほら出てて、朗読を聞いてるようで読みやすかったです。
    ご家族のお話はなんだかほんわかしたり、じんわりしたりしました。一番最後のエッセイとか好きです。
    小説とかも読んでみたいです。

  • 言葉が元気に溢れている感じが心地良い。勿論、ただ単純に元気なだけって訳は無いんだけど、自分とは掛け離れた心のエネルギーと陽性の発散を感じる。こういう人がいるんだよなぁ、と思う。自分は心のエネルギーが少なくて省エネ運転で生きているから、凄いなぁとひたすら関心する。

  • 高橋さん、タフだなあ〜。生きている、ってこういうことなんだろうか。自然に、地に足をつけて、人との関わりを大切にしながら過ごしていくということ。

  • すごくよかった。いろんな気持ちを、引き出してくれる。
    展覧会の話がすごい。行きたかった。

  • 2014/12/29

  • チャットモンチーの元ドラマーのエッセイ集。

    ずっと音楽に携わってきたんだな〜。これからも何らかの形で携わっていってほしいな。

    東京で最後のステージになった武道館のイベント見に行ったな。最後なのにMCあっさり終わったなと思ったけど、自覚してたんだな〜。

    "人生において、何の糧にもならなかったことをたくさんたくさんしたなあ。でも、ただ一つ言えるのは、無意味だったと言えるのは、やってみたからだ。やってみたことの中で、意味があって人生の糧になったこともたくさんある"
    この言葉よく分かるな。何事もやらなきゃ分からないよな。分かってはいるんだけど難しい。行動力が羨ましいな。

  • こんなにタフな人だったのね。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家・詩人・作詞家。1982年愛媛県生まれ。音楽活動を経て、詩、小説、エッセイ、絵本の執筆、翻訳、様々なアーティストへの歌詞提供など文筆業を続ける。また、農や食について考える「新春みかんの会」を主催する。著書に小説集『ぐるり』(筑摩書房)、エッセイ集『その農地、私が買います』(ミシマ社)、『旅を栖とす』(KADOKAWA)、『いっぴき』(ちくま文庫)、詩画集『今夜 凶暴だから わたし』(ちいさいミシマ社)、絵本『あしたが きらいな うさぎ』(マイクロマガジン社)など。

「2022年 『一生のお願い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高橋久美子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×