海賊の経済学 ―見えざるフックの秘密

  • NTT出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757122420

感想・レビュー・書評

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  • 【読書】海賊は不思議と人気がある。ハリウッド映画のパイレーツオブカリビアン、漫画のONE PIECE。果てのない海を舞台に夢を追いかける姿に憧れを感じるのだろうか。そんな海賊を経済学的に分析した衝撃の本。自分の今までの海賊像が一変するほど、本当に面白く引き込まれる本であった。海賊を経済学的に分析するなんで今まで誰も考えないだろう。それも利己的な利潤追求と合理性という、非常にシンプルな経済学初歩の前提だけで分析している。ちなみに本書のサブタイトルの「見えないフック」とは、アダムスミスの神の見えざる手を海賊版にもじって、フックにしたもの。なんともユーモアが効いている。貪欲な犯罪集団である海賊が実は異様に先進的な民主主義的な統治方法を確立していたり、労災制度の走りのような補償制度を構築していたりと、現代においてもと注目すべき点は多い。この本を読んでONE PIECEを改めて読み直そうかと思った今日こののごろであった。

  • 最近の経済学は、進化論と同じで何でも説明できるロジックという気がします。それがいいとか悪いとかじゃあないけど。それでこの本は、海賊にもある程度詳しくなれて、あとは経済学の最近のバズワードがもう一度海賊的見地から見直すことができます。という本です。海賊船は、自律していて、海を回っていれば採取できる貨物船がいくらでもいたので受け取るエネルギーがかなり高く、その二つの点から海賊船内のエントロピーをかなり高くすることができたのだろうと考えます。高いエントロピーが、この、海賊の、時に理念側に振れたように見える自発的な方針を生み出したのでしょう。よくわからないけど。核をやめて、低いエントロピーで暮らしていく地球は、どうなっていくのだろうね。

  • 山形浩生訳で購入を決めました。これは読み方によっては評価は分かれるかもしれませんが、経済学で人間行動の説明をすることの胡散臭さを笑い飛ばしている。

  • 無法者たちの利己的な利益の追求が、(18世紀の船上では)民主的で平等で効率的なコミュニティを作る。便益と費用という単純な指標で、一見めちゃくちゃな海賊の社会が、実は自然の摂理に従って形成される当然の結果である事が説明されていくのが面白かった。

  • 海賊における経済学というのは、恐怖のイメージ戦略とか、恐怖のマーケティングとか、意外と規律のある組織とか、そういうことなのね。
    ドクロの旗やフックの手で怖いイメージを植え付けていたのは、戦わずして金品を強奪するため。
    いつもドンパチやっていたわけじゃない、っていうのには納得。いつもドンパチでは、出費も多いし人員も不足してしまう。

  • 海賊を経済学的なアプローチで無理矢理分析。
    あとがきで訳者からの理性的なツッコミも楽しめた。

  • 一見破茶滅茶に見える海賊の行為が、経済学の見方をすると合意性があることを、報酬・所有・ガバナンス・規則・意思決定コスト・ブランド等あらゆる観点から論証する本。

    詳細は下記
    https://note.com/t06901ky/n/n61538b273fb7

  • 海賊が経済学に基づいて行動しているという大変興味深いテーマである。

    海賊という略奪を生業とするチーム戦略にはVisionが重要である。
    自由市場であっても略奪に近いパワープレーがある。海賊はこの原則を堅実に守った規定に基づき、合理的に行動しているという事が良くわかる。

    ガバメント:自発的に動かない人を動かすことで効率的な仕組みを作る(=全体最適化)。全員が自発的に全体最適に動くのであればガバメントは不要となる。
    脅し、強制がガバメントの背後にある。

  • 漫画やアニメ、小説、映画などフィクションの世界では、たびたび海賊について描かれることがある。フィクションの中の海賊から想像する海賊像は、実際の海賊とは随分印象が異なっていることが本書で紹介されている。フィクションの中の海賊像と異なる点を紹介し、さらに経済的利潤からなぜそのような海賊社会が運営されていたのかを追求していく。

    経済学的視点から、海賊の行動原理や組織運営について見解を述べているが、難しい経済用語が分からない者でも、経済用語を易しく解説してあるので読むのに苦労することはない。文章も、全体を通してかなりカジュアルな口調で書かれており(非常に砕けた、ブログのような文体)、一般大衆に向けて書かれた本だろう。
    目次を読んでも本書の全体を把握することは難しいので、30ページの本書の構成について書かれた部分から目を通すと読みやすいだろう。また、章の最後に「海賊マーク」(陽気なロジャー)があり、章をまとめる文章となっているので、本書の要点だけ急いで読みたい人は、海賊マークを探して読むのがおすすめである。
    第8章は、海賊の船長にマネジメントの講義をしてもらうという設定の章となっており、海賊の経済学を現代に落とし込んで説明されている。ここは特に海賊について書かれてあるわけではないので、読み飛ばしても問題はないだろう。
    p274~の訳者あとがきにある「使用上の注意」の項目は、ぜひ読んでおく必要がある。訳者なりの本書に対する注意点が書かれてあり、本書の内容をそのまま鵜呑みにすることのないようにとある。海賊という歴史に、経済的視点を入れて考察したことには、本書は大変面白いといえるが、訳者の指摘通りかなり大衆向けに単純化しているので、あくまでも一視点の考察ということを忘れてはならない。

  • うーん。

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