- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784752008965
作品紹介・あらすじ
友達のジュアヌが見せてくれたハンカチに刺繍されていた、女書(ニュウシュ)。女の人だけが読み書きできる、秘密の言葉だという。その美しい文字に、チャオミンは夢中になってしまう。中国・湖南省に実際に伝わる「女書」をテーマにした児童文学。
感想・レビュー・書評
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まめふくさんの絵が好きで、それをきっかけに読みました。
女書という字があることを初めて知ったけれど、植物の絵のような美しい字体に惚れ惚れ…ただ、女書の持つ背景は美しく恵まれたものではなく、でもそれを知って見るとより美しく凛として見えるのでした。 -
チャオミンは、友達のジュアヌに見せてもらったハンカチの美しい刺繍に一瞬にして心を奪われた。それは、女性だけが読み書きできる「女書(ニュウシュ)」という文字だった。チャオミンの村では、男たちが野山で仕事をする間、女たちは誰かの家に集まって一緒に織物や刺繍などの手仕事をする。そこで、「女書」も秘密に教わることができるのだ。待ちに待った10歳の誕生日。心弾ませ、初めて女たちの集まりに足を踏み入れたチャオミンだが・・、中国・湖南省に実際に古くから伝承されてきた「女書」を題材に、まだ男性優位の時代、手仕事と共同体に支えられてきた女性のたくましさ、文字をもつこと、そして気持ちを言葉にして伝えることの尊さに改めて気付かされ、心打たれる物語。小学校高学年から。
(第八小学校図書館だよりにて紹介) -
女性だけが読み書きできる秘密の文字ニュウシュについてかかれた物語。舞台は中国。装丁が綺麗。城所潤さんによるもの。装画はまめふくさん。
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分類としては児童書にあたると思われますが、大人が読んでもハッとさせられる描写があり、とても興味深く読みました。
昔、中国の女性達の間で使われてたニュウシュという文字を習っている女の子が主人公という、やや特殊な設定を上手に使い、現代にも通じる女性の生涯について考えさせられる文章でした。
未成年か成人後か、既婚か未婚か、男性か女性か、など、読み手の立場や属性で大きく感想の変わる、大変面白い物語だと思います。 -
様々な民族や、考え方が違う女の人たちが、刺繍や女書を通して理解しあっていて心が温まりました。
また、チャオミンの姉であった人が結婚するときに、チャオミンの気持ちをチャオミンが習っていた女書で表していて、僕も言葉を大切にするとともに、祈って自分の想いを伝えたいなぁと思った -
朝日小学生新聞「中学入試で取り上げられた本」より。(ちなみに、桜蔭中ほか)
少し前に読んだ『彼岸花の咲く島』で、女性だけが学べる「女語」という言葉が登場した。
こちらは「女書」(ニュウシュ)という女性だけに伝わる文字の話。
理不尽な風習や、古くからのしきたりの中で、自由を奪われてきた女性たち。
「文字があなたの(纏足をした)足の代わりだよ」「思いをつづることで、心がきっと自由になる」p82
誰もが文字を学べ、読み書くことができる今、
指先でつぶやくだけで世界中とつながれる今、
自らの思いを託せる「文字」の持つ不思議な力を、改めて感じた。
文字は、人を生かしもすれば殺しもする。
「言葉を大事にするんだよ」p153
「辛いときは、書きましょう
苦しいときは、歌いましょう」p205
「人は初めて書く文字では、思いやりや優しい気持ちを言葉にする」p251あとがきより
「女書」と検索してみた。
装丁に描かれた刺繍のような美しい右上がりの文字。この文字が、女性たちの悲しみや喜びに寄り添ってきたんだな。 -
読後、タイトルがじんわりと沁みてくる作品でした。また読み返したい本です。
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中国に伝わる女書。その美しさに魅せられ学び始める少女チャオミン。少女たちの日常を通して、民族や女性、家族、友情が浮かび上がる。なんて繊細で切なく美しい物語を書くんだろう。思いは祈りになり言葉は翼になる。タイトル通りの素敵な物語。
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チャオミンはニュウシユ(女書)を習いはじめます。
花帯に刺繍されたニュウシユに心惹かれて。
文字を知って、チャオミンは伝えたいことがあふれます。歌にのせて、文字にのせて、気持ちが自由になるのです。