大人のための国語ゼミ

著者 :
  • 山川出版社
3.71
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本棚登録 : 1061
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634151215

感想・レビュー・書評

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  • 普段つかっている言葉というのはいかに曖昧なのか、そして曖昧なまま受け取っているかということがよくわかります。

    タイトル通り大人のための国語のゼミといった内容で、非常に勉強になる内容です。

  • とても良い本だった。
    『論理トレーニング』も名著だと思うけれど、これはそれを上回る。
    『論理トレーニング』は講義のテキスト。
    だから、説明も少なめだったのだろう。
    (それに、受講者が東大生だから説明もそれほど必要がなかったに違いない。)
    これに対して本書は、読者との回路がしっかり作られている。
    野矢先生って、(すごく失礼だけど)説明のうまい先生だったのね、と初めてわかった。

    たとえば、事実と推測、意見の違い。
    これ、区別が簡単そうに思えるが、いろいろな例を自分で考えていくと、結構難しいことがわかる。
    そのとき、野矢さんは「事実にも多面性がある」という。
    一つの事実にも、複数の見かたがあり得るということだ。
    そこで、中立的にならなければいけないかというと、そうではない、という。
    自分の事実描写にも危険性が含まれていることに自覚的になればよい、と。
    言論の意義を大事にしつつも、実にプラクティカルな態度だ。

    「理由」「根拠」「原因」の区分には、若干もやっとした感じが残る。

    理由・・・「なぜ?」への答え
    原因・・・ある物事が何によって引き起こされたかを説明する理由
    根拠・・・ある主張の説得力を増すために示される理由

    関係としては「理由」に「原因」「根拠」も包摂されるということらしい。
    では、「原因」「根拠」以外のものも「理由」には含まれているのだろうか?
    それから、「原因」と「根拠」を分けることの、実際的な意味(例えば文章を書くときにどう役立つか)が、もう一つ伝わってこなかった。
    ここが大事なところだと思うだけに、もっと詳しく知りたかった、という気持ちだ。

  • 相手に対して思ったように意図を伝えることができずにもどかしさを感じる。そういった経験は多くあるのではと思います。本書はそういった場合に、どうやったら相手と理解し合えるのか。その技術面について簡単に理解できるように、最低限これだけは知っておいたらということが書かれています。何かの発表をしなければいけない時、ミーティングで相手を説得しなければならないとき、事前に自分の主張を整理して話すだけでも違ってきます。その方法について書かれていますので、実践的で勉強になると思いました。

  • 知人がFacenookで絶賛していたので購入。
    いやー面白かった。特に、5章「文章の幹を捉える」から7章「的確な質問をする」までの流れは目から鱗だった。
    練習問題が多く含まれているので、深く考えながら読むことになる。そのため読みきるには時間がかかったが、それでも読んで良かった。
    続編とか問題集とか出してくれたら嬉しいなー。

  • 『論理トレーニング』著者による大人のための国語の基本。
    正確なコミュニケーションのために、伝えることを意識する、事実・推測・意見を区別する、言いたいことを整理する、標識となるつなぎ方、要約、根拠、情報・意味・論証の問い、反論といった授業が問題と解説・解答のかたちで進められる。
    ところどころにある仲島ひとみさんのマンガも本書の内容をよく踏まえていて雰囲気を和らげている。
    ただし、(実際には区分できないケースがあることに触れつつ)ここまでの明確な区分意識が必要かなと感じるところはあった。
    18-26

  • 理解と納得を双方で選択する難しさ。
    よくぞ世に出してくれたという内容。
    相手に伝えることがいかに難しいか。相手どれだけ理解したり納得したりする気持ちで伝えることができるか。
    なんとなくもあるんだけど、きっちり伝えたいときにその気持ちを実現する手法を使えると使えないでは別次元。
    問題をひたすら想像するだけで楽しい。
    一応、考え方がはあってそうなので、読ん納得。

    ただ、文章の問題を解くには時間がかかる人もいるかもしれない点は注意。
    言葉のつなぎ方は特に気にしたく、主張が循環していないか気をつけたいところ。
    相手のことをどれだけ考えて人はしゃべるものなのか。

