昭和10年の絵本でありながら、充分に示唆に富んだ絵本です。
諍いは些細な一言から。
貶す言葉は、意外と放った本人は喧嘩を売るつもりではなく、考える前に口から溢してしまったものなのかもしれません。
けれど言われた側がカチンと来るのも道理。
言い返す言葉は「相手にも同じ思いをさせてやろう」という意図に沿ったものが多いでしょう。
喧嘩になるのも当然です。
…が、「どちらが悪いか」善悪を基に謝罪基準を決めた場合、大人でも、第三者に介入してもらったとしても蟠りが残るものです。
善が悪かの二元論な世界ではない以上根本解決にはならず、同じようなことが繰り返される。
そして諍いの行き着く先は、精神的にか物理的にか「相手を消す」ことに発展しがちです。
ならばどうすればよいのか。
物事は立場が替われば見えているものも感じ方も変わるもの。
一晩、もしくは一定期間を開けることにより、その間に他者の意見や新たな体験で冷静かつ新たな知見を得て、それでも相手のことを許せないかを改めて考える。
本当に必要なのは、時間を置いて冷静になってから多方面に視野を広げる、自己研鑽の意欲なのかもしれません。