<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性

  • 以文社
3.35
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (579ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784753102242

作品紹介・あらすじ

〈帝国〉という言葉は捉えどころが無いのですが、それでも関心を呼び起こされるのは、現代という時代が捉えどころが無いからです。この現代性を壮大なスケールとヴィジョンで解き明かしてくれるのが本書です。例えば、今日テロという犯罪を戦争に仕立てて、国際社会を戦争状態におとし入れるような社会が、いつからどのように始まったのか?また、市場原理という原理主義が、われわれの日常生活を巻き込んだ生政治(剥き出しの生)へと転換したのは、どのようにしてか?これらの大問題を冷静に分析しつつ、現状分析に甘んじていられない、将来の可能性への熱いまなざしをマルチチュード(群集、多数性)に向けています。グローバル化に応じた、一国主義に捉われない世界の解放の視座を提供します。

感想・レビュー・書評

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  • 階級闘争型の従来の労働運動とは異なる、政党主導の政治運動とは異なる、自己決定やアイデンティティをめぐる社会運動。新しい社会運動。上意下達のヒエラルキーではなく、横並びのネットワーク。仏の五月革命、米のベトナム反戦、ポーランド連帯(ワレサ)。環境保護、フェミニズム推進、反戦、反人種差別。アラン・トゥレーヌTouraine『現代の社会闘争』1970

    資本家と労働者の対立が緩和され、治安・経済成長・平等はある程度充たされると、昔ながらの労働者による社会運動とは異なる新しい社会運動が生まれた。新しい社会運動の特徴は、担い手が多様(マイノリティなど)、テーマが多様(平和・人権・環境)、自己決定やアイデンティティを重視、水平でインフォーマルなネットワーク。クラウス・オッフェOffe 1985

    女性、LGBT、人種、環境、貧困。様々な争点がある。各々ばらばらに運動するのでなく、運動同士が連帯すべき。領域を横断。そうすれば民主主義はより根源的になる。▼政治は友と敵を分けるが、敵ではなく対抗者と見よう。多様な者、異質なものをお互いに認め合うことが政治だ。色んな人と議論を戦わせることで、自分は何者かも確認できる。容易に決着しない異なる政治的主張同士が正当性をかけて激しく争うこと自体がデモクラシーの本質であり、他者の説得や他者との合意を強調しすぎてはいけない。闘技的(agonistic)なデモクラシー。シャンタル・ムフMouffe『ポスト・マルクス主義と政治』1985

    情報社会で自由に情報を得られるようになり、人々(とくに高い教育を受けた中産階級)は自分の生き方やアイデンティティを求めるようになった。自分の在り方を受け入れてもらいたい。社会運動は何かを勝ち取るための手段ではなく、自己を表現すること自体が目的となっている。アルベルト・メルッチMelucci『現代に生きるノマド』1989

    アメリカ、G8、多国籍企業、世銀、IMF、世界経済フォーラムなど、権力のネットワークが形成されている。中心があるわけでもなく、特定の領土に限定されることもない権力のネットワーク。この巨大権力のネットワークに対抗するには、支配される民衆もネットワークを作る必要がある。反資本主義を掲げる学生・ジャーナリスト・学者・会社員・移民など、様々な人がつながり、集まり、議論し、行動する。伝統的な社会主義運動・労働組合運動・左翼政党とは異なるネットワークによる抵抗を目指そう。WTOへの抗議運動、G8への抗議運動、ダボス会議への抗議運動。世界社会フォーラム。ネグリ&ハートNegri & Hardt『帝国:グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』2000

    左派ポピュリズムを盛り上げて右派ポピュリズムに対抗しよう。左派ポピュリズム政党を支持しよう(メランション率いる不服従のフランス・スペインのポデモス・ギリシアのシリザ)。反新自由主義、反グローバリゼーション、EU懐疑主義、環境主義。シャンタル・ムフMouffe『左派ポピュリズムのために』2019

  • ―2003年6月―

  • 60を超えて読むには無茶苦茶わかりにくい本。翻訳のせいなのか、悪文なのか?久しぶりにこんな本読んで、頭がトコロテンだ。最近の柔らかいファシズムと言われるものと帝国の話はつながるのかな?40年以上前の大学の国際関係論のゼミで、きちんと体系だった勉強すべきだったな。遊びすぎた。勉強しなおすか。

  • 国際関係論の授業で知り、図書館で借りる。が、600ページ近い大作で諦める。マルチチュードのコンセプト自体は別の本で確認したい。

  • 数年前にこれを図書館から借りて読んだが、今思い返してそこに何が書いてあったか、さっぱり思い出せない。いや、マルチチュードとかいう言葉が何とも生煮えで宙ぶらりんの形で記憶に引っかかってはいる。読み終わった時は、この理解できなさは、多分日本語の訳のせいではと思いつき、確か原書まで買った記憶がある。でも今日まで原書の読破も果たされぬまま、分厚いEmpireもどこかに埋蔵されているはずだ。ということで、「要再読」のタグは付けておこう。

  • 数年前にこれを図書館から借りて読んだが、今思い返してそこに何が書いてあったか、さっぱり思い出せない。いや、マルチチュードとかいう言葉が何とも生煮えで宙ぶらりんの形で記憶に引っかかってはいる。読み終わった時は、この理解できなさは、多分日本語の訳のせいではと思いつき、確か原書まで買った記憶がある。でも今日まで原書の読破も果たされぬまま、分厚いEmpireもどこかに埋蔵されているはずだ。ということで、「要再読」のタグは付けておこう。

  • 特に印象はなし。

  • 2007/05/18 購入
    2007/07/16 読了 ★★
    2014/12/11 読了

  • [ 内容 ]
    グローバル化による国民国家の衰退と、生政治的な社会的現実の中から立ち現われてきた世界秩序=“帝国”とは何か?
    21世紀的現実=“帝国”の解明。

    [ 目次 ]
    第1部 現在性の政治的構成(世界秩序;生政治的生産 ほか)
    第2部 主権の移行(二つのヨーロッパ、二つの近代性;国民国家の主権 ほか)
    第3部 生産の移行(帝国主義の諸限界;規律的統治性 ほか)
    第4部 “帝国”の衰退と没落(潜在性;生成と腐敗 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 130921 中央図書館

    やはり分厚い本なので、図書館の貸し出し期間では、読了といえるかどうか・・。
    再読が必要。ただし、柄谷行人の「世界共和国」を読んでからにしようか。

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著者プロフィール

1933年イタリアのパドヴァに生まれる。マルクスやスピノザの研究で世界的に知られる政治哲学者。元パドヴァ大学政治社会科学研究所教授。 早くから労働運動の理論と実践にかかわる。79年、運動に対する弾圧が高まるなか、テロリストという嫌疑をかけられ逮捕・投獄される。83年にフランスに亡命。以後14年間にわたりパリ第8大学などで研究・教育活動に携わったのち、97年7月、イタリアに帰国し、ローマ郊外のレビッビア監獄に収監される。現在、仮釈放中。 邦訳に『構成的権力』『未来への帰還』『転覆の政治学』等がある。

「2003年 『〈帝国〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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