- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635048828
感想・レビュー・書評
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手塚治虫ほど、アンソロジーが編まれているマンガ家はいないのではないか。SF、時代劇、サスペンス、平和、医療、環境、絵本、最終回、消されたマンガ等々、およそマンガに触れるもので描かなかったものは無いのではないか。正に天才たる所以だろう。
だからこのようなアンソロジーも編まれる。当然、傑作ばかりが集められたわけではない。と、書こうとして読み始めて、自分の浅はかさを嗤った。ある意味傑作ばかりだったのである。
魔の山(1972『少年サンデー』)
山棟蛇(1972『漫画サンデー増刊号』)
山の彼方の空紅く(1982『ジャストコミック』)
モモンガのムサ(1971『少年ジャンプ』ライオンブックス)
モンモン山が泣いているよ(1979『月刊少年ジャンプ』)
ブラックジャック−昭和新山−(1976『少年チャンピオン』)
雪野郎(1969『少年チャンピオン』ザ・クレーター)
落盤(1959『X』)
山太郎かえる(1980『月刊少年ジャンプ』)
火の山(1979『ビッグゴールド』)
まさかの未読作品が半分以上だった。単行本表題になった作品も多い。そうか、これが「山作品」になるのか、という新しい視点も貰った。唸る作品ばっかし。全て短編なので雑に終わらしているエピソードもあるが、全て映画か2時間ドラマにして、名優が演じたならば名作に化けるような作品ばかりだ。やがて来る生誕100年に向けて、私ならば「手塚治虫劇場」の企画をだすね。
「魔の山」なんて、村上もとかや塀内夏子が数巻かけて、青春をかけて描いていた事を、32ページで描いてしまった。
「山の彼方の空紅く」なんて、沖縄とも思えるような舞台設定にして、最後のスペクタルには金をかけて映画にしたら面白いのが出来る。いや、現代日本の政治状況では難しいか。
これも無印良品の「旅シリーズ」の本棚で見つけた。良いセレクトである。 -
手塚治虫『手塚治虫の山』ヤマケイ文庫。
漫画の神様と呼ばれた手塚治虫が山・動物・自然をテーマに描いた漫画のアンソロジー。10編を収録。
手塚治虫の漫画は少年向けでも、大人向けでもテーマがはっきりと描かれているので、作品から強いメッセージが伝わって来るように思う。収録された10編はどれも既読であるが、再読して見ると新たな発見がある。
『魔の山』。多良魔岳で遭難した3人の登山者の大金持ち風の肉親から救助を頼まれた一般登山者の間ケンと佐佐木小次郎……『友情』をテーマにした少年向け漫画。最初の上下逆さまの絵のコマが斬新。
『山楝蛇』。山間の寒村に逃げ込んだ都知事襲撃の指名手配犯。それを知った村長らは報道や警察の落とす金に目が眩み、事件を長期化させようと犯人を隠蔽するが……『強欲の愚かさ』をテーマにした大人向け漫画。
『山の彼方の空紅く』。軍の土地買収を拒否し、山を守り続ける一家。ついに軍は一家に対して強制退去を求めるが……『自然の大切さ』をテーマにした大人向け漫画。
『モモンガのムサ』。『ライオンブックス』シリーズの1作。天涯孤独となったモモンガのムサは逞しく成長し、モモンガたちの頂点に立ち、モモンガを狙う人間と対決するが……『自然を破壊する人間の愚かさ』をテーマにした少年向け漫画。
『モンモン山が泣いてるよ』。手塚治虫自身の自伝的な漫画。『自然破壊』がテーマのちょっと大人向けチックな少年向け漫画。
『ブラック・ジャック 昭和新山』。言わずと知れた代表作で、大人も楽しめる少年向け漫画。この作品の一貫したテーマは『命の尊さ』だろう。昭和新山で石を採集していた男の腕が岩の穴から抜けなくなり、偶然居合わせたブラック・ジャックが救出を試みるが……
『雪野郎』。代表作の1つ『クレーター』シリーズの1作。確か『クレーター』は人間の日常生活の落とし穴を描くシリーズではなかったか。『人間への自然の復讐』がテーマの少年向け漫画。
『落盤』。10年前の落盤事故の真相は……手塚治虫の初期作品。テーマは『復讐の愚かさ』だろう。
『山太郎かえる』。天涯孤独となった熊の山太郎は人間に飼われるが……『自然の逞しさ』をテーマにした少年向け漫画。
『火の山』。昭和新山の活動を観察し続けた三松正夫の生涯を描いた伝記的な大人向け漫画。いつも三松を傍らから見ることになる流れ者の犯罪者・井上昭和が狂言回し的な役割を果たす。テーマは『不屈』であろう。
本体価格1,000円
★★★★★ -
やっぱり手塚治虫はすごいな、と改めて思う。人間愛だけでなく自然愛、神羅万象に対しての敬意に満ち溢れている作品集。山と渓谷の出版社だから山にテーマをしぼったアンソロジーなのだけれど、どれもいい話だった。ブラックジャックからのはちょっとストーリー展開的に見劣りするけれど、そのほかは読みごたえも十分だった。手塚治虫に限らず、人間の創造力ってすごいことを実感させてくれるマンガ文化だと思うんだ。
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手塚治虫先生の山に纏わる作品集(アンソロジー)。ブラックジャックの一話も含み、昭和新山に関するストーリーがいくつか。世界的に見ても稀な、短期間での火山誕生をリアルタイムに経験した事は、手塚先生にとってこれも自然の畏怖を強く感じた出来事だったのだろうか。
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ヤマケイ文庫なので、当然テーマは山に絞られるが、さすが手塚治虫ともなると傑作揃い。特に昭和新山の三松氏の話は心打たれた。
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このシリーズ三冊でまとめて出版されていますが
どれも テーマに沿って 色々なお話があって
楽しめました。 -
手塚治虫の大人の本はいいね
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山をテーマに編まれた手塚治虫アンソロジー。畏怖、畏敬、尊厳、愛、やなぁとしみじみ思う。動物や人間の本能、垣間見えるものの表現(しかもさりげない)。
手塚治虫で、“山”!?
面白そーでもあり、面白くなさそーでもありw
山ブームって、まだ続いてたんですかね?
という...
手塚治虫で、“山”!?
面白そーでもあり、面白くなさそーでもありw
山ブームって、まだ続いてたんですかね?
というか、“海”はないの?とか思っちゃいました(^^ゞ
当然、海、もアンソロジー作ろうと思えば作れるのが手塚治虫のすごいところなんでしょうが、ヤマケイ文庫は元々「山と渓谷...
当然、海、もアンソロジー作ろうと思えば作れるのが手塚治虫のすごいところなんでしょうが、ヤマケイ文庫は元々「山と渓谷社」ですから、このシリーズからはムリでしょうね。
ヤマケイ文庫から森と動物のアンソロジーが出るみたい。手塚の描く動物は可愛い過ぎて困る。。。
ヤマケイ文庫から森と動物のアンソロジーが出るみたい。手塚の描く動物は可愛い過ぎて困る。。。