- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622090496
作品紹介・あらすじ
人は猫に及ばず!「しばしば数億円単位の実験室を持っている自然科学者から見ると、哲学者は自分の脳ミソしか持たない、典型的なプロレタリアである。その貧乏人に猫という小さな道具を与えてやったら、立派な哲学書と人生論が生まれた。人生の重荷を感じている人には、本書を読むことが救いにはならなくても、最低「気晴らし」にはなると思う。猫好きにとっては面白い上に感動的でもあり、つい読み切ってしまう。」(養老孟司さん)
感想・レビュー・書評
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「猫に学ぶ」ジョン・グレイ著 鈴木晶訳|日刊ゲンダイDIGITAL
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/298329
猫に学ぶ | みすず書房
https://www.msz.co.jp/book/detail/09049/ -
タイトルと表紙につられて手に取ったけど、意外とガチ哲学書という感じだった。
猫が出てこない所(体感では三分の二かそれ以上)では私には難解で、目が文字を上滑りしていることも…でも猫にまつわる文章はとても楽しく読んだ。このようなアプローチでなければ、哲学書には縁がなかったと思うので感謝したい。
「良き人生とは、これまでに送ったかもしれない、あるいはこれから送るかもしれない人生のことではなく、今すでに手にしている人生のことだ」
「猫が教えてくれるのは、意味を探し求めることは幸福の探求に似た、ひとつの気晴らしにすぎないということだ。人生の意味とは手触りであり、匂いだ」 -
人間がなにかと思い悩むのは、人生に意味を求めるからだ。生きる意味など考えず、人の生活に順応しながらも決して従順になることのない猫から学ぼう、と語りかける軽快な哲学入門エッセイ。
プロテスタント教会に通っていた子どものころ、動物にやたらと冷たいキリスト教の教義に疑問を持っていた。べつに動物愛護精神に溢れていたわけではないのだが、ただ、自由意志を神から人に与えられたギフトとみなす考え方がとても不思議だった。それはむしろ人間にだけ課せられた枷じゃないかと思っていた。
本書の著者グレイが言ってるのも大体似たようなことで、人間界で重視される"意味""意義""大義"みたいなものや、それを前提とした人間中心主義から脱却しよう、生に満足している動物たちを見下すのはやめよう、という提案から始まる。哲学(特に西洋哲学)なんか生きる意味を追求しようとして発展してきたものだから、本質的にはなんの役にも立たないよ!と言い切ってもいて、とは言いながらモンテーニュやスピノザの表面をふわっと撫で、文学者たちの猫愛に共感する軽快なエッセイである。
「意味を探し求めることは幸福の探求に似た、ひとつの気晴らしにすぎない」という結びに表れているとおり、國分功一郎の『暇と退屈の倫理学』と共通するところも多い。だが、『暇と退屈〜』にあった気晴らしに対してある種すがるような気持ちすらも、猫にはない感情として本書は軽くいなしている。
内容的には猫じゃなくてもいい気はするのだが、観察対象として身近で、人と共生しながら野性を失わない生き物の代表ということだろう。ヤマネコとイエネコにゲノムの差がほとんどないというのは驚いた。サラサラ読めたけど、猫本としてはジョージ・エリオットやポール・ギャリコのようにもっとふざけてもいいと思う。 -
とある事由で、我が家に生まれてわずかの小猫がやってきた。サンと名付けられた。私は、人生で初めてペットと一緒に、サンと一緒に暮らす生活となった。
60歳近い歳になって。
そして、気づいた。サンに教えられた。もっと早く猫と同居していたら、今、どんな自分であっただろうかと考えた。そう、その疑問、サンの、猫の教えにまだついていけてない自分に気づきました。もう3年も一緒なのに。 -
人間は猫から学べることが大いにあるという前提で、哲学書や文学書をひもときながら、人生について猫から学んでいく図書。わりと死、時間の有限性がテーマではあった。猫は刹那に生きる。ありもしない現実に振り回されることなく。今この瞬間をよい方向に進む猫の生き方をちょっと意識しておきたい。
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政治哲学者が書く一風変わった猫本。人生の意味を問うてやまない人間の宿痾に対して、自己や自我の概念をもたず、気ままに暮らす猫の暮らしぶりが対置される。哲学者や文学者の猫についての見解もそれなりに紹介されてはいるが、むしろそれらは猫の生き方、自己をもたないがゆえに猫自身であるという自足した生き方からこそ何かを学ぶべきだという一貫したメッセージの下地のようなものである。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/803451 -
猫は現在しか見ていないというのも、ほんとうかどうかわからないけど。それは置いておくとして、猫にこじつけているけれど、この本も哲学のひとつだと思う。そのへんが、著者と気が合わないが、中身は面白かった。まあ、猫のように生きれば良いのね。
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猫に学ぶというタイトルですが猫とあまり関係ない著者の哲学うんちくが多い印象でした。引用されている猫をテーマにした本が素晴らしいものばかりだったのは良かったです、本の値段がもう少し安価であれば星4はあったと思います。
https://www.nippon.com/ja/jap...
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/bg900370/