- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003115015
感想・レビュー・書評
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小学生の頃、新美南吉童話で知っていたのは教科書に載っていた「ごん狐」と「手袋を買いに」の2つでした。
特に「ごん狐」は大好きで、寂しがりやで根は悪くは無いものの、ついつい村人にいたずらをしてしまう子狐が、可愛らしくてたまらなかったものでした。
大人になってからは、新美南吉の「光」の描写の上手さに驚きました。
こぎつねの可愛らしさがこれまたたまらない「手袋を買いに」ですが、雪の光、月の光、街の灯りなどの日本語描写が本当に綺麗です。
今回、この『新美南吉童話集』で初めて読んだ短篇は幾つもありましたが、どれを読んでも心が洗われる思いでした。
その初めて読んだ中でもとりわけ好きだなと思ったものは、「赤い蝋燭」と「おじいさんのランプ」でしょうか…。
また「竜宮城のような」という形容詞は、2度出て来て印象的でした。1度目は「最後の胡弓弾き」、2度目は「おじいさんのランプ」です。
最後に蛇足でありますが、
チェコの童話作家でもあり挿絵画家でもあるヨゼフ・ラダも大好きでして、
ヨゼフ・ラダも新美南吉も、どちらも明るくほのぼのとしたユーモアを根底には持ちつつ、牧歌的な風景を描くのが得意な童話作家かな…と、個人的には思っております。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『ごん狐』を始め『おじいさんのランプ』『最後の胡弓弾き』など14の作品を収録した新美南吉童話集。
昨年2013年に生誕100年の節目を迎えた著者の作品を折角なので読み直してみました。落ち着きと温かみのある作風は時代を経ても全く色褪せず、その情景が鮮やかに目に浮かびます。一つ一つの作品は短いものの、優しさと切なさの余韻を残す美しい作品ばかり。
とある書評で「心が洗濯されるよう」という感想を目にしたがまさにその通りだと思いました。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/701010 -
なつかしい。
心が洗われる。 -
「屁」が面白かったです
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題名だけなら覚えている作品を改めて大人になって読む。どの作品も情緒にあふれていて、ハッピーエンドのものもそうでないものも、何ともいえない気持ちになる。童話ってバカにできないな、ということを再認識。
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『ごんぎつね』『手袋を買いに』といった有名なものしか読んだことなかった。もちろん、この2作は物凄く好きな作品なのだけど。
今回、いろんな作品を読んで、本当にこの作家の作品が私はとても好きだし、引き込まれる。どんどん物語の中に入ってしまう。最後の『狐』は、なんとなくどこかで読んだことあるものだったが、今回読んで、すごいなぁと思った。この作品が1番好きかも。 -
子どもの頃に新美南吉の作品をいくつか読んだ事があり、もう一度読みたかった。いわゆる童話とは違うように感じていたが、作品によってその色合いが違っていた。いわゆる童話みたいに分かりやすい結末を迎えるものがあったり、どうしてこんな結末なんだろう?というものがあったり。久作君の話、屁、うた時計は昔読んだ時と印象が全く変わっていなかったのは、ちょっと嬉しかった。
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良くも悪くも、透き通る強さをもった童話ーー物語たち。それだけに、新美南吉がもしもう少し長く生きたなら、もっといろいろなものを見たならどんなものを書いたろうかと思ってしまう。かれの書くうつくしさが、戦争の美化から切り離されることもあったろうか。其処此処に通う清い情緒の血が、もっと濃く通うこともあったろうか。
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とてもに美しい物語の数々。日本の原風景なんていう安っぽい言葉で表すのは気が引けますが、かつての人びとの暮らしや擬人化した動物たちの生活が豊かに描かれています。そしてその中に、本当に繊細な心の動きが表現されていて、これもまたチープな言い回しですが、なにか忘れていた気持ちがよみがえる気がします。
例えていうならば、よく晴れた日に干した布団のようなふかふかの、そういう物語であり、またそれを読む側もそういう心持ちにさせられます。
新奇な技巧上の試みがあったり、社会に対する鋭い批判の眼差しがあったりするわけでは決してありません。文学の価値が、そういったものだけで決まるわけではない、ということがよくわかります。
気持ちよく本を閉じることができる、そういう名作が詰まっています。