  • 小説を読んで著者の考えを…というのではなく、適切に考えを伝え合うための日本語の使い方講座。
    反論についてと、問いについてが面白かった。

  • とても勉強にはなる。しかし「論理トレーニング」と比べてそれほど差があるわけではない。

    ま、今度教育課程の改定があるが、国語は基本的にこういう方向の教科であってほしいなあ。

  • 「質問する」「反論する」のところが
    特に参考になった。
    普段、何も考えずにいると、
    いざというときにコトバが出てこなくなる。
    日本語だからわかるに決まっている、
    日本語だから話せるに決まっているというのは勘違い。

    日本語だからこそ意識しなくてはいけない。

  • 正しい文章を読む機会が減っている。ネットに書き込まれているコメントは、感情的なものも多い。
    情報を正しく理解するには、論理力・国語力が必要である。
    私の仕事は調査関係の仕事で、社内でレポートを出す。これまでつみかさねてきたやり方をもう一度見直し、骨太の文章・レポートを書くために、この本は非常に有効なものであった。

  • 野矢茂樹といえば、入試評論文頻出の教授。そんな彼が書いた本。母国語である日本語を改めて学ぶという機会は、私たちにはあまりない。しかし、的確に相手に伝えるための文章や話し方は誰もが身に付けたいもの。この本には、そんなテクニックが紹介されている。ただ技術の提供だけがあるのではなく、実際に問題も掲載されているため自分の苦手な部分が把握しやすい。

    テクニック部分は紹介しきれないので、印象に残った言葉を紹介
    ☆国語力=相手のことを考え、分かってもらえるような言葉に言い換えたり補ったりする力

    ☆私たちは完全にではないけれども、分かり合える。分かりあおうとする努力、それを支えるのが言葉の力である。言葉の力が不足していると、分かりあおうとするのも大変で、すぐに諦めてしまう。

  • 丁寧な解説で勉強になった。もう2回読む。

  •  野矢先生の著書は、論理学を初心者に丁寧に説明する内容が多いように思うが、この本は少し視点を変えて、接続詞や要約や質問について書いている。国語ゼミと題する所以である。構成は従来と同じで、質問と回答解説を重ね、徐々に難しくしていくことで理解を深める方式だ。
     だが、これらも論理学の一部である。それを、この本ではコミュニケーションをスムーズにとるためには、正しい国語からと説明しているが、言い換えればそれには正しい論理展開が必要とも言えるのではないだろうか。
     一見やさしいが、真剣に読むほど難しく思える本の姿勢は好ましく、今後もできるだけついていきたいと思う。

  • 久しぶりに良書にあたった気がします。
    面白いです。国語の大事さというか、文書力がよくわかる
    内容です。
    仕事上もかならず必要になると思います。
    技術者であれば、逆にこういうスキルが必要だと
    思いました。また、コミュニケーション能力って
    こういうことだと思いました。

  • 東2法経図・開架 816A/N97o//K

  • 2017年9月10日に紹介されました!

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著者プロフィール

1954年(昭和29年)東京都に生まれる。85年東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院教授を経て、現在、立正大学文学部教授。専攻は哲学。著書に、『論理学』(東京大学出版会)、『心と他者』(勁草書房/中公文庫)、『哲学の謎』『無限論の教室』(講談社現代新書)、『新版論理トレーニング』『論理トレーニング101題』『他者の声 実在の声』(産業図書)、『哲学・航海日誌』(春秋社/中公文庫、全二巻)、『はじめて考えるときのように』(PHP文庫)、『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』(哲学書房/ちくま学芸文庫)、『同一性・変化・時間』(哲学書房)、『ここにないもの――新哲学対話』(大和書房/中公文庫)、『入門!論理学』(中公新書)、『子どもの難問――哲学者の先生、教えてください!』(中央公論新社、編著)、『大森荘蔵――哲学の見本』(講談社学術文庫)、『語りえぬものを語る』『哲学な日々』『心という難問――空間・身体・意味』(講談社)などがある。訳書にウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(岩波文庫)、A・アンブローズ『ウィトゲンシュタインの講義』(講談社学術文庫)など。

「2018年 『増補版 大人のための国語ゼミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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