あなたはそっとやってくる

  • あすなろ書房
3.66
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本棚登録 : 107
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751522066

感想・レビュー・書評

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  • (2012.08.20読了)(2012.08.15借入)
    かみさんが図書館から借りてきて、廻してよこしました。アメリカのヤングアダルト小説です。主人公は、15歳の男女です。
    アメリカらしいテーマが盛り込まれています。親の離婚、母親の家出、黒人に対する差別、等です。
    原題は、If you come softly です。1998年の作品です。

    ●本書について(ウッドソン)
    私は、初恋というものがどんなにすばらしく、どんなにつらいものかを描きたかったのです。また、私がよく覚えている15歳という年齢についても描きたいと思っていました。
    ジェレマイアとエリーに敵対しているのは、人種差別、警察の暴力、愚かな人々の偏見です。それと、もう一つ私が書きたかったのは流れていく時間です。後で悔やまないためには、与えられた時間の範囲で自分が愛したい人をしっかり愛するということがとても大事なのです。
    ●母マリオンと娘イライシャ(エリー)(39頁)
    「出ていくしかなかったのよ」
    「だったら、どうして戻ってきたの?」
    「がまんできないと思ったはずのものが、本当は、それがないと生きていけないものだってわかったからよ」
    ●ジェレマイアとエリー(97頁)
    ジェレマイアは、説明できなかった。エリーが自分の方を見て笑顔を見せるときに感じる思いは、たずねられても言葉にすることができない。心の中で何かが止まり、何かが始まるような感じなのだけれど。
    ●エリー(218頁)
    私は、「この先ずっと一緒に生きていきたい」と思うような人には、一生に一度しか出会えないと思っています。その瞬間を逃したり、出会ってもそっぽを向いてしまったり、瞬きをしてしまっただけでも―チャンスは消えてしまいます。
    (そんなに固く考えることもないだろうと思いますけど。)
    (2012年8月20日・記)

  • 黒人の(といってもセレブの家系に生まれた恵まれている)男の子と白人の女の子の静かな恋愛の話。公園でくつろいだりする穏やかなデートをする2人に対し、周囲は疑いのまなざしを向ける。それまで信頼していた家族への信頼も揺らいだりする。最後は悲しい結末。でも。この結末にすると、結婚や大学進学といった現実的な問題にぶち当たる二人がいかにそれを乗り越えるかという難しい局面を描いていないため、少し不満。だからこそ、きれいなままの恋愛の思い出として残るのではという感想。

  • 黒人の少年とユダヤ系の少女との間の悲恋を描いている。
    アメリカの人種問題を扱ったYAというと過去に『ホエール・トーク』を読んでいて、これはあからさまに黒人がマイノリティである地域での話なのだが、こちらの話の舞台は人種のるつぼニューヨーク。登場するヒロイン・ヒーローはいずれもお金のかかる私立学校に通う生徒。ヒーローである少年は父親が著名な映画監督、美人で文学的才能にすぐれた母をもついわばセレブ。ヒロインはユダヤ系の医師の娘だ。環境的には、人種の違いについて比較的理解が得られているはずの暮らしではあるのだが、でも、父親は彼に「白人の住む区域では絶対に走るな」と息子に言い聞かせている。ヒロインの少女と彼が手をつないで街を歩けば、「あなた大丈夫なの?」と老婦人が少女に声をかける。ヒロインの身内からも、「住む世界が違うから」と曖昧な形で難色を示される。彼らのつきあいに対する世間の受け止め方(というより受け止められなさ)の微妙さが描かれている。

    というテーマを背景にしているが、しかし基本的には若い2人の純愛物語。ヒロインとヒーローの2人の心理描写が丁寧に積み上げられていて、良質のラブストーリーに仕上がっている。中高生の女子に読ませたい本。

  • ジェレマイアはうなずいた。まだわずかしかいっしょにいないのに、世間がときとして愚劣なものになるということが、エリーにはもうわかっているのだ。
    「おれは、天気かなにかみたいに思ってるんだ・・・・・」ジェレマイアがゆっくりと言った。
    「雨もあれば、雪もあるし、晴れもある。いつも変化しているけど、でもどれもなくなるわけじゃない」
    エリーは眉をひそめると首を横にふった。
    「あたしには、ちょっとむずかしすぎるな」
    ジェレマイアはふれているエリーを自分のほうに引きよせた。
    「たとえば、おれたちのことを理解できない人たちは雨なんだ。その人たちを雨って呼ぶことにするんだよ」
    エリーはうなずいた。
    「オーケー、その人たちは雨なのね」エリーはにっこり笑った。「それで?」
    「いつも雨が降っているわけじゃないだろ?でも、雨が降ってないときでも、雨がなくなったわけじゃない」
    エリーはため息をついた。
    「日照りのほうがずっといいって言いたい気持ちよ」
    ジェレマイアは、エリーの額に落ちて溶けていく雪をぬぐった。
    「中に入ろう」
    エリーはナップザックをかづぎなおすと、ジェレマイアについていった。

  • 「私立パーシー学院に転校したエリーとマイア。はじめて会った瞬間から、お互いのことが忘れられなくなった二人は、少しずつ距離をちぢめていく。しかし…。モノローグで綴る、せつないラブストーリー。」

  • 2022年11-12月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00241540

  • 白人の少女と黒人の少女のラブストーリー。少年と少女の視点が交代で綴られる。ですます調で綴られる物語は個人的にはなぜかすごく読みづらさを感じてしまう。

  • 2017.12.25

    控えめにいって最高でした。
    今も泣きながら打ってます。

    二人の目線が入れ替わりながらストーリーが展開していくので慣れるまでは大変だけど、読みやすいです。

    中学生ぐらいの子に進めたい。

    黒人少年と白人少女の話。

    切ないラブストーリー。
    優しいお話でした。

    差別的なところは、強くなく。
    ただ、まだ、そういう風潮がのこるなかで、
    理解のある人、したいけど、できないひと
    うんぬんかんぬん。

    とりあえず泣けます

  • 表紙買いだったのであらすじもわからないまま読み始めました。
    白人の女の子と黒人の男の子。
    日本で平和に暮らしているとあまり現実味のない人種差別問題だけど、優しい雰囲気の表紙と丁寧な文章とは裏腹に、これが現実だぞ、と突きつけられたような感じ。
    きつかった

  • 必要があって、いわゆるYAものをちょっと読もうと思って手にとったのですが、けっこうな衝撃でした。
    黒人とユダヤ人の高校生男女の話です。
    二人は愛し合っているけれど、家族や周囲は二人が付き合うことに違和感を感じたり、これから起こるあれこれを想像して反対したりする。
    劇的なことはそこまでおこらないなあと思っていたら、最後にドカンときたなあと。
    人種差別について、アメリカについて考えさせられる一冊でした。

